拝啓 愛する人へ

@clownfish

拝啓 僕が愛した君へ

君がこの手紙を読んでいるとき、僕はまだ生きているかな?



闘病中に遺書を書いたことを忘れててうっかり見られて詰め寄られる的なシチュエーションが好みなのでもし生きてたらオネガイシマス(オタク特有の早口)。


と、まぁ、こんな事を言ってみたけれど、自分の体のことは自分が一番わかるって言うように、もう長くないのは分かるんだよね……。


ごめんね?一生かけて守るって言ったのに、こんな体たらくで……。


君への愛が足りてなかったのかな?


これ以上ないくらいに愛してたつもりだったんだけどなぁ……。



でも、今までのことを悔やむのは時間の無駄だからこれからのことを話すね。


僕のことが好きな君のことだ。


君のいない世界なんて生きてる意味がないとか言って後を追おうとするんでしょ?


わかるよ。僕だってそう思うもん。


でも絶対だめ。


もしそんなことしたら地獄に落とします。


やっぱり可哀想だから僕が代わりに落ちます。


優しい優しい君は僕を地獄には行かせたくないでしょ?


優しすぎるところが、君の一番の魅力であり弱点なんだから。



僕は君が好き。だから幸せになって欲しい。


もちろん、幸せの形は人それぞれだから、無理に新しい人を見つけろとは言わない。


でも、少しでもいいなって思う人がいたら、僕のことは気にせずに結ばれてね?


それで二人で僕のお墓に報告に来て。


え、まさか二人じゃない?既に三人目がいる⁉


さすがの僕でもそれは妬いちゃうよ。



あ、お墓参りは年に一回ね。


それ以上来ないと寂しいし、それ以上来ても君の生活を圧迫するだけだから。


そこで今年あったことを教えてね。


男の話ばっかりだったら妬いちゃうからね。



僕はね、君が心配なんだ。


お見舞いに来るたびに濃くなってる目の隈も、やつれていく顔も。


ちゃんと寝てる?ちゃんと食べてる?


このままじゃ僕より先に君が死んじゃうよ。


さっきも書いたと思うけど、君が死ぬのはだめだからね?


ちゃんと寿命まで生きてください。


そしてあの世で思い出話をしてください。


君の話なら、二回目でも三回目でも退屈しないから。



ここまで長々と書いたけど、結局僕が言いたいのは、僕が死んでもめげずに生きてねってこと。


わかってくれた?


わからなくてもわかって(?)。


あの世でいつまでも待ってるから。


時間は待ってくれなくても僕は待ってるから。



じゃあね、僕の愛しい人。僕が愛したただ一人の君。




                                    敬具

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