2 がっちりとでぶ

 猫どもはすくすくと成長した。

 冬はほっかいろ、夏もほっかいろになり、様々な予防接種を受けている。


 私は基本は別の県に住んでいるため、猫の写真を定期的にラインで送ってもらっている。やつらが日向ぼっこをしている姿はほわほわで面白い。

 現在、7キロ級 2体、3~4キロ級 3体、2キロ級 1体の構成である。


 目やに、風邪と病院に連れていかれるやつらの中で、「太り過ぎでは」と医者に相談されたやつが2匹いる。


 1話に出てきた追いかけ回された被害者猫Lと猫釣りで召しとられた猫Tである。


 猫Tは私が県外へ戻る時に、ミルクを上げないといけないという理由で洗濯かごにぶちこまれ県越えを成し遂げている。


 本猫に記憶はないだろうが、常に泣き続けエサを与えると鳴きやむのを繰り返していた。

 パンをちぎってくれてやると鳴きやむ。

 面白がって、鳴くたびに与える。気づくと、やつの体よりも多い量のパンが姿を消していた。


 私は運転してくれている母に「こいつの食い意地はやばい。破裂するかもしれない」と伝えたが一笑に付された。


 そのせいか、飢餓の記憶のせいかは分からないが、猫Tは今に至るまで食欲不振を知らぬ暴食の化身である。


 そのようにすくすくと成長した猫どもは、母や猫マスターである弟にきっちり病院に連れていかれる。

 病院で、病状や定期健診のついでに「こいつ、でぶじゃないですか?」と無礼極まりない質問をされるのだ。


 猫Lは「問題なし」。

 猫にあるまじきガッチリ体型ゆえにむっちりしているだけの平均スタイルだった。


 医師は肋骨のあたりを触り、肉付きで測っていたようだ。

 骨が浮いていると痩せすぎらしい。


 「こいつ、でぶなんですよ……」


 猫マスターのその言葉に、医師は「またまた」と猫Tに触れる。

 皮が伸びる! 伸びる!! お腹も伸びる!!


「これは……太っていますね……」


 猫Tは素人判断でもまごうことなき「でぶ」であったが、ついに医師にもでぶと診断されたのだった。

 だが、猫どもの中で最も子猫感がある。


 今は、なんだかんだで見た目はちょいぽっちゃりをキープできているので良いかもしれないが、食欲の化身であるこいつの今後は要観察だ。


 7キロ級猫のうちの一匹である。


 7キロ猫のもう一匹は闇夜にまぎれた猫であるが、成長したこいつは不思議なことにかいがいしく猫Tを世話をしていた。今も仲の良い親子である。

 タマを手術により失ったため直接の血縁はないはずだが、子猫が拾われてくるとめちゃくちゃ世話をする不思議な猫である。


 もしかしたら、こいつの過保護のせいででぶなのかもしれない。

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【エッセイ】猫がデブ 夏伐 @brs83875an

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