第14話 イフリート、ダンジョン、潜る



ダンジョンに入る。


ゴツゴツした岩壁。


それから起伏がたくさんある床。


マナは少しイライラしているようだった。


「ダンジョンですら起伏があるのに!」


泣き始めた。


そのとき、グラグラグラグラ。


ダンジョン全体が揺れ始めた。


「お、おぉ、揺れてるぞ」


ブルっブルっ。


レイのおっぱいもちょっとだけ揺れてた。

そして、体勢を崩して俺に突っ込んできた。


「はぅぅ、ごめんなさい」

「気にしないでよ。仕方ないよこんなに揺れてるんだからさ」


やがて地震が落ち着いた。


マナの方を心配してみると泣いてた。


「揺れたもん」

「すごい揺れてたよね。怖かった?」

「おっぱい揺れたもん!」


ダン!

床を叩いてた。


「おっぱいは揺れた!おっぱいは揺れたの!」

「……」


下手に触らないでおこう。


そう思っていたらスマホに電話がきた。


電話に出るとヘレナだった。


「大丈夫?イフリくん」

「え、うん。大丈夫」

「おっぱいめっちゃ揺れちゃった♡」


ダン!


床を叩くマナ。


「ごめん。俺が帰るまでかけないでくれる?さっきので大ダメージ受けてる人がいる」

「え?イフリくん?大丈夫なの?!」


ブツっ。


電話を切ってマナの肩に手を置く。


「泣くなって」

「揺れたもん!」


俺はマナの肩を掴んでそのまま軽く揺すってやった。


「ほら、揺れたよな?みんな確認したよ。だから落ち着け」

「うん」


案外単純そうで助かった。


そのまま俺たちはダンジョンを歩き出す。


「揺れたって揺れたよ。ないものはゆれない。でもあるのもは揺れる……」


ブツブツ言ってるマナ。


こういうの見てたら「かわいー」とか思うけど、だんだん可哀想になってきた。


(なにか貧乳であることが有利に運ぶような出来事があればいいんだが)


そう思って歩いてたら壁に亀裂が入ってるのが見えた。


「なんだ?この穴」


近付いてみると、穴は通れるようだった。


そして、穴の先にはなんと宝箱。


「ちょっと待っててくれ」


俺は中に入ろうとしたが、


「肩で引っかかるな」


入れそうになかった。


「私が試します」


レイが来て中に入ろうとした。


肩は入ったけど


「胸がぁ……」


帰ってきた。


チラッ。

マナを見ると待ってました!とは言わんばかりの顔をしていた。


「マナ、行ってきてくれない?」

「任せてくださいよー」


肩もすっぽり入って胸で突っかかることも無くそのまま入っていった。


そして宝箱を開けて帰ってきた。


俺に中身を渡してきた。


【魔王からの手紙を入手しました】


(なんだこれ、なんでこんなところに?)


そう思っていたらマナが話しかけてきた。


「ねぇ、イフリくん。私めちゃくちゃ活躍しませんでしたか?!」

「オンリーワンの活躍だったよ。君にしか出来なかったよ」


俺は軽く涙を流しながらそう言った。


健気すぎて泣けてくるよ。

ぐすぐす。


神様。

もしいるのならこの子を巨乳にしてあげてください。


お願いします。


努力じゃ胸の大きさはどうにもなんないんです。


そのまま進んでいくとやがてマグマが出てくる。


「あっついな」


呟きながら俺たちは進んで行った。


やがて両隣はマグマになっていて道幅も狭くなってくる。


しかし一方通行の道となる。


そして、その先にはボス部屋と思われる部屋があった。


ボス部屋の前まで来ると門番をしていたモンスター


(オーガか。結構大きめだな)


声をかけてくる。


「よう。何用だ?」

「このダンジョンのボスに用があるのさ」


そう言うとオーガは言った。


「ボスはかわいい女にしか会わない」

「私!」


マナがそう言ったけどオーガは答えた。


「メイド服の女だ。ここにはいねぇな、帰れ」


(限定的だな)


しかし、俺はここに来る前にあの子から貰ったアイテムのことを思い出していた。


インベントリからメイド服を取りだした。


「っ?!」


オーガはあきらかに動揺している。


が。


「仕方ねぇ」


扉の横に着いていた小さな窓をノックした。


「ボス。客です」

「むっふー」


ガラッ。


窓が開いた。


そこから見えるのは巨大な目だった。


「よかろう。会うに値するメイドか、判断してやろう。メイドよ、この前に立て」


オーガは離れた場所で待機して叫ぶ。


「パンパカパーン!ボスによるメイドチェックの開始!」


俺はマナにとりあえず渡してみることにした。


着替え終わるとマナは窓の前に向かった。


「吹けば飛びそうな娘ではないか。別の者はいないのか?!」

「あっ。私がすごく女らしくて軽そうって事ですよね?分かってますねぇボスは」


(物は言いようってこの事か)


上機嫌になりながらメイド服を脱いでレイに渡していた。


レイの場合は


「モンスター娘はもう飽きたわい」


門前払い。


残ってる女がいるとしたら。


(イキシアか。動けるかな?)


「動けるか?イキシア」

「ちゅ〜」


ダメだ。充電中らしい。

まぁ、そうだよなぁ。


元々数日かかるって話だし。


「くそ。イキシアが起きるのを待つしかないか」


そう思ってその場に座り込んだ俺だったが。オーガが声をかけてきた。


「よう。人間。お眼鏡には叶わなかったか」

「らしいよ。だが宛はある。今は待つしかない」


俺がそう言うとオーガは言ってきた。


「まだ試してねぇ奴がいるじゃねぇかよ」

「だからそいつの回復を待ってるんだって」


そう言うとオーガは俺を指さした。


「だからイキシ……」

「お前まだ試してないじゃん」


何を言い出すかと思えば。


「はははは。おいおい、オーガジョークってのは面白いな」

「ジョークじゃねぇよ」


俺の胸を指さしてきた。


「肉付きがいい。ガッシリしてる。吹けば飛ばない。条件にはピッタリだぞ?」

「俺は男だぞ」

「坊主。ここのダンジョンボスが男と女の見分け着くと思ってんのか?とりあえず着てみろよ」


俺はメイド服を見た。


(……)


覚悟を決めて身につけた。


ビリッ。

若干やばそうな音が鳴ったがなんとか着れた。


窓の前に立つ。


すると


「なんという!なんという秀逸メイドじゃあぁあぁぁ!!!!!1000年に一人の逸材!」


叫び声が聞こえた。


「無駄のない肉付き!大きくもなく小さくもない胸!そして、スカートの中が見えないが無駄のない脚線美……は予想に難しくない!」


ギーっ。

扉が開いた。


「良かろうっ!面会を許す。入れ」


……

………って。


入れるんかぁぁぁあぁぁああい!

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