第11話 巨乳は不浄
ヒンヌの村に着いた。
村に入る前の入村検査みたいなので止められた。
俺たちの審査をするのは女の子2人。
2人とも胸は大きくない。
「イフリート殿は通ってくれ」
全身くまなくチェックされたが俺は問題なく通過出来たようだ。
(形だけの検査だよなぁこんなもの)
そう思ってたら女の子の1人が言った。
「あなたたち2人は通さん」
インラーンが女の子に反論。
「なぜだ?私がなぜ通れない?」
女の子は目を細めて言った。
「巨乳だから」
俺を見てきたインラーン。
「通れないのであれば仕方がない。イフリート殿。この村のことは任せるぞ。この村の人たちの協力がなければ何も出来ないからな」
……。
初っ端から俺1人なの?!
「ま、待てって!」
そう言ってみたがインラーンは言った。
「私はあなたならきっとどのような逆境だろうと生き抜いてくれると信じているっ!」
ドヤっ。
顔をテカテカさせながらそう言っているが。
(俺に全部丸投げしただけなんだよなぁ)
◇
「ヒンヌ」
「ヒヌヒヌ」
「おー、ヒンヌー」
そんな会話を聞きながら俺は検査員2人に連れられて村の中に入った。
(何言ってるか分かんねぇ)
今更になって俺異世界に来たんだなぁって実感したよ。
まだ英語喋ってくれた方が理解できそうだ。
歩いていくとやがて大きめの家に案内された。
その中から1人の女の子が出てきた。
肩くらいまでの黒髪、赤い目。
そして、
(まな板)
ツルッツルの胸をした女の子が出てきた。
「ヒンヌ、ヒヌヒヌ」
「ふむ」
まな板が頷いて俺の前に来た。
「私は勇者です」
「そうですか」
「現国王は巨乳ばかりを勇者にしていました。これは明らかな私たちヒンヌに対する差別。そこで私たちは立ち上がったのです」
俺の前に来て見上げてくる女の子。
「我々は反逆勇者パーティ。現在の王政に抗うもの」
(あれ、なんか俺すっげぇ王道ファンタジーの世界に来た?)
この世界がこんなに王道ファンタジーだとは思わなかったぞ。
何だかちょっとだけワクワクして来たかもしれない。
「あなたは偽物の勇者パーティのメンバーに迎え入れられたようですね。ですがご安心を。我々こそが本物の勇者パーティ」
ビシッ!
俺の後ろを指さした女の子。
「あのような穢れた不浄の勇者とは違うのです」
そこにはインラーン達が立ってて俺に向かって手を振っていた。
「あんな無駄な脂肪がついたボディで勇者が務まると思いますか?」
「思わないな」
「同士よ。永遠にヒンヌ最高」
「ヒンヌ最高」
笑顔になった。
なんだか仲良くなれてる気がするぞ
それから彼女は名乗ってきた。
「私はマナと言います。この反逆勇者パーティの勇者を務めております。あなたにはあの偽物の勇者パーティを抜け私と行動してほしいと思います。まずはあのヒンヌの山を沈めるのです」
そう言って村の近くにあった山を指さすマナ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴと音が鳴っていてやばそうだった。
「ヒンヌの神が怒っているのです。あんな巨乳に勇者が務まるわけが無いと。怒りを沈めなければいけない。真の勇者として」
どうやら彼女の目的は俺たちがここに来た理由と一致しているようだ。
(行動する相手が変わっただけか)
「いいよ」
俺は手を差し出した。
「鎮めに行こう。元々そのためにきたしな」
「同士よ」
マナは俺の手を掴んで自分の胸に持っていった。
「この胸に誓います!必ず魔王を打倒すると!」
「お、おう」
ペッタペタの胸を触って俺は何故か逆に悲しくなってしまった。
神様というのは残酷だ。
「とはいえ、だ。あの噴火はどうやったら止めれるわけ?」
「ダンジョンの奥深くにボスがいます。そいつを撃破すればあの噴火は止まるでしょう。とりあえず今日は作戦タイムといきましょう」
そう言ってマナは家の方に歩いていく。
俺はついて行くことにした。
中に入るとさっそく作戦を説明される。
「中に入り、雑魚を蹴散らしながらボスを倒す。作戦はそれだけです」
「分かりやすくていいじゃないか」
頷いてると食堂に通された。
「同士。食べてください。これが最後の食事になるかもしれないからです」
キゾークの家で食べたのと同じくらいのレベルの食事が並んでいた。
そして、貧乳の女の子が俺の近くに来ていろいろ世話してくる。
食事をスプーンですくって俺の口元まで運んでくる。
俺は口を動かすだけ。
(王様みたいだー)
生まれて初めての王様みたいな待遇に俺は天にも登るようだった。
食事が終わり俺はマナに聞いてみた。
「他の勇者パーティのメンバー紹介してくれよ」
そう言うと彼女は言った。
「現在は私だけです。まだ勇者パーティになれるほどのヒンヌが来ていないのです」
「それじゃインラーンたちを連れて行ってもいいんじゃないのか?人手は多ければ多いほどいいだろ」
「それでは意味が無いのです」
俺がそういった時。
レイが口を開いた。
「ところでなんで私は通れたんでしょう?」
「あなたがヒンヌだからです」
そう言ってレイの胸を見るマナ。
「ヒンヌはくだらない欲望に飲まれていない証拠なのです。だから胸が小さい」
(どういう理屈だ?そりゃ)
と思ったけど。
「レイは連れて行けるんだな?」
「はい」
どうやらこの貧乳と二人になる訳では無いらしい。
なんとなく、そんなことに安心する。
マナはそれから玄関横に立った。
「これからダンジョンに向かいます。最低限準備を整えてきてください。必要なものはこの家の中で揃うでしょう。準備ができたら話しかけてください」
と、まるでゲームのNPCみたいなセリフを言った。
と、その前に聞いておこうかな。
「あー、そういやさ。俺は一応インラーンの付き添いできてるって感じなんだよな」
「それで?」
「俺はインラーンに指示を受けたからここにいる。あんたの指示を聞く必要はぶっちゃけないんだよ。もし指示を聞かせたいのであれば俺を雇え」
「いくら必要ですか?」
「一日一万」
「とうぜん払いますよ。話はそれだけですか?」
「うん」
俺はレイに準備を整えてくるように言った。
ご丁寧にも【食料庫】とか【武器庫】って書かれたプレートがあるから1人で行けるだろう。
「ちなみに言うことはどの程度聞くのですか?」
そう言いながら彼女は俺に一万渡してきた。
受け取りながら答える。
「死ねとか馬鹿げたことじゃない限りはだいたいなんでも」
そう答えると彼女は言った。
「今お金を受け取りました。ここから言うことを聞いてくれるんですよね?」
なぜか、ゾクっとすこし興奮したような顔をするマナ。
(何を考えてる?)
そう思ってたらマナはスカートをめくった。
「舐めてください」
「どこを?」
「決まってるでしょう?言わないと分かりませんか?」
おいおい、マジかよ……。
そんな命令は予想してなかったぞ?!
チラッと見たマナの顔表情は煩悩まみれだった!
それからもう片方の手で自分の胸に手を当てた。
「それか、揉んでください。イフリくん」
「え?」
「私だって巨乳になりたいんですよ本当は!世の中オッパイズムなんですから」
本音がダダ漏れだった。
ってか。揉めばでかくなるって聞くけど。
本当に揉めばでかくなんの?
ってか揉むとこねぇじゃん、掴めねぇんだけど?!
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