学校の漫談

 引き続き七不思議の話をする無味無臭のメンバー。リーダーの学校の七不思議が三つ目まで語られたが、その続きからである。


 なので当然、まず口を開くはリーダー。

「次に四つ目だが、誰も乗っていないブランコが風も吹いていないのに勝手に揺れる、動く……だ。しかも場合によっては幽霊の少女が乗っているのが見えたりもするらしい」

 とリーダーが言った途端。香織が訝し気な顔をする。

「うん……いやあのさぁ。さっきから薄っすら思ってたんだけど、なんかリーダーの学校の七不思議って小学校っぽくない? 花子さんて小学生のイメージだし、高校って普通ブランコないし――リーダーの学校ってブランコあるの?」

 この尤もな質問に対しリーダーはケロっとした表情で。

「ん? いやウチの学校の花子さんは立派なJKでパパ活とかしてるぞ?」

「な、なんかイヤな花子さんだなぁ。別に幽霊だからいいけど。てか、もしかして人体模型がそのパパとじゃないよね?」

 としていると。

「あ! 因みにウチの学校の花子さんはJDで普通に就活してるよー」

 突然笑顔で横槍を入れてきたのは童子だった。

「普通に女子大生っぽい事してる! ……けど幽霊って就職する必要あるの?」

 と言いながら香織は視線を三世へと向け、アイコンタクトで催促すれば。

「あ、ウチの学校の花子さんですか? ウチの花子さんはJCでテロ活動やスパイ活動をしてますよ」

「幽霊とはいえ女子中学生でテロ活とかパイ活とかアグレッシブ過ぎませんかねぇ?」

 と香織が声を上げていると三世はニコニコ微笑んだまま。

「あ、違いますよ。JCは女子中学生じゃなくてジャンプコミックスです」

「漫画家っ! 花子さんジャンプで連載任されてる漫画家さんだったっ!」

 と驚く香織だったが、自分が主役の漫画を描くだけでホラー漫画になる、七不思議の女王クィーントイレの花子さんだった。


 しかし花子さんは別として、話はひとりでに動くブランコに戻る。そしてこの話に戻したのは当然リーダーで。

「あぁそうだ。話をさっきのブランコに戻すが、ブランコと言ってもウチのは小学校にあるようなブランコじゃなくて空中ブランコの事だぞ?」

「サーカスのっ!?」

 と香織が素早く反応するが。

「いや遊園地の」

「なんで遊園地の空中ブランコが学校にあるのっ!?」

「不思議だろ?」

「確かに不思議だけどっ! でも七不思議ってそういうんじゃなくて普通怪談でしょ!」

 香織がここまで言うと――リーダーはフト虚空を眺めてから再び視線を戻し。

「ん? いや、だから言っただろう? 場合によっては少女が乗っているのが見えるって……。つまり普段は空中を旋回している少女の姿しか見えないが、たまに空中ブランコも一緒に見える事があるという訳だ。どうだ? 怪談だろ?」

「女の子は常時見えててブランコの方が場合によっては見えるって事だったのっ!?」

 これは正しく怪談。

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