えびフェア
本当になんの生産性もない、くだらないブラックタイガーの話だったが――
「う〜ん。ならリーダー! ウシエビの二つ名がブラックタイガーで気に食わないんだったら、代わりにトラエビにカッコイイ二つ名を付けてみるのはどう? 例えばブラックドラゴンとか?」
と。これを言ったのは童子だった。この言葉にリーダーは驚愕の表情を浮かべ。
「ブ、ブラックタイガーにブラックドラゴンだと……これはエビ業界に激震が走るぞ!」
(もう走ってるんですけど……私に)
とは声に出さない香織。
(てゆーかウシエビをブラックタイガーにするのは怒るのにトラエビをブラックドラゴンにするのは怒らない、その基準が私には良くわからないんですけど……?)
恐らくみんなわからない。だが、香織の内心など知りもしないリーダーは香織を無視するかの如く小首を捻り唸る。
「う〜む……しかし個人的にはブラックドラゴンという言い方よりも『漆黒の龍』の方が好みだな? ワラジはどう思う?」
「よりよき」
と深くゆっくりと満足そうに頷く童子だが。
「よりよきだけど――それだったら僕は『漆黒の龍』より『漆黒の蟹』の方がよりよきかな〜?」
「ほぅ? 漆黒のカニか……つまり中華料理屋に行くと漆黒のカニチャーハンという名のエビチャーハンが出てくる訳だな?」
「そうそう」
と童子がコクコク頷いていると。
「うん。そうそう……じゃなくて。カニチャーハンっていってエビチャーハンが出てくるのはギリギリ詐欺なんですよ」
と香織がカットインすれば、即座にリーダーが吐き捨てる。
「バカなっ! そんな訳があるかっ。カニチャーハンといって漆黒のもりそばが出てきたら流石に詐欺だがな!」
「漆黒のもりそばっ! 逆に食べてみたいんですけども! っじゃあ逆ついでに訊くけど、お寿司屋さんに行ったら甘エビは甘漆黒のカニになるって事っ!?」
するとリーダーは大口を開けて笑い出し。
「はっはっはっ。そんな訳ないだろう? そもそも甘エビとは『ホッコクアカエビ』の二つ名だ。だから二つ名が変わる事はない」
(ホッコクアカエビ? てかリーダーさっきからエビに詳し過ぎじゃない?)
「なのでそうだな……もし寿司屋で甘エビを頼むなら『大将! ホッコクアカブラックドラゴンを頼む!』だな」
「
そもそもエビがどこいった?
因みに――後にわかる事だが正式(リーダーの中では)には「北國朱漆黒龍」と書くらしい。
更に因みにだが、吉野
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