グループ名

 女子高生に絶大な人気を誇るハンバーガー屋の吉野。そこに今日もナポレオン、香織、童子、三世の4人は集まっていた。


 そして今日はなんのために集まったのかといえば――やる事は1ミリも決まってないが、リーダーの提案でとりあえずグループ名だけでも先に決めようという事になった。


 ――で。


「ではまず言い出しっぺである私から参考までに提案しよう」

 と口を開いたのは無論リーダーでそのまま続ける。

「そうだな……『新しい学校のサーヴァント』というのはどうだろうか?」

「パクリッ! ってゆーかリーダーズに対してサーヴァンツじゃなくてサーヴァントなの?」

 リーダーの提案に神速でツッコミを入れる香織だが。

「ああ、サーヴァンツだとあからさまなパクリだから私なりに気を遣ってみたのだ」

「うん。いや、変えるならサーヴァンツをサーヴァントにの方じゃなくて『新しい学校の』の方を変えた方がパクリっぽくないと思うんだけど?」

 敢えてパクリ自体は否定しない香織が零していると、横から童子が片手を上げてカットイン。

「あ! じゃあこういうのはどう? 『いじめが存在するクラスのリーダーズ』っていうのは?」

「いや、それもういじめ加害者だって半分自白しちゃってるだけじゃないっ?」

 と、鋭い意見を述べる香織に更に横から三世。

「じゃあ『いじめ加害者のサーヴァント』はどうですか?」

「うん。いじめ被害者を厨二病っぽく言ってるだけだよね? てゆーか、いじめみたいなセンシティブな単語は避けた方が良くない?」


 この香織の意見には賛成だったかリーダー。

「確かにそうだな? なら私から再びの提案だが『新しい学校のリーダーズのYOASOBI』というのはどうだ?」

「くっ付けただけっ!!」

 目をひん剥いて驚く香織だが。

「いや、これならどちらからパクったかわからないのではないかと思ってな?」

「さすがリーダー頭イイ!」

 とサムズアップ見せる童子だが透かさず香織。

「そーゆー問題じゃなくないっ!? たぶんどっちのファンからも怒られるし夜遊びっていうより火遊びだよソレッ!」

 そりゃそーだ。


「あ、じゃあこういうのはどうですか?」

 と片手を上げてゆったりと割り込んできたのは三世だった。

「各所から怒られても平気なように最初っから素顔をメディア露出しない……唯一露出するのはアゴだけのグループで『Ado』というのは如何ですか?」

「なんでっ!? そこは『Ago』でしょ! なんでわざわざ丸パクリの方に突っ走るのっ!」

「Ahoだからでしょ?」

「それで上手い事言ったつもりワラワラ!?」


 ――結局。香織がツッコミを入れまくっているだけの様相だったが、最終的にグループ名は良くわからない内に「無味無臭」に決まりました。

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