ルパン三世

「よし。では次は三世頼む」

「あ、私ですか?」

 リーダーの自己紹介が終わり。次に指名を受けたのはルパン三世みつよだった。

 なので三世は咳払いを一つ入れると自己紹介を始める。


「実は私もリーダーと一緒でみなさんに黙っていた事があります。それは――実は私、本当は24歳なんですが謎の黒ずくめの組織に得体の知れない薬を飲まされて10歳くらい若返っているんです。なので見た目は子供、頭脳は大人……なんです」

(ルパンなのにっ?)

 と透かさず内心でツッコミを入れる香織だが。

「見た目は子供、頭脳は大人。その名は名探偵ルパン三世……という事か」

「いやリーダー。そこは『さんせい』じゃなくてちゃんと『みつよ』って言わないと誤解が……しかも探偵でもないし」

「ん? あぁそうか……」


 ――と。リーダーと香織がやり取りをしていると三世は続ける。

「まあ、そんな訳で10歳ほど若返ったので肉体的には14歳前後ですが、中身を考慮して高校生をやってます。それと急に若返ったのでみなさんが友達になってくれるまで同世代の友達が全くいなくて……愛と勇気だけが友達でした」

(ルパンなのにっ!?)

 と相変わらず心の中で香織がツッコミを入れていると傍らでリーダーが呟きだす。

「愛と勇気だけが友達……? クリリンのことか……クリリンのことかぁーっ!!」

「いやルパンだよっ! いや違うアンパンマンの事だよっ! なんで急にクリリンが出てくるかなっ!?」

 これには思わず叫び声を上げる香織だったが、透かさず三世は軽く片手を上げ。

「オッス! オラ悟空!」

「いやルパンだよっ! なんでみっちゃんまで乗っかってくるかな?」

 右に左に、喩えるなら風を払う荒れ狂う稲光のようなツッコミを入れている香織だが、話はここで一旦ようやく落ち着き。再び三世がゆっくりと口を開く――


「とまあ、こんな私にも皆さんという友達が出来た訳なんですが。それはつまり――皆さんはとんでもない物を盗んでいきました……それは私の心です」

(ルパンなのにっ!?)

 と内心でツッコんでからの。

「いやルパンなら盗まれる方じゃなくて盗む方でしょ? 実際にカリオストロの城じゃクラリスの心を盗んでいったし……」

 とこちらは声に出す香織。……に対して三世。

「いや、それは本物のルパン三世で私はルパン三世ですから」

「うん。だからそれ読み仮名がないとどっちもルパン三世なのよ……」


 ……という訳で謎の組織によって10歳ほど若返ってしまったルパン三世の自己紹介はここまでとなった。

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