終話 終わらない赤ペン

 今日も顔の見えない誰かが悪口を囁き、赤ペンが追加されてしまう。

 だから赤ペンは増え続ける一方で、消える事がない。俺は何もしていないと言うのに……。


 もううんざりだ。面白そうに書き足していく赤ペン、消えないで見続けなくちゃいけない文字に、俺はもうつかれてしまった。


 どこまでいけば、俺のコレは消える……? お前達は、いつになれば、面白おかしく論うのを辞めるんだ? 

 

 俺はもうこんな風になったのに……こんな惨めな思いを抱えながら一生生きていかなくちゃいけないのか?


 ……俺が死ぬまで続くのか?


 嗚呼、きっとそうだ。終わらせるにはしかないんだ。

 

 過酷な現実を噛みしめたその時、俺はハッとある事に気がつく。

 

 俺も人を辞めれば、この不幸から抜け出せると言う事に。誰かに赤ペンを刻む事が出来ると言う事に……!


 突然差し込んだ光明に、俺はハハハハハッと高らかに哄笑する。

 そしてガラリと勢いよく窓を開け、大笑いしながら叫んだ。


「俺をこんな風にした全員に、赤ペンを付けてやるよ!」


 力強い宣誓と共に、俺はバッと勢いよく飛び出した。

 

 まだまだ


  

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貴方に赤ペンを付けてあげますよ 椿野れみ @tsubakino_remi06

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