とまあそんなワケで本編です。

 Side 赤城 ようこ


 どうも赤城 ようこです。「しょうこ」じゃなくて「ようこ」です。

 作者は「しょうこ」と「ようこ」を間違えてしまいそうになってます。

 そもそも短編で七人の登場人物を全員覚えるのが土台無理な話だよね。

 何年小説を書き続けてるんだ作者は。

 そんなんだから30半ばになって何時までたってもアマチュアなんだ。


「ようこ!? お前何か嫌な事でもあったか!?」


 みどりちゃんに止められたのでこの辺にしときますね。

 んじゃあ早速スタート。



 その1:何時もの日常


 =昼・特撮の聖地・採石場の広場=


『デジレッド!!』


『デジブルー!!』


『デジピンク』


『デジイエロー!!』

 

『デジグリーン……』


『『『『『五人そろってデジレンジャー!!』』』』』


 と、高い場所から見下ろすようにポーズを決めて背後がドッカーン。

 五人の色にそれぞれ対応した爆発が起きる。

 眼下には幹部のサディアーヌと今回の怪人に戦闘員の皆さんがいるよ。


『なあ? これ毎回やらなきゃダメなのか?』


『みどりちゃん! それ言っちゃダメ、お約束だから!』


『お約束って——』


 みどりちゃんの一言でマリンちゃんがハッとなりました。


『視聴率……スポンサー契約……玩具の売り上げ……どんなに頑張って地球を守っても金が……売り上げが全てなんです……』


 そう言ってマリンちゃんは泣き崩れました。


『いや、メタにも程があるだろ!? てかこれ、短編だし、流行りのジャンルでもねーし、評価とか絶望的だろーが!?』


『みどり——アナタも相当メタいわよ』


 と、みどりちゃんを抑えるようにももかちゃんが言います。

 流石ももかちゃん、大人だ。


「私達がどんなに地球侵略頑張っても所詮は小説サイトの片隅で虚しく繰り広げられている、観客ゼロで行われるプロレスみたいなものですわ——」


 と、悪の女幹部であるサディアーヌさんも涙を流します。

 戦闘員たち今週の怪人も「もっとこのジャンル流行らないかなぁ?」とか「無理言うなよ。流行りは異世界だから」とか言い合ってます。

 悲しい。


『何が悲しいだよ!? てかサディアーヌさん!? お前宇宙人だよな!? なんでそんな昭和の売れないアイドルみたいな例え出すんだよ!? キャラ考えろキャラを!?』


『落ち着いてみどり、胃に穴が開くわよ』


 暴走するみどりちゃんにももかちゃんがストップをかけます。


『て、リッカ!? 何ヘルメット取ってカレーライスを食べてんだ!?』


 もぐもぐと美味しそうなカレーを座って食べるりっか。

  

「いや、カンペでキャラを立ててアピールしとけって言うからさ……」


『だからってカレーどこから出た!?』


「あそこから」


 リッカは銀の匙を向けます。

 その匙の先を目で追うとそこには——


『地球侵略しに来た悪の親玉がなにカレーつくってんだ!?』


 みどりちゃんが言うように敵の総司令官であるリオンがカレーを作っていました。

 しっかりと屋台を引いてエプロンにコック帽を被り、カレーを撮影スタッフなどに振る舞ってます。


「どうせ地球侵略しても、所詮は戦隊物の短編。読者の皆に「ああ、そんな作品あったね」とか言われて忘れ去られるし、好きなことしようかなと……」


『それでいいのか悪の総帥!?』


 みどりちゃんが泣きながらツッコミを入れます。

 

「おかわり」


「あ、どうも」

  

『お前もお代わりしてカレー食ってんじゃねえええええ!? デジロボット呼び出してペシャンコにすんぞオラァアアアアアアアアアア!?』

  

 平和に悪の総帥のリオン君にカレーのおかわりを頼むリッカにみどりちゃんが力の限り叫びます。 

 

『てかお前も見てないでどうにかこの事態を収拾しろ!?』


『って言われても~』


 みどりちゃんの言う通りなんだけど——


『一応変身ヒロインの戦隊物が売れる方法はあるにはあるらしいよ』


『なんだ? このみどりちゃんに言ってみろ?』


 私を意を決して言う。


『官能小説ジャンルならいける』


『マテやこらぁあああああ!?』


 胸倉を掴まれて思いっきり揺さぶられる。

 

『それぐらいしか確実に売れる方法が思いつかないんだもん』


『思いつかないんだもんじゃねえ!! 官能小説で変身ヒロインって●魔忍じゃねーか!! そう言う層にしか売れねーよボケが!!』


『みどり、本当に落ち着いて。私だって聞いてて辛いわ』


 ももかちゃんが必死にみどりちゃんを止めようとする。

 

『つか官能小説書くとしてだ。戦隊もので、なおかつ五人分のHシーンを小説で書くとか大変だろ? ウチの作者はノクターンでアウティエルすらエタってる状態なのに無理だろ?』


『みどり、アウティエルは隠し設定が複雑すぎるだけなのよ』

 

 ももかちゃんは作者に助け舟を出します。


『だけどももか、それにしたって作者は気分屋がすぎるだろ? 一体幾つの作品エタってるんだ? これ書いてる時点で大体三十作品近くはエタってんじゃねーのか?』


 ももかちゃんの助け舟虚しく厳しい現実を突きつけます。


「難しい話まだ?」

 

 そしてリッカはまだカレー食ってました。


『そう言えばマリンちゃんは!?』


 ハッとなって私はマリンちゃんを見ます。


『……どうして私戦ってるのかしらね』


 と、3角座りしていました。


『おいマリン!? しっかりしろ!? お前までボケに回られたら私が困るんだよ!!』


 そう言ってみどりちゃんはマリンちゃんの両肩を掴んでグワングワン揺らします。


「私何かカレー食ってるだけで終わったな」


『リッカ、お前はカレー食い過ぎだ!?』


「カレーまだあるよ」


『リオン、お前はもう地球侵略諦めてカレー料理店でも開いてろ!?』  


 と、矢継ぎ早にツッコミを入れていきます。

 みどりちゃん凄い!!


『みどりちゃん凄いじゃねえ!? つかモモカ、一応お前が纏め役の設定なんだからちょっとは自己主張しろ!?』


『ええ~やだぁ』


『やだぁじゃねえよ……まあ気持ちは分かるけど——』


 ももかちゃんの気持ちを察したみどりちゃんでした。


「今時流行んないのかしら、地球侵略とか」


『サディアーヌとその他大勢!! そろそろ帰って来い!?』


 すっかり意気消沈しているサディアーヌたち。

 こうしてアクマーダ帝国との戦いは続くのでした。


『いや、私達今回戦ってないし!? 場末のヒーローショー感が漂ってるんだけど!?』

 

 みどりちゃんも最後までツッコミお疲れ様。 


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【短編】戦隊ヒーローやってます!! MrR @mrr

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