episode9.クラス替え(入れ替えもあるよ)
俺––
これはそんなバカップルの、クラス替えの1話に過ぎない。
気づけば春休みも終わり……おい、俺の春休みカットすんなよ。気づけばクラスが発表されていた。
「みんなで見よー!みんな文系だから全員が離れ離れってことはないね!」
俺、春樹、結菜、神崎さんは全員文系で、文系は3クラス構成なので、誰かしらは同じクラスになる。
文系は4〜6組である。因みに神崎さんは追試でなんとかなった。追試ありがとう。俺もう追試と結婚しようかな。
「4組はー、あっ!私の名前あった……」
結菜が肩から落胆する。そして、山下 結菜と書かれたすぐ下に山瀬 海斗と書かれてあった。残念、春樹と結菜が同じクラスになる未来はありませんでした。
「おいゴラ、海斗。俺の結菜に手を出す奴がいたら任せたからな」
「嫌っ……て、俺託されてんのかよ」
手を出したらタダじゃおかねえ見たいな感じのこと言われると思ったのに。まあ、結菜は海斗の妻ってイメージがついてるので誰も手を出さないのだが。
「春樹くん!私たちは6組でしたよ」
えっ?!神崎さんと春樹一緒なの!
「おい春樹、神崎さんにたかるハエは殺して構わん」
「デンジャラスすぎるだろ」
春樹はかっかっかっと笑う。いや、笑い事じゃねーから。まじ、洒落になんないよ。その後は二手に分かれてクラスに向かった。
俺は毎度の出席番号最後だ。そして俺の前には去年同様結菜がいる。担任はヨボヨボのお爺ちゃん先生だ。
「はーい、じゃあねー、自己紹介からしよーねー」
出席番号1番から自己紹介を始める。俺は大体右から左。ほとんど聞いていない。と、気づけば結菜の番が来ていた。
「初めまして、山下結菜です。好きなものは春樹で、私の彼氏も春樹です。春樹以外の男子には興味無いので夢を見るのはやめてください。一年間よろしくお願いします」
そんな自己紹介で誰がよろしくするんだよ。まあ、結菜&春樹カップルは校内公認みたいなとこあるから、ダメージはさほど無いんだろうけど。
「初めましての人は初めまして。山瀬海斗です。一年間よろしくお願いします」
俺が着席するとパチパチと拍手が聞こえる。そんな拍手している人の名前を覚えていないのはご愛嬌。
その後は先生の自己紹介やイベントの報告で話しで1時間目は終わりに達しようとしていた。
「あぁ!もうダメだ!春樹エネルギー切れちゃう!先生!6組行ってきます!」
ダメなのは結菜の頭だろ。なんだよ春樹エネルギーって。立ち上がった結菜は流れるように扉に向かう。
「ちょっと待とうか。あのねー、高校生にもなって、自分の感情を制御できないのはちょっと危ないことなんじゃ無いかと先生思うなー」
トイレ感覚で「行っていいよー」というわけなく、ドアの前で立ちはだかる。先生の正論に結菜はゴネる。何やってんだよ。と、奥から声が……。
「結菜ー!!結菜エネルギーが切れそうだ!」
先生がキレそうだよ。走ってくる春樹の後ろに先生が二人追ってきている。本当に何やってんだよ。脳裏にクスッと笑う神崎さんが映し出される。はあ、会いたいなー。
「春樹!私もエネルギー切れそうだった!」
そう言って春樹に抱きつく。先にやることあるだろ。
「そうだ!お爺ちゃん先生、あそこの海斗とここにいらっしゃる春樹を交換してくれません?」
あそこのって言うな。てか無理に決まってんだろ。聞いたことねぇよ。交換。って言いたいが去年もそうなんだよなー。交換された林くん……。誰だよ林くん。
「何を馬鹿なことを……」
「先生、20でどうでしょう?」
おい、なんかやり始めたぞ。
「流石に社長令嬢とは言え、それは出来ませんねー」
「先生、300でどうでしょう?」
300万円ってことだろ?ケタ飛びすぎだろ。一枚でいいから俺にくれ。
「もう一声」
おい、教師、もう一声じゃねーよ。
「400ですね。交渉成立です」
そう言ってお爺ちゃん先生と握手する。好き放題やり過ぎだろ。
「山瀬くん、早く6組に行きなさい」
「嘘だろ……」
うっかり本音が漏れる。俺どんな顔して6組行けば良いんだよ。ガチで。
「海斗、6組には神崎さんがいることを忘れるな」
すれ違いざま春樹に耳打ちされる。そうじゃん!
「神崎さーん!待っててねー!」
俺は全力疾走で2クラス隣に行く。そうして6組になったのだった。
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