第5話 出会いと記憶(3)

「おい、真奈いねえの?庇ったら分かってるよな」僕は怒鳴りこんだ。

「あそこです」いじめられたくない同級生は指を指して真奈の位置を教えた。助けてあげる子は誰もいないのか。僕は悲しくなった。

「おい、来いよ」僕は真奈の腕首を掴んで空の教室に連れ込んだ。真奈は、とても悲しそうなショックを受けた顔をしていた。

「お前、土下座した動画アップされかけてるの知ってる?」

「知ってるけど、急に何?普段見ていただけなのに」真奈は睨みつけながら言った。

「本当にごめん。」僕は謝った。

「動画は削除しておいた。助けられなくて本当にごめん」

「動画の件はありがとう。でも、ごめん信じられない。」真奈は削除してくれた事は感謝してくれたけど昔のように信じて僕を見て話してはくれなかった。

「俺も不良グループのいじめのターゲットになるのはゴメンだ。俺が思いっきり適当に怒鳴ってドアをけるから走って出ていってくれ」僕は言い、「てめえなんて消えてしまえよ」と怒鳴った。そしてドアを思いっきり蹴った。真奈は、まだ疑っている様子だったが外に走って出ていった。

その日の夜、グループではスマホを水に沈めた犯人探しが始まった。僕は真奈を連れ込んだのを見ていた連中がいたので運良く犯人候補からは外された。でもバレるのは時間の問題だった。

ある日、ビルの屋上階に僕は真奈に呼ばれた。でも、真奈はいなかった。その代わり折りたたみ椅子が置いてあって椅子の上に一通の手紙があった。LINEの通知がピロンとなった。昨日から通知音がうるさい。LINEを開くと100を超えていた。開くと「例の動画あげてやったぜ」というメッセージと一緒に真奈の動画をアップしたスクリーン録画を送信していた。僕は真っ青になった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る