第4話 出会いと記憶(2)

2年前、僕は不良集団の一員だった。

身長は160センチと決して高くなかったが筋肉質だったり、運動神経が良かったから喧嘩で負けた事はなかった。夏ぐらいからだろうか、僕に昔みんなが避けるなか優しく接してくれて一時は付き合っていた高橋真奈という女の子がいじめの標的になった。自分の前で、真奈が殴られたり教室の机に「死ね」とか落書きされたりする様子を僕は見ていることしか出来なかった。そんなある日、不良グループの1人が僕に動画を見せてきた。それは、真奈が土下座して謝っている姿を撮った姿だった。

「テキトーに、財布を盗んだことにしてSNSに投稿してやろうと思ってんだ。あとで、真奈を、いじめる案を考えるLINEグループに招待してやるから楽しみにしてろよ」

SNS?僕の頭の中が真っ白になった。そこまで、エスカレートしていたのか!僕は真奈がSNSに動画をアップされデジタルタトゥーをつけられる事は避けたかった。

「たかが、土下座の動画?甘くない?俺なら数倍屈辱な目に合わせられる動画にするね」

「お、どういうのだ?」

「楽しみにしとけよ。その代わり動画俺にくれないか?」

動画を少しでも早く回収したい。デジタルタトゥーだけは避けさしてあげたい。オッケーを貰えたので動画は自分の手元に手に入れることに成功した。動画は相手のスマホにも保存されているから隙を狙って水に沈めた。

コレでアップはされないはずだ。

準備は整った。僕は真奈の教室に向かった。

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