第十九章 二家族水入らず のはずが……
旅館は本館と別館からなっており、駐車場には二十台ほど置けるスペースがある。宿泊客送迎用のマイクロバスも所有しているようだ。
夜なので全体は見えないが、ホームページから受けた印象よりも広い敷地であるらしい。
車を玄関前に停め、大量の荷物を三人の仲居さんに手伝ってもらい、二階の部屋まで運んだ。
幸い、階段を上がってすぐの部屋だったので持ち運びの距離は短くて済んだ。
部屋の隅に荷をまとめて置き、仲居さんたちは
「それではごゆっくりお寛ぎください」
と深々と頭を下げて去っていった。
汐音とみのりちゃんは取りあえず必要なものをバッグから取り出している。
私と町田さんは縁側風バルコニーで、向かい合わせに設えられた安楽椅子に落ち着いて、街灯以外は何も見えない外の景色を見るともなく眺めている。
「意外と広い部屋ですね。それに外もゆったりした感じだし」
「そうですわね。有名な温泉地と違ってまわりが静かだし、わたしたちだけの貸し切りみたいで贅沢だわ」
長時間固定されていたシートベルトからようやく解放されて、町田さんは心地よさそうに、安楽椅子の背もたれに深く身体を沈めてリラックスしている。
五分ほどして女将が改めて挨拶しにやってきた。
「この度は当旅館をお選びいただきまして誠にありがとうございました。
短い期間ではありますが、どうかご自宅にいらっしゃるのと同じようにお寛ぎいただければ幸いに存じます。
なにかご用命がありましたらなんなりとお申し付けください」
そう言って畳に額をつけんばかりにお辞儀をした。
「こちらこそよろしくお願いいたします」
と、私が四人を代表して述べた。ほか三人もそれぞれに笑顔を作って頭を下げている。
「お時間もお時間ですし、先にお食事になさいますか、それともまずはお風呂をご堪能していただきましょうか」
「どうしようか。先にご飯を食べて、その後でゆっくり温泉に浸かって温まりますか」
「そうねえ。わたしもだけど汐音ちゃんもみのりもお腹が空いてるんじゃないかしら。
それに今日はひとりで運転士を務めた藤村さんも空腹の極みだと思うの」
私のお腹から発していたグルグル音が耳に入っていたのかもしれない。
「ではお食事のご用意を先にいたしましょうね。お風呂は二十四時間掛け流しですから、いつでもお好きな時にお入りになれます」
女将が食事を先にする旨を宣言してくれたので、あとはそれに乗っかって過ごせばよくなり気分が楽になった。
「それと、実はひとつお詫びをしなければならないことがあるんですよ」
女将が改まって私たちの表情を少し不安げに窺っている。
「藤村様がご予約の際に、本日の当館の宿泊予定は藤村様御一行だけと申しておりましたが、藤村様がご予約された直後に二件のご予約が入りまして、本日は一団体ともう一家族の皆さま方もご宿泊なさっておられます。
団体の御一行は少人数の学生さん達と引率の先生の合宿旅行と聞いておりますので、あまり賑やかなお振る舞いはないかと存じます。
別の御家族もお上品そうな方々とお見受けしましたので、藤村様にはご迷惑が掛からぬものと考えております。
念のため、一部屋ごと間をあけておりますが、万一、不都合な点がございましたらご遠慮なくお申し出ください。
受付は二十四時間、係の者が待機しておりますので、お電話か直接フロントにお越しいただいてもかまいません」
そう言えば荷物運搬の際、私たち四人に対し、仲居さんが三人も就くのは多すぎると、意識の表面ではないところで薄々感じていた。
予想外に宿泊客が増えたので、急遽パートの仲居さんに応援を依頼したのだろう。
上がってくる際にチラッと見えたが、一階には小さな遊技場や飲食スペース、ロビーがあったので、同宿者と顔を会わせることもあるだろうが、まあ普通の宿なら当たり前である。
町田さんたちも特に気にするようではなさそうなので
「ああ、お構いなく。この時季にたまたま同じ宿に泊まるのも何かの縁でしょうから。私たちはぜんぜん気にしませんよ」
「ご理解いただきありがとうございます。こちらといたしましても精一杯のご奉仕をさせていただきます。
ではお食事のご用意をしてまいりますね。しばらくお待ちになってください」
食後は風呂に入ることもあり、お酒の注文は瓶ビール一本にした。
最近は居酒屋呑みが多いので、ジョッキかチューハイグラスを片手で掲げて「お疲れっ!」が普通だが、互いに瓶からコップに酌をして乾杯をするのは実に久しぶり。
その後に運ばれてきた料理はとても心のこもったものばかりだった。
山にも日本海にも近い地の利を活かして、海・川・山の幸を贅沢に使った、街なかでは絶対に味わえない田舎と温泉の風味を満喫。
完食後は四人ともしばらく充実感で動けない状態となる。
「そう言えば、ほかのお泊りの人たちの声が聞えないよね。みんなもう寝ちゃったのかな」
みのりちゃんが座椅子の背にもたれたまま、思いついたように言った。
確かに私たちの話し声以外は聞こえてこないし、すぐ横の廊下を誰かが歩く気配や階段を昇り降りする足音も感じない。
「隣の家族は上品なセレブらしいから、きっとここのお料理もナイフとフォークで音をたてずに食べたのよ。もちろんお喋りは厳禁。
学生さんたちは受験の合宿だから、ご飯やお風呂に費やす時間は最小限、休憩も寝る間も惜しんで勉強しているはず。一階でゲームをするなんてもってのほか! なので部屋から一歩も出てこないの」
汐音が確信的によその部屋の事情を決めつけた。
彼女の独断意見に特に反論する者はなく……と言うより満腹感と倦怠感でよその部屋のことはどうでもいい思いが支配的だ。
さて、このまま部屋でのんべんだらりとしていても温泉に来た意味がないので、私・町田さんと汐音・みのりちゃんが交代で風呂に行くことにした。
この旅館には通常の男女風呂と三つの家族風呂、それに奇数日・偶数日で男湯女湯が入れ替わる露天風呂がある。
露天風呂に関してのシステムがちょっと変わっており、日付が変わって午前零時から明け方の六時までは、なんと男女混浴となるのだっ!
と言っても水着着用が絶対条件で男女とも二十歳以上でなければならない。
私も町田さんも汐音たちに混浴へ誘われたが、丁重にお断りした。
五十過ぎのおっさんが混浴などに行こうものなら下心丸見えだし、そもそも海パンを持ってきていない。
そう理屈を並べていると汐音が
「そう言うだろうと思ってちゃんと藤村さんの水着も買っておいたよ」
言いながら、バッグからまっ赤なブリーフスタイルの海パンを取り出して広げて見せた。
「なんぢゃそりゃあ⁉」
思わずオクターブ高い声をあげてしまったが、汐音とみのりちゃんは私が予想通りの反応を示したので爆笑している。もちろん私が絶対にそんな水着をつけないと判っていての犯行だ。
町田さんは事情を知ってか知らずか
「まあ! それくらい目立つ色なら溺れてもすぐ見つかるわよね」
などと上品に爆笑している。
風呂は別館にあるので、町田さんと連れ立って歩いて行った。
こうやって揃いの浴衣姿でそぞろ歩くのはいい気分だ。
我々が入るのは普通の男女別風呂なので、残念ながら《女》・《男》と別々の暖簾をくぐらなければならないが。
男湯。
時間は午後十時半。二つある広い湯船に私ひとりだけ。ぬるめの湯と熱めの湯船に別れており、私は熱い方に入る。
十五分ほど浸かり、洗い場でその日の垢を身体と頭から落とし、最後にシャワーを浴びて、かいた汗を流して上がった。
自販機で定番の瓶入りコーヒー牛乳を買い、身体を冷却しつつ仁王立ちスタイルで飲む。
女湯。
浴場に入ると二つある浴槽の一方に先客がふたり浸かっている。
町田さんは誰もいない方に行き、手で熱さを調べてみると丁度良い湯加減だったので、掛け湯をして湯船に肩まで入った。
あちらの方は多分、もう一家族の泊り客なんだろうなと思いつつ、特に気にかけることもなく彼女は目を閉じて、温泉の効能が身体に沁み渡るのを直に感じていた。
すると隣りの浴槽から会話が聞こえてくる。
「わたし、お風呂に浸かるのは慣れてないから、うたせ湯だけ浴びて先に上がるね」
「あら、気分が悪くなったんじゃないの? 大丈夫?」
「うん、大丈夫。あっちに戻って冷たいものでも飲んでます」
「そう。滑らないよう足もとに気をつけてね」
話しのやり取りからすると親戚か知り合いのようだ。
しばらくして目を開けると、湯に浸かるのが苦手と言っていたと思われる、二十歳になるかならない位の女の子がうたせ湯に当りながら気持ち良さそうにしているのが見えた。
彼女が終わったらわたしもうたせ湯で疲れを落とそう。
しばらくして女の子が脱衣場へと出て行ったので、少し間を置いて町田さんもうたせ湯に向った。
もうひとりの女性はまだ湯船に浸かって寛いでいる。
男湯を出て本館へと廊下を戻る。
一階の共有スペースには浴衣姿の女の子が、濡れた髪を後ろでゆるく束ねて、飲食用のイスに腰かけてテレビを視ていた。
彼女の前のテーブルには飲みかけのコーヒー牛乳が置かれている。風呂上りの定番は世代を超越しているらしい。
遊技場内を見渡すと卓球台、それにまだ点数表示がデジタル化される前のピンボールがあった。
さらに一九七〇年代後半から八〇年代前半にかけて、日本中を席巻したテレビゲームの大定番『スペースインベーダー』のオリジナルモデルが現役で稼働しているではないか!
思わず小銭入れから百円玉を取り出し、コイン投入口に押し込んで四〇年以上前のゲーム喫茶へタイムトラベルした感覚を味わった。
テレビを視ていた子は一瞬こちら側に振り向いた程度で、特に私を気に留めることもなくテレビに視線を戻している。
長風呂の町田さんも充分に満足したらしく、日付が変わる前には本館に戻ってきた。
階段を上がろうとして遊技場の方を見ると、さっきうたせ湯にいた女の子が、座ってテレビを視ている。
ゲーム機の電子音が聴こえるが、音を発している機械は今いるところから死角になっているのでゲーマーの私の姿は見えない。
部屋に戻ってみのりたちと交代し、あとはテレビを視ながら、藤村さんと寝酒を楽しむなりしてゆっくり過ごしましょう。そう考えながら彼女は階段を昇っていった。
「あら、まだ汐音ちゃんのお父さん、戻ってきていないの? お風呂で寝てるんじゃない?」
「きっと一階でゲームでもしてるんだよ。さっきからピュルルルルルって音が下から聞えてるし」
「そう言えば誰かがゲームをしているような音がしていたわ。姿は見えなかったけど、あれがきっと藤村さんだったのね」
「じゃあ今度はわたしたちのお風呂の番ね。お母さん、藤村さんが上がってくるまでお留守番をお願いします。行ってきまーすっ」
「本当に混浴露天風呂に入るの? 気を付けなきゃだめよ。世の中には変な人もいるんだから」
「大丈夫よ。変なの出たらみのりちゃんが空手でやっつけてくれるし」
「空手って、わたしのは型だし、その上始めたばかりの通信教育だから、実際の戦闘には役に立たないと思うけど」
「いいのよ、空手やってるって言うだけで相手はビビっちゃうから」
『午前零時を過ぎたので露天風呂は混浴となっております。かならず水着着用でお入りください』との張り紙が入り口に掲げられていた。
「ねえねえ、ビキニにする、それともワンピース?」
「汐音ちゃん、ビキニ持ってきたの? 湘南とかハワイじゃないんだよ」
「だってせっかく水着スタイルを披露するんだから可愛いのがいいじゃん」
「誰に披露するのよ。ここ、山陰の温泉の露天風呂だよ。もし誰か入ってくるにしてもシニアの夫婦とかだよきっと。汐音ちゃんが期待してるようなイケメン男子は絶対こないって」
「ほら、でも学生さんが団体で泊まってるって言ってたじゃない。もしかしたらその子たちが入ってくるかもよ」
「でもその子たち、男子とは限らないでしょ。女子学生の団体かもしれないし。男子か女子か聞いてる?」
「……聞いてない。んじゃもう誰も来ないならビキニにする!」
「いいんじゃない。わたしはこれしか持ってきてないからこれ」
そう言うと互いに背中を向け、水着に着替え始めた。
「ちょっと、みのりちゃん。それスクール水着じゃない」
「違うよお。おへそのところと背中に飾り穴が開いてるでしょ。立派なファッション水着です!」
「だって色がさあ、濃紺って言うか、典型的なスクール水……」
「さ、早く行きましょう。風呂に入れば水着なんて関係ないし」
「あのお、誰かいますかあ」
声を出して先客がいるかどうか確認したが、応答はない。入浴者は彼女たちだけらしい。
「ね、昼の露天風呂もいいけど、星空の下の露天風呂はまた格別だね」
「そうね。わたしはよく知らないけど、みのりちゃんは星の名前とか詳しいでしょ」
「詳しくはないけど、星座の形とかなら判別つくかな。あれがオリオン座、あっちは北斗七星」
「ふーん。ね、ね、あのもわっとした雲みたいな塊りがあるじゃない。あれは?」
「あれはプレヤデス星団。日本ではすばるって言うけど、プレヤデス星団って言った方がかっこいいでしょ。
あの星団は七人の姉妹が天に昇って、輝く七つの星になったって神話があるのよ。
その中でも一番明るいのが《アルキオネ》」
「へー、さすがみのりちゃん。
ね、今度プラネタリウム行こうよ。もっと宇宙の話しが聞いてみたい。まずは宇宙誕生の瞬間から」
「ち、ちょっと待って。そこからだと宇宙物理学とか素粒子物理学とか理論物理学とか、ただの聞きかじり宇宙論じゃ説明できないよ。
それにね、汐音ちゃん。プラネタリウムなんて恋人と行く所だよ。彼氏とかいないの?
ほら、ファイヴ・カラーズの黄色の子とメールのやり取りをしてたじゃない。どうなってるの、あれから」
「まだやり取りしてるよ。最初はファンとしてだったけど、今はお互いアンドロイドだから友だちみたいな感じでSNSしたり電話してる。だからファンは卒業しました。
向こうは相変わらず忙しいから、会ってどこかに行くなんてかなり難しいのよね」
「そうなんだ。でもずっと交流が続いているならいつかいいことあるかもね。アンドロイド人生は長いし」
「そうそう。ほぼ永久寿命だから人生設計を長い目で見るのが大事だよね。
ところでさ、みのりちゃんはどうなの? 付き合ってる人っていないの」
「わたし? うーん、付き合ってるとまでは言えないけど、いろいろ相談に乗ってあげてる人はいるかな」
「そうなんだ。やっぱり裸じゃないと恋バナってできないよね」
「水着つけてるけどね」
再び女湯。
先ほどからいる女性客、今はぬるま湯の浴槽に移っている。
脱衣場から甲高い声が聞えてきたと思ったら、中学生くらいの女の子二人が浴場に走り込んできた。
二~三分ほどして二十歳前後の女性ひとりも加わり、風呂場は一気に賑やかになった。
「ほら、ちゃんと掛け湯をしてからお湯に入りなさい。そっちは熱いわよ!」
と先客の女性が女の子たちに声をかけている。どうやらふたりの母親らしい。
後から入ってきたその子たちの姉らしき若い女性は、足からゆっくりと浸かり、身体を慣らしながら先客である母親と思しき女性の横に腰を落とした。
「ねえ、お母さんさあ、もう一時間以上入ってるよね。頭のぼせない?」
「大丈夫よ。熱い湯とぬるい湯を交互に移動しているから」
「わたしは温泉が初めてだけど、家で入るお風呂の湯とはぜんぜん感覚が違うのね」
「そうね。家では単に水道水を温めているだけだけど、温泉には色々な成分が含まれているから、その成分の違いや濃淡で肌が刺激されてピリピリしたりすべすべになったりするの。だから人によっては刺激が強過ぎて痛く感じるかもしれない。
あなたはどう? 気に入った?」
「うん。とってもリラックスできそう」
それから二人はしばらくの間、お湯のゆったりした流れを楽しむように静かに浸かっていた。
会話はそれほど多くなくても、心は通じ合っている母娘なのだろう。
年下の姉妹たちは他の入浴客がいないのをいいことに、広い浴槽をプール代わりにして泳いでいる。
果てはアーティスティックスイミングと称して水中倒立までチャレンジする始末。
足二本、二人分だから四本の足が浴槽面から突き出して屹立している。確か映画のシーンでこんな情景があった。『犬神家の一族』とかなんとか言うタイトルの映画だったろうか。
母親と姉の二人は並んで洗い場で身体を磨いている。
「ねえ、あの子から連絡あった?」
「さっきメールが届いてた。飛行機の乗り継ぎで少し遅れるから、着くのは多分二十三時過ぎだろうって」
「そっか。二十四時間制で言わないと午前か午後かはっきりしないよね。あの子、国際感覚が身についたみたい」
「外国と日本を往復していると当然そうなるよ。
ね、お母さんのそういう子供自慢の感覚って親ばかって言うんだよね」
「あなたもいつか子どもを持ったらそうなるの。
ねえ、あなたどうやってこんな静かで居心地の良い旅館をみつけたの?」
「始めはおにいちゃんがここの風景写真をメールで送ってきて『ここ綺麗だよね』って書いてあったのね。
だから『ここどこ?』って返信したら検索キーワードを教えてくれて、それをコピペで貼り付けて検索をかけたらこの旅館のホームページに行き着いたの」
「そうだったのね。今の時季はどこの温泉地もかき入れ時だから、こんな穏やかな時間が過ごせる場所に来れたのは奇跡に近いと思うわ」
「そうかもね。それにたまたまお父さんが『旅行に行きたいね』って言った時にあの写真を見せられたのも、偶然だけど奇跡のタイミングだったかも」
「偶然と言えば、おじいちゃんを旅行に誘ったこともその内の一つだったかもね。
おじいちゃん自身は旅行には来れなかったけど、たまたま思い立ってかけた誘いの電話がきっかけで極秘情報がもたらされたんだから」
「でもどうしてあの人たちまで、こんな田舎の温泉旅館へ泊りに来ることにしたんだろう。
ね、ずっとこのまま秘密にしておくの、あの事」
「多分ね。それにしても、今も誰も気づいていないのが不思議なくらい。
まあでも、バレたとしてもいいんじゃない? 別に悪いことしているわけじゃないし、旅館の人と別の一家族以外はみんな身内みたいな人たちばかりでしょ。
せっかく同じ宿に泊まっているんだから、帰る前に一度くらいみんな集まってお食事したいよね。
あそこで無邪気に泳いでる子たちとか、無理言って連れてきちゃったマロンちゃんは、予想外の事実を知ると卒倒しちゃうかもしれないけど。
それに、わたしとしても早く極秘案件を隠す役目から解放されたいの」
「そう。だから秘密をひとりで胸に収めておくプレッシャーを分散するために、お母さん、わたしに秘密をリークして共犯者にしたんでしょ」
「《共犯》じゃないわ。《共有》です」
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