第3話 【ラーケーション】1日目ー東山動物園

 時刻は9時。

 おお、流石に平日の開園は空いている。

 そして、あらかじめオンラインで電子チケットと言うものを買っていたので

 入場は簡単だった。

 東山動物園を調べていた時に、偶然に見つけたオンライン購入ボタン。

 流石、私!そして便利な世の中!


 まず最初に目についたのがショップだった。

 が、しかし。

 荷物になるから帰りになにか買えばいい!

(この判断は帰りにすご~く!後悔するとも知らず…)

 

 娘が最初に観に行ったのはカンガルーだった。

 ちょうど餌の時間のタイミングで小屋からカンガルー達が出てきた。

 小さな子供カンガルーはとても元気でぴょんぴょん跳ね回っていた。

「かわいいー。」

 うん、かわいいねぇ。かわいいと言っている娘もかわいかった。

 という親バカな私である。

 しばらくすると群れからゆっくりと離れていく二頭のカンガルーがいた。

「あのカンガルーは老夫婦だね。」

 娘が言った。が、しかし。そうではなかった。

 こともあろうに、そのカンガルー達は子作りをしだした。

「(オーマイガー)!!!」

 私と子供たちの間で、無言の沈黙に加え微妙な空気が流れた。

 立ち去るに立ち去れない…。

「ろ…老夫婦、じゃ、なかった…ね?」

 小さな子供連れの親子は、足早にカンガルーを素通りしていく…。

「飼育員さん、そばで掃除してるけどガン無視ー。」

 ハッ‼と、我に返る私。

「よし、時間がないから次に行こう!」

 娘のなにも考えていないその言葉で、無事にその場を立ち去ることができたのであった。


「次はなにを見にいこうか…。」

 などと、話しているうちに息子の動きが鈍くなったのがわかった。

「ん、どうした?疲れた?」

「ちょっと…。頭が痛くなってきた。」

 なん、ですとー⁉

「帽子忘れちゃったから、日射病にでもなったかな?」

 とはいえ、天気は良くもなく悪くもなく曇りだ。私の帽子を息子にかぶせ、持っていた頭痛薬を飲ませる。

(余談だが私は『お前はドラえもんか!』と言われるくらい、なんでも持ち歩いてたりする。)

 だが1時間ほど食堂などで休憩していても良くはならず、ぐったりとしている。   

 この後の計画を中止して帰宅するべきか…。

 いや、帰宅するにしても人混みの電車に乗り継ぐのも大変だろう。

「動物園名物のパンを買ってまっすぐホテルに行って休もうか。」


 パンを売っているショップにたどり着き…。

 そう、ここで重大なミスに気が付いた。

 動物園のパンは人気で午前中のうちに完売していたのである。

「まさかそんな…。」

 店頭スタッフさんが申し訳なさそうな顔をしていた。

 あああああああ…。

 ※パンをお求めの方はお早めに。


 その後の予定は中止し、予約していたホテルへと向うことにした。

 ホテルで休んで息子の様子をみて…。

 もしかしたら救急車呼ぶことになるかも?と思いながら。

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