金科玉条〜詐欺師集団にばれてはならぬ〜

ただの怪我した一般人

「金科玉条」〜詐欺師集団にばれてはならぬ〜

まえがき

この話は投資詐欺案件として警視庁刑事組織犯罪対策課知能犯捜査係が捜査に入る事になった。なので全ての犯人達が捕まるまでに更なる被害者が出ぬよう祈りを込めて事の顛末を綴る事にした。今はまだフィクションになるかノンフィクションになるかは日本全国の警察組織を取りまとめている警察庁の能力次第である。



逮捕及び起訴されて初めてこの事件の犯人などの名前が報道などに出る事になるが、それまでは関わっている人名や会社名そして組織名は仮名にしておく。どうか犯罪被害者が減るように願う。加えて孤独な闘いの中でずっと協力をしてくれた孔明と丸の外警察署に麹末警察署および杉成警察署に謝意を申し上げる。




もくじ


第1章   忍び寄る者


第2章   恩師の教え


第3章   最初の疑惑


第4章   怪しい男


第5章 ポンジスキーム詐欺


第6章 投資話の録画


第7章 詐欺師のミス


第8章 有り得ない確率


第9章 トヨタのセルシオ


第10章 獅子身中の虫


第11章  怠慢刑事


第12章 詐欺師のやり口


第13章  大局観を持て(抱け)


第14章  マネーロンダリング


第15章  詐欺罪の成立要件


第16章  先手を打て


第17章 足への願い


第18章 2人の葛藤


第19章 解決のキーマン


第20章 本性を見抜け


第21章 信用出来る法律家


第22章 晴れた心


第23章 怖いか怖くないか


第24章 携帯番号


第25章  一泡吹かせる


第26章 本格捜査始動


第27章   犯人逮捕の訪れ


第28章 全ての黒幕


第29章   これからの楽しみ


おわりに



第1章 忍び寄る者


2022年6月25日

放浪の狼である浜安は前日に応援しているボクサーの勝利を祝った祝勝会にて沢山の知り合いと笑い合えた事の余韻に浸っていた。



ピンポーンと家のチャイムの音に福島県からお世話になっている羽場社長からの贈り物の紅秀峰と言うサクランボに喜びお礼を伝えてSNSにもその喜びを上げていた。



そんな良い日に一本のLINEの着信が入った。これが全ての事の始まりである。


15時2分Y.KINODAと言う人物からの着信に濱安は誰か解らず出ない事にした。


もともと浜安は火傷で植物人間だった過去から動けるように生き延びた事が嬉しく、ずっと行動している事を好み連絡を取りたい人とだけ取ると決めている性分である。



何故か?それは自分の人生をもし生き残れたら自由に生きると己に誓ったからであり好きで無い人に使う人生の時間が勿体ないと考えているからだ。LINEの未読は1万件以上に及んでいる。



そのLINEの着信の後に次は文字が送られて来た。



「浜安さんご無沙汰しています」


誰であろう?浜安をハマちゃんとあだ名で呼ぶのでは無く浜安さんと呼ぶ知り合いはかなり少ない。


KINODAの文字に木野田が思い浮かべられその木野田は自分の事をタムと言います。


と言っていたのを思い出した。



「サム君?」


とだけLINEを打ち返すと6分後に返信が来た。


「はい、そうですお元気されてますか?コロナ禍色々あり、大変でしたが、浜安さんを思いだしました。


今思い返すと、7年前に浜安さんと出会ったのが起業の原点でした。」


との文言であった。



確かに経営者の交流会と言う名前のパーティーに浜安が参加していた時に普通の経営者の集まりでは無くただ人を集めてお金を取っている集まりのいわゆる合コンのような交流会で吐き気がした浜安は何の面白味も感じず窓際で1人ウーロン茶を飲んで人を見ていた。



その時に話しかけて来たのが木野田である。この人物は今思えば社長や会長などの肩書きの有る人間に近付き何かを吸収しようと言う欲があったのだと思われる。



そしてそれは良い方にも悪い方にも転がる事がある。良い方とは本物の人と接して自身をそれに合わせて成長させていける方向である。悪い方とは肩書きのある人やその周りの人脈から財産を狙ったり自身を地位のある人物に見せかける事である。



まんまと浜安はこの時は木野田に引っかかってしまった。良い方になってくれたらと真剣に夢を聞き出し木野田の成功したいの一言にそれなら人に使われている人生では意味が無い生きていられる時間は有限なのだから己の人生を支配する事を熱心に2時間話したのだ。



木野田はその後、確かに起業をしたが道半ばで失敗をし良く無い方に向かって行ってしまっていたのである。



この6月25日のLINEの前はそれよりさらに2年前の2020年3月21日にかかって来た連絡が最後であった。



およそ殆どの人から久しぶりに連絡が来る時はお金を貸して欲しい。かネットワークビジネスなどの勧誘であった浜安はその時にもお金を貸して欲しいと言われ助けようと話したが土台無理な話であった。



今まで築き上げてきた信用を何より大事に思っている浜安は絶対にネットワークビジネスをしないと決めているしそもそもお金が無くても生きていられるだけで幸せだと死の淵で理解できていたからそのような話には乗る訳が無いのだ。


言っている内容が支離滅裂でゴールドの投資で順調に行っていたが途中でその大元が失敗して木野田が当時の台東区に住んでいたマンションに金を返せと反社会勢力が来ていると言う。



しかしそれはどの組織かも解らずゴールドの投資の中身が香港でやフィリピンを経由してなどと言う見えない話であったからだ。



実際にお金の貸し借りの相談になってしまうと言って来ていた。それは浜安の携帯の中のカメラロールに証拠として残っている。


怪しいと思った時には2台ある携帯のもう1台で録画をするように浜安はしている。iPhone のパスコード880088を押して2020年3月21日15時18分の記録を見ると明らかになる。



それから2年後の今になって連絡が来たのは良い報告か悪い報告か気になり浜安は電話をしたが出ない。


「久しぶりだよね!!都内にいるのかな?」


とLINEを送るとLINE通話がかかりなおって来た。


12分間のその中身は泣き寝入りの助けて欲しいと言うSOSの言葉が並べられていた。



それが本心か確かめるのには会うしか無いと浜安は思った。誰がどのように話していても実際にこの目で見た物しか信用をしていないのが狼の特徴でもある。SOSの言葉を聞いた後に浜安はLINEを木野田に送った。



「こっちのLINEは未読が多すぎてフリーズしちゃうからもう一つの携帯のLINEのQRを送るね!!」


と実際に未読が1万3千件以上ある自身のLINEのQRコードの写メを送った。




すぐにもう一つの携帯にLINEが送られて来て



「浜安さんサムです!先ほどはありがとうございます。」


と来たのでスタンプでOKとだけ浜安は送り返した。翌日に木野田からまたLINEがあり


「今日の夜でも、もし空いたらご飯でも行きませんか?」


と誘って来たのだがその日はクラシックのコンサートの招待をもらっていたため断った。



木野田は浜安のタイミングに合わせて会いに来ると何度も言う。泣きながら事業に失敗してしまったから助けて欲しいと言ったその言葉を信用して浜安は会うことにしたのであった。



電車でやって来た木野田はこ綺麗な服装をして見ようによってはちゃんとしたビジネスマンの出で立ちであった。



その日は濱安の地元の後輩である孔明と一緒会う約束をしていたので3人で焼肉を食べに行く事にした。



孔明は昔の悪友である。暴走族に入り敵対していた暴走族に殴り込みをかけたり集団危険行為(暴走族の集会)など色々悪事を行った過去があり鑑別所から少年刑務所まで入った事のある人間ではあったが現在は犯罪をおかすような事はしていない。



地元の後輩でありながらハマちゃんとタメ語で話して来る唯一の存在で浜安は裏も表も知りながらその度胸を買っていた。



かく言う浜安も著書、余命1日の宣告〜植物人間になって〜に記載している通り以前は誰からも信じてもらえ無い悪い人間であった。



悪そうな見た目のヤンキーを見つけては絡んで殴り付け脅しバイクを盗んでは無免許で運転して警察の厄介になり鑑別所に入っては再逮捕をされまた留置所から鑑別所への繰り返しをした事などがあった。



留置所、鑑別所それはただハクが付くだけで何とも感じていなかった当時の浜安はそれこそ留置所の壁に名前をジャージのジッパーの部分で夜に掘り込んだり鑑別所では名前の通っていた暴走族の引退集会で同じ雑居部屋に来た人間を見て同房の人間には



「俺は何々の特攻隊長をしてたんだぜ」


と偉そうな口を叩いた割にはオヤジと呼ばれる看守にはヘコヘコ頭を下げているのを見てダサい人間だと呆れてシカトをするようにした過去を持っている。



そこから大火傷を負い生死を彷徨い600人分の輸血で命を救われて人格を変えるしか手が無かった事はその余命1日の宣告に記載したので今回は抜粋する事にした。



思考に気をつけなさい人生が変わるからの5段活用は事実である。必ずその思考は言葉に出て性格に現れ習慣化して人生が変わる事を身をもって知っている。


恩師に頂いた思考は現実化するや成功哲学に全てその論理が書かれているのでお勧めしたい。加えて帝王学も知識として頭に入れておくと良いと思っている。



右に数学を学んでいる者、左に国語を学んでいる者がいると仮定した場合に真ん中にいる人間が帝王学を学んでおけばその左右の有能な人間がついて来てくれるのが帝王学だからである。



特筆すべきは6正6邪(りくせいりくじゃ)の部分である。この六つの正しいか邪かの見方で人を判断するとかなりの確率で信用に足る人間であるかよくよくはシーザーお前もか?と信用してはいけない人間であるかを見抜ける。



逸らしてしまった話を戻そう。この木野田と言う人物は嘘と本当を織り混ぜて話して来るからタチが悪い。泣きながらもう一度やり直したいから浜安さん何とかお願いします。とすがって来たのを何とか出来ると思った浜安は馬鹿であった。



孔明は木野田との初対面から


「ハマちゃんこいつは信用できないよ。」


と忠告してくれていた。人の上に立たなければいけない時にはイエスマンだけでは過信していまい成功とは真逆の方向に進む時が多々ある。しかし帝王学には恩師を持ち直言してくれる仲間を作れと書いてあるのだ。



まさにこの言葉通りこいつを信用したら危ない。と言ってくれる孔明がいて助かった。


孔明と木野田の初対面のその日に約束していた焼肉を食べに行きその後にも何度か3人で会いちゃんとしたビジネスをして行けば何度失敗したってやり直せると話していたが木野田の耳には入らなかったのであった。



事業の1つにインキュベーションと言うのを行っている浜安は木野田を助けられると過信してしまい出資の話に乗ってしまっている所であった。



コンサルを頼まれる事があるが全て断っている浜安には理由がある。それは例えばコンサルとして入りお金をもらったあげくにその人や企業が失敗や倒産した時は経歴に載せないのにコンサルが上手く行った時の経歴だけ残すのは良い悪いでは無く好きになれなかったのだ。



だからこそこちらもお金を出して一緒に事業を行えば本気になるしか無くなるし1人より皆んなで成功した方が楽しいと考えあえてインキュベーションと言う形にしているのだ。



いくつか行っている浜安の事業には生きていられる大切さを紡ぎ伝えていく企業専門の講師の仕事やうつ病サポートの会などの同じく講師として無償で行っている福祉の事業がある。



NKCネッツエスアイ主催で熊本組とABCが協力した近隣企業交流会の講師などの実績はあるが直接のご縁で知り合った人からのお願いで無いと高いのでお勧めはしない。



1本の講師の仕事で最低でも30万円から50万円が浜安の話しの相場であるし、何より好きで話したい時しか引き受けたく無いとさえ本気で思っている。




第2章 恩師の教え


先程少し触れたが人生の時間は限られていていつ何処でどうやって死んでしまうかは解らないものだ。明日事故に遭って死んでしまう可能性だってあるのだから今を一生懸命に生きて行く事だけが幸せだと思うし、毎日仕事漬けで生涯を終えるのを素晴らしいとも思えはするが植物人間になって出てきた答えが何も出来なかった。もっと色々な事に挑戦して世界を見て周れば良かったと後悔しか無かった浜安は誰に何と言われようと誰と何処で会い何をして生きるかを毎日、自身の人生を生きたいように生きている。



その中で木野田はジュエリーの会社を経営していて倒産の危機だと打ち明けて来たのが浜安には響いてしまったのだ。



そこには自身の過去を重ね合わせた事実があった。火傷を負って身体障害者としてどこも雇ってくれなかった時にこの世でただ1人正規社員として雇ってくれたのが恩師、前野社長でありその仕事がジュエリーの営業マンだったのである。



途轍もない成功者でロールスロイスだけで6台、ベントレーにランボルギーニ、フェラーリなど有りとあらゆる高級車を保持しているだけでは無く一社員の浜安にさえ敬語のLINEを送ってくる。



道端にゴミを投げては怒られ高速道路で幅寄せされて喧嘩になったから遅刻すると言っては助けに今から来ると言う。



こんな人は他にいなかった。人として良い事とはどう言う行動なのかを全て教えてくれたのが恩師である。



○○社長や○○会長など全ての人に名前の後に肩書きを付けて書いている浜安が社長とのみ書き呼ぶのがこの恩師だけである。



何かあったら必ず何が何でも助けに駆け付けて行くと決めている恩人や親友と心に決めている人が複数いる浜安が恩師と呼ぶのもこの前野社長ただ1人でもあるし恩師が住んでいると言う理由のみで都内の同じ区に引っ越し世界中のどこにいても足を向けて寝ないと方角を考えて眠るのもこの人だけと決めている。



その恩師が助けてくれたジュエリーで何とかやり直したいの木野田の言葉を信じた浜安は営業のアプローチから価値上げ、テスクロ、クロージングにアフターフォローまで全て知っている事を木野田と孔明に話した。



行わないコンサルでやっていたなら多額の金額になっていたであろうこの話を録音しておけば良かったと言った時に孔明は



「全部、録音している」


と答え思わず何て頭のキレる人間だとハイタッチをした。



だが木野田の耳にはやはり入っていなかった。木野田はこちらの人脈や金持ちの繋がりから何とか金を取ってやろうと言う思考回路であったのだと予想される。



人の話を聞いていないどころかエリザ女王のチャリティーパーティーに300万円払って参加したと写真を見せて来て逆に宝石を浜安に売り付けようとさえして来た。



その時に浜安がそのパーティーの場に居たなら信じていたが実際に目で見たものしか信じないと決めている浜安にはその話しに乗る理由が全く無かった。



世界的有名なドラマーさんがこの場にいてニュースになっていた場に私は居たのです。


とオウムのように繰り返して言うがそんな話は作れてしまう。それが嘘で宝石を人に売り付けて行っているのが仕事だと言うならそれは相手を騙しあたかも価値が上がる物だと錯誤させお金を取っている詐欺行為だとも言ったが頑なに


「私は本当に行ったのです。」



の問答になったので他の手段は無いかと色々なヒントを会話の中から探し出しニューオザミにも私の会社の宝石は置いてもらっているんですよ。と言う言葉にそこだと浜安は思った。



買う人が本当かどうか判らないエリザ女王に使ってもらっている宝石の話しをするよりも遙かに実際に置いてあるならブランド価値が高い事を伝えた。


そこでもまだ見ていないので信用しきれていなかった浜安は実際にニューオザミの宝石が置いてあると言うブティックまで行く事にした。



木野田とニューオザミで待ち合わせの約束をし最初に行ったのは7月23日の大学に行った後の20時であった。浜安は会社の経営をしているが現役の大学生でもある。



それは色々な所で講師として話した後に良くない過去があり大学どころか高校の1年の1学期で無免許でバイクで通って教員の駐輪場に停めていた馬鹿な時の浜安の実家には担任の教師が無期限停学と言うのを提示して来た事もありそれを理由に自主退学をしたのであったと、その事を伝えたはずが講演の後に


「それで浜安くんは何処の大学だったの?」


と訊かれる事が何度かあり同じ大学なら良し違う大学なら悪しと、どうやら大学には派閥が存在しているのだと感じた事があったからそれが悔しくてだったら誰でも知っている大学に入って自信を持って答えられるようにしようと言うのが原因であった。



中学1年生の教科書から全ての科目を通してキャンパスノート100冊近い9千ページ以上を勉強し直し以前で言われる大検(現在の高卒認定試験)で8科目の合格を取り慶音義塾大学の通信制で入学をしている。


そしてSNSにもこの大学を辞めるつもりは無いとその理由も上げているが、膨大な量の知識を得られる学生証を持っていないと入れない図書館がある事や卒業したり退学してしまうと同じ大学生として会話が出来なくなる事をもの凄く損だと考えているからである。



最大で12年間の留年が可能なのでその時まで卒業する気も退学する気もさらさら無い。むしろずっと留年したいとさえ思っている。



同じ大学生として申し訳ないくらいの額で仕事をバイト感覚で請け負ってくれたりが可能なのに卒業してしまうと態度が全然変わってしまうと思っている。


OBや退学した者では無く同じ大学生として接していられる事にこそ最高の利点があると本気で思っているのだ。



Facebookの検索で浜安卒業する気は無い。と打てばその理由が全て見つけられるので興味があればと思う。



物を覚えたい時は2回書く事と香りで記憶する事を浜安は薦めたい。教科書に書いてあるものをそのままノートに書き写しても覚えられるのは難しいが自身が考え出した事は忘れ難い。


なのでノートに一度書き写したものをもう一冊ノートを横に置いて自分なりの解釈や注釈を付けて考えたものをそのノートに書いて行くと良いと浜安なりの考え方をしている。



確たる証明は出ていないが香りは記憶に結び付きやすく金木犀や香水の香りなど一度嗅いだら二度目にこの香りはあの時のと思い出せるようにその香りと一緒に覚えた事は忘れ難いと勝手に思っている。




したい事や会いたい人が多い浜安はスケジュールを木野田に合わせるのがこの日この7月23日がやっとであった。2年ぶりに木野田から連絡が来て約1ヶ月が経過していた。



夜の20時に行った時にはもうそのブティックは閉まっておりシャッターの隙間からしか見えなかったが確かに木野田が持っていた物と同じ本が置いてあるのは確認できた。



そこでエリザ女王の話を仕事でするのは一切やめてこれからはホテルニューオザミに置いてある事を最大のプラス要素にした方が良いと木野田に思っている事を話した。



その通りにシフトすると答えた木野田はブティックのオーナーを紹介したいと言って来た。



ここで浜安の講師としての仕事でよく話す事が出てくる。人の紹介はとても注意が必要だと思っている。


「紹介して欲しい」


と言う人にはかなり慎重に相手の事を考え無いといけない。その紹介して欲しい人にとってはプラスになるのだろうが、紹介される側にとってプラスになるかはどうであろう。



正直、プラスになる事よりむしろマイナスになる恐れさえ有ると思っている。紹介して欲しいはその人の欲望であり言わばエゴと言うものだ。この人知っているよ。連絡先を知っているよ。と言いたいだけで言っているのかも知れない。



紹介された側はそれを良く思ってくれるような人であったなら良いが会った事があるだけなのだけど。と良い印象を持たれない事もあり得る。それは紹介者までも悪印象になるので人の紹介はこの人とこの人が会ったら必ず良い方に進むと思う時に紹介したいとお互いに言うのが正解だと浜安は思っている。



この時は木野田の方からブティックのオーナーを紹介したいと言われたので話が真実なのかを知るためにも会うしか方法がなかった。


第3章 最初の疑惑


7月29日14時

浜安は青山フラワーマーケットグランスタ東京地下1階店で花束を購入していた。その花はこの日、木野田と約束していたニューオザミのブティックのオーナーに渡すためである。ブティックの名前はピゲと言いフランス語で鈴蘭を意味している。初対面で会うのに手土産として鈴蘭を探し回っていたが全ての花屋で今の時期に鈴蘭は無いと言われ約束の時間に間に合わないと焦り別の花束を仕方なく買う事にしたのであった。




約束の時間15時にアーケード階にあるブティック ピゲの前に行くと木野田の呼ぶ声が聞こえて来た。


「浜安さん。こっちです。」


緑色の店内から左目に眼帯をした笑顔の淑女が出迎える。


「初めまして小波です。ごめんなさいね。今、病院に行っていて左目が腫れているのよ、浜安さんで合ってる?」


朗らかな雰囲気の女性であった。浜安は自己紹介をしながらどうしても鈴蘭が見つからなかったと謝り花束を渡すと小波はその行為に対してとても喜んでいた。店の中には別の客がいて仕事の邪魔になると判断してものの5分くらいの挨拶で終わったが木野田の商品が確かに置かれている事は目で見て確証が取れた。



それなら売れた中からロイヤリティーを渡す事でお互いにプラスにはなれるはずだと浜安はその時は考えていた。


TATUKIと言う1つ上の階にあるお店で木野田と紅茶を飲みながらどのようにして日本で唯一の9ツ星ホテルに木野田が商品を置かせてもらえたのかを訊ねると偶然、宝石を木野田から買った客に紹介してもらい無償で置かせてもらえているとの事であった。そんな馬鹿な話があるか?置かせてもらっているなら何かしらの謝礼が無くては一方通行である。そこはしっかりとしないといけない話しを木野田に浜安は説得を試みた。



木野田はまだ先月に置かせてもらったばかりで一度も売れていないから謝礼の仕様が無いのだと打ち明けた。これは良く無いと何かお互いに良い方法は無いかと思案すると浜安は木野田に伝え会計を済ませた。別れた後に木野田からLINEが入り何か不思議な事が起こっていると言う。これは木野田の常套手段だ。貴方に会って良い事が起こった。鳥肌が立った。と何度も木野田が言う場面を目にしていた浜安はそれが本当で良い事が起こっているなら嬉しいと感じていた。



2日後の31日再度、時間をちゃんと空けるからと小波に話されてた浜安は再びニューオザミに来た。その時は木野田に花を買って来た方が印象が良いからと連絡し今度は木野田から小波に花束を渡す事になったが小波は今度も喜んでいた。お店の中では無くTATUKIに行こうと小波に言われて3人でお茶をしながら話し合いを始める。



小波は周りに偶然居た客から挨拶のために声がけをされていたしバレンタインジャパンで17年間セールスウーマンとして働いていた事やその経歴からニューオザミにお店を借りれる事になりそこから20年間もお店を続けている事、そしてコロナでお客が極端に減り2店舗借りていた1つを資本が足りなくなり手放したことなどを話したときに嘘を言っていない事が浜安には読み取れた。



ライトイズライトと言う心理学のことばがあるが右利きの人間は未来のことを想像して話す時は視線が右側に行き、過去の話しを思い出してする時は左側に行く人間の隠しようの無い特徴が小波の言葉が真実である事を何より証明していた。左利きの場合は全く逆になるので先に利き手を見るのがコツでもある。ゆうきゆうと言う人の著書


「相手の心を絶対に見抜く心理術」


がとても分かり易くその理論が書いてあるので興味のある人はご覧になられては如何だろうか。浜安は著者の回し者では無いので何の得にも成らないが人に騙され無いために一読しておくのは有りだと思っている本でもある。



その会話の中でも小波は実際に困っている事を話し何とかこの状態から抜け出したいと浜安にホテルの中を案内しながら申し込んできた。どうしたら別々の会社を持っているこの木野田と小波の2人を救えるのか?それが一番の問題点だと思考を巡らせていた。



浜安が出せた答えは3人で新しい会社を立ち上げ売上を上げて分配する提案を出すと2人はそれを是非やりたいと応えた。それにしても何とも綺麗な庭園だろうとニューオザミの良さを改めて感じ取ってもいた。東京に住んでいる浜安は都内にあるホテルに泊まる意味が殆ど無いためホテルのラウンジなどは時たま使う事があるが宿泊するのはカードのポイントのためくらいでしか無かったからその良さを深く知らずにいたのであった。



新しく会社を創るのは株式会社だと定款の作成から法務局への登記申請に税務署への届け出などがあるため即日に出来るものでは無い。



それをやっている間も2人の会社である木野田のジンマップ社と小波のミザス-J社を立て直さないといけない。そこでジンマップ社のホームページを見ると明らかに不自然だと思った浜安は直した方が良いと伝えた。



オンラインでどの商品も買えなければ会社の概要に代表である木野田の名前すら記載されていないからだ。木野田はそれは住んでいるところがバレると出資させてしまった前の人間たちが家に来るしそれが怖いからだと話した。その気持ちは解らないと浜安は伝えた。全ての事情を正直に説明してお金を返すなら返す。法的に返さなくて良くとも有り金を全て返済に充てる事くらいはしないとそれは家にお金を返して欲しいと来ても当然だと思うからだ。



その事は分かったと応えた木野田はホームページ用の商品を撮影して作り直すと言って来てその撮影ボックスが欲しいから浜安に買ってくれと頼み込んだ。ピンチの状態である木野田にお金が無いのを理解していた濱安は送られて来た撮影ボックスのAmazonリンクから40cm用のと60cm用のどちらが良いか木野田に聞いて60cmのその撮影ボックスを購入する事にした。




少しずつでも今を前に進むしか未来を良くする方法はあり得ないと考えている浜安は木野田の商品である宝石の撮影に協力しながら日本の誇る最高ランクのホテルに何かを置けるなら途轍もなく宣伝効果があると思いお互いに良く出来ると信じて大池のブティックにテナントとして商品を置いて入ってくれる会社は無いかを世話になっている知り合いに浜安は話し尚且つ新しい会社の設立を同時に行っていた。




だが小波と木野田の話には食い違いがたまに有るのが疑問で仕方が無かった。木野田は小波のブティックの賃料を倍額で浜安に伝えており小波からはその半額だと言われる。そして返すお金も無くてシェアハウスに住んでいると言う木野田だが撮影した宝石はキャリーバッグいっぱいに入ってさえいた。



助けて欲しいと言われたからには何とかしないと、と思って行動している人間に嘘をつくであろうか?そこが浜安には理解が出来なかった。7月の31日にニューオザミの帰り月島の浜安がよく行くもんじゃ焼き屋で木野田と色々と話したが木野田はさらにもう一つの会社も経営していると言いその事を小波は知らなかったのだ。何かが木野田はおかしいと浜安は勘づき初めていた。良からぬ方向に篠田が行かなければ良いのだが。



小波の方は真逆で信用のできる事しかして来ない。会社の登記に必要な書類や実印などをものの数日で用意したばかりか火傷を負っている浜安のために再生医療の肌が良くなるシートまで木野田に渡していた。




第4章 怪しい男


その小波から会って欲しい人がいると頼まれ浜安はニューオザミに行く事になるのだがその時に木野田は離婚をした元嫁と子供に会いに関西に帰っていたので1人で行くしか無かったのだが浜安はコロナに罹ってしまい自宅隔離をせざるを得ない状態に陥り身動きが取れないでいた。そこで日付けが空いてしまったが2022年9月5日の夕刻に今度はニューオザミの中にあるカフェラメルと言う場所で小波の元に浜安が向かうと如何にも怪しい風体で黒いマスクをした牧本と言う男が現れ会ってから1〜2分しか経っていないのに真珠の養殖場への投資の話を持ちかけて来た。



B.H.Bと呼ばれる100年に一度の革命的な技術を牧本の会社が全ての権利を得たがその資金繰りが上手く行かなく運転資金として1000万円を出資して欲しいと言い出したのである。こんな良い話は絶対に無いから今のうちに投資をしておけば来年には1億以上で戻って来るとも言っている。今回は助けて欲しいと言われた訳ではなくただそこにお金を出して桁が1つ増える投資の儲け話しである。




これには浜安は一切興味が無かった。それは投資とは株と不動産のみだと株の師匠から教えられていたからだ。四季報などを目から血が出るほど見て4〜6%の堅実な会社の株を買う事だけで株への投資は一か八かのギャンブルでは無く資産の運用だと叩きこまれていたからである。



不動産については全く利回りや客が入らなかった場合にその土地の良さが解らない浜安には手が出なかったが株式投資は正しく企業を見れれば損をする事は少ない事は解っていた。だから投資の話を持ちかけられた時は必ず10%以上の儲け話は全て詐欺だと思っていると伝えると大抵の人間は下がって行く。



この牧本も同じであった10%以上の儲け話は詐欺だと考えていると伝えたら小波を残し用があるからと会いたいと近寄って来た割には30分もしないで店を出たのだ。この際にLINEの連絡先を交換しておいた事が後に大きく響く事になる。小波と2人きりになった浜安は牧本とはどんな関係なのかを訊く事にした。



「牧本くんとは15年以上の付き合いで彼は悪い人では無いの。」


と言う。小波は初対面の人に億単位の儲け話をした牧本を信用しきっているのであった。愛媛県の宇和島市にある八ツ下真珠養殖場への投資話を資料を広げておおっぴらに力説していたのにその資料すら置いて行かない牧本を非常に危ないと思いながら浜安は帰り際にその投資の一連の流れを孔明にそのまま伝えた。孔明は投資家として生計を立てているが実業で会社を持つ計画を立てていると常々、浜安に話していたその中での会話である。



「ハマちゃんが投資するなら俺も入れるけど一回調べてみないと怖いよね。」


その通りである。投資は個人の自由で周りに勧められてするものでは無い。牧本が置いて行った名刺のリズマトレードと言う会社と八ツ下真珠養殖場の登記簿謄本(法人の履歴事項全部証明書)を浜安は翌日に法務局に行って取ってくる事にした。ついでに木野田の2つの会社ジンマップとジングルファイブも謄本を法務局で受け取って来た。どうやら木野田は限りなく黒に近いグレーであると浜安は判断した。ジンマップ社も意味の解らないホームページであったがジングルファイブは合同会社で資本金だけは300万円入っていた事になっているがエネルギー事業への投資会社でホームページも調べるとネットの引き抜き画像を使っている中身の読めない怪しい会社だと感じた。




決め手は小波に対して国からの融資が降りるように出来るからと木野田が持ちかけその融資が降りなかったのにも関わらずパーセンテージを払えと20万円ほど脅し取った事だ。これは士業の資格を持たない人間が行いさらに成果が出ていないのにお金は払えと言うのはヤバすぎる。この件はカフェラメルで2人になった時に小波から怖かったから払ったと言われ知った話しであった。一緒にこれから会社を創ってきちんとした仕事をしようと言う相手にそのような事を行える神経が信じられない。浜安はこの話もあり仕方が無いが犯罪者とはともに仕事は出来ないので会社の登記には約束と違えてしまうが木野田は入れられないと決断した。


第5章 ポンジスキーム詐欺


牧本のリズマトレード社はとても危険であった。社名を古志星貿易から変更している履歴が判った代表取締役は牧本で間違いないが実際には古志と言う人間が60%の株を保有している実質的支配者にあたる。その古志を調べて行くとカスモプロフワールド株式会社へ辿り着いた。ネット上にも出て来るがこの会社に対しては被害者の会が存在しており集団訴訟をされそうになっていた。内容は出資をさせて美容の器材を432万円で購入しエステ店などにその器材をレンタルをさせて毎月収入が入ると言う仕組みのビジネスもモデルみたいであるが途中で事業が頓挫したからと出資者に金を払わなくしているようであった。



最初のうちはレンタル料としてお金を払いいかにも儲けそうに思わせて途中から事業が上手く行かなくなっているなどの何かしらの理由をつけてお金を払わなくする通称ポンジスキームと言う詐欺だと思われる。被害額は見える範囲で1億8千万円以上に登っている。これだけの被害者がいるのに警察は逮捕が出来ないのか?法人が倒産しているなら計画倒産として話は聞いた事があるが謄本を取った今も事業が継続している。これでは天網恢恢疎にして漏らさずどころかだだ漏れではないか。




誰かがやらなければ為らない。熱いものが浜安の中で込み上げて来た。警察が逮捕出来ずに民事裁判では逃げて被害者から騙し取ったお金で悠々自適に暮らしている。そんな事はあっては為らないのだ。お金を儲けると言うのは文字通り信じた者だけであるので騙して得るのでは無いと浜安は考えている。



そしてカスモプロフワールド株式会社とリズマトレード株式会社は同じ古志が関わっていて資本金も888万円と全く同じなのも異常である。




事実は小説より奇なりと言うが正にその通りである。木野田から宝石の話が始まり小波と一緒に新しく立ち上げを行っていた会社はその宝石を扱うジュエリーの会社としてであり浜安の知っている中で恩師の力を借りずに出来る最大の事は実際には10万円くらいの価値しかないダイヤモンドを100万円で買わされていませんか?と正直なジュエリー事業で大成功を収めている華山と言う知り合いが浜安におり共にビジネスをが出来ないかと言う考えであった。そしてこのタイミングで小波を華山に紹介する事になった。




2022年9月24日

麻布の東京タワーが正面に見える東京のど真ん中にオフィスを構えている華山は海外での孤児の支援や寄付に日本文化を広めたいと世界中を着物で回っている一般人の浜安では普通は会えない存在であるがその縁を作ったのが今回の木野田であったのだ。木野田は華山には不義理をしたから会えないとLINEを送って来たがそれが何の事か華山も浜安も解らずにいた。仕事上での付き合いは無く普通に食事を食べに行ったりする仲にまで浜安と華山はなっていたのだが、今回の話しは誰しもが驚く展開に発展して行く。



茶道も花道も書道も学んでいる華山のオフィスに早めに着いた浜安は花束を持って入りそれを嬉しそうに生けた華山が注いだ紅茶を飲みながら小波との出会いの経緯を説明していた。約束の時間より少し早く来た小波は遅れたと思い込んでいきなり謝罪から入った。遅刻した訳でも無いのに謝っている小波を見て華山と浜安は声を出して笑った。


「遅れていないんですから大丈夫ですよ。たまたま自分が早く着きすぎてしまっただけで、丁度そのタイミングで華山会長さんが上から降りて来られて30分くらいお話しをさせて頂いていたのです。」



と答えた浜安は改めて華山に小波を紹介してそのさらに小波の紹介で牧本と言う人間に真珠の養殖場の投資の話しを持ちかけられ、そいつをどうにか逮捕出来ないか画策している話もした。その投資話をして来た牧本を裏で操っている人間がいそうだと古志の名前を出すと



「古志と鮒星じゃない?」


と先に華山の方から古志星貿易のまだ名前を出していない牧本から聞いていた名前が出たのである。これには華山と小波そして何より口に出す前に同じ名前を言われた浜安自身が驚いていた。



牧本の話ではリズマトレード社は古志が60%の株を保有する大株主で次に30%の株を保有している鮒星あと10%を保有している森田と言う3人の名前が上がっていた。その中の鮒星の名前が出て来たのであるから只事では無い。何故にその名前が出たのか解らない浜安は直接、華山に何故かを訊いた。


「古志はうちの一般財団法人であるパンエイジン協会に上手く入り込んであまりにも酷い人間であったのが解ったから法人から出て行かせた人間でいつも一緒にいたのが鮒星でうちに入った泥棒よ」



と言った。確かに3〜4年前に華山のオフィスに泥棒が入り3000万円以上の被害に遭って五田警察が操作をしているのを聞いていた事が浜安はあった。それがまさか今回の仕掛けて来た人間だとは思ってもみなかったのだ。泥棒から詐欺となんとまあ無茶苦茶する悪党たちである。自身はまだお金も投資していなく実被害に遭った訳では無い浜安ではあったが直接の仲の良い人間が被害に遭ったその犯人だとあっては話が変わって来る。



「絶対に社会的に潰してやる」


目付きが鋭くしそう心に決めた浜安は即座に行動に移して行ったのである。先ずは謄本に記載されているリズマトレード社が入っている六本木タワー17階のシェアオフィスを見ると話の規模とはだいぶ違いコワーキングスペース5万8千円からと安く借りられる事が判った。ここを隠れ蓑にして悪事を働いているのだと浜安は最初思っていた。しかしかなりの高確率でここはダミー会社にしているはずでもある。とても巨額の詐欺をこの場所で全て行っているとは考えが及ばなかった。この日から浜安はSNSに投稿する頻度を上げる事にした。それは牧本に教えたLINEからFacebookで行動が相手に見れるようにしていたからであった。投資詐欺を暴こうとしているとバレてはならないからである。毎日毎日、日付けが解るように日記のように日々の行動をアップしてそれを見て牧本から即座に伝わっているであろう古志と鮒星が




「騙されているとも知らずに馬鹿なやつだお前やお前の周りから金をむしり取ってやる。」


と思っている事を予測してその裏で調べている事を微塵も悟られてはならないからであった。



第6章  投資話の録画


2022年10月1日

小波と孔明と3人で浜安の知り合いのピアニストが千代田区にあるこれぞフレンチと言うレストランで演奏をするからと仕事の話しをしながら生演奏を聴いて食事をする約束をしていたが加えて牧本もその場に来る流れとなった。



その場で何か古志や鮒星の情報を1つでも聞き出したかったし牧本は大株主である古志や鮒星に金を取れそうな人間を見つけて来いと言われて給料をもらって動いている操り人形だと浜安は思っていた。




同席し話し自己紹介も碌にせず投資家である初対面の孔明に対しまたB.H.Bの希少さを話し出し1000万円を出資しておけば来年に1億以上のリターンに成ると言う儲け話を牧本が始めた。自身に自信の無い人間の特徴でもある。これだけ凄い話を持っていると凄みを出したいのであろうがそれに興味の無い人間には逆効果なのを知らないのだ。そして前回にそんな楽な儲け話は無く詐欺だと思っていると伝えているのに今度は孔明の方は騙せるかもと牧本は考えているのであろう。浜安はとっさに


「すみません。後で言った言わないがあったり覚えていないところが有ると嫌なので全て録画させて頂きますね。」



と頼んであった孔明に携帯電話で録画を開始してもらう事にした。録音では無く録画である。iPhoneの場合録音では周りの雑音で肝心の声の方が拾えていない事もあるが録画だとより鮮明に音も入るからだ。ボイスレコーダーなどは普通は持ち歩かないので携帯1つで行える最適な方法だと思っている。

*録画中は電話がかかって来たりすると切れてしまうためフライトモードに先にしておく必要がある。



ここまでは浜安は古志や鮒星に操られている牧本の目を悪事を働く前に覚まさせられるのではないかと考えていた。だがそれは不可能であると会話の中で知る事になった。何を言おうとも古志と鮒星の肩を持ち先に出資をしてもらっているからその額を返すのが筋であると言い全然聞く耳を持たないのだ。それに支離滅裂な言葉さえ放って来る。先ず牧本が機関主となって動かすのが八ツ下真珠養殖場の真珠であると言っているが動かされているのは牧本の方である。そして今回のスキーム自体は森田や彼らが作ったと言い出した。それでは機関主は牧本では無いではないか。次にこれからニュースで大々的に取り上げられる犯罪行為の話をし出した。



コバルトの銅の鉱山でのお金が100億円の単位で入って来るのだと古志と鮒星から聞いておりそれをあてにしていると言うのだ。記録してある1時間33分の動画の中の4分10秒に証拠として残っている。これは神戸にあるアドバイス工業と言う会社の役員として鮒星が入っていた履歴が取れてあり同じように人から金を出させて逃げる手口である。やはり鮒星や古志の関わっている人間は犯罪に加担している可能性が高く全てを調べないと駄目だと思った。次にB.H.Bと言う100年に1度の技術と謳っている真珠は世界中で八ツ下真珠養殖場でしか作れない物でこの真珠に対しては来年2023年の1月から3月の間に1000万円の入札が確定したから損は無いと話し百貨店とも話がついているとこの場では確証の取りようが無い話をし出した。




しかしこの時点で断定ができた事がある。古志や鮒星が関わっているスカエア・デザイン社とエンジェラ・バッカス社に既に金を入れさせられた投資家がいると言う会話の中で1時間28分29秒の牧本の話である。そこまで話しておきながら牧本は古志と鮒星を異様なまでに擁護をして来るので同じ一緒の仲間として動いていると言う事を理解した浜安は牧本を怒らせてみる事にした。牧本が話しを信じ込ませようと真珠の養殖場が如何に凄いかを説いている間、自身の携帯をいじりながら何度も同じ事を牧本に聞いていなかったフリをして話させてイライラさせる事にした。その年下の行動に睨みつけるように牧本の表情が変わって行く。このタイミングだと思いブチ切れさせて本性を出させてしまおうと浜安は切り出した。




「牧本さんの話しは理解出来ません。古志さんと言う人や鮒星さんと言う人にお金を返さないといけない。と言うならば美容の詐欺まがいな行為でお金を取られた被害者さん達も真珠の養殖場にお金を出資するならそのお金で先に返せ。と言うでしょうね。そして自分には牧本さんが古志さんと鮒星さんと同じ詐欺師に思えてしまいますし、実際に第三者から見たら同じに見えるのですよ。」


要はお前は詐欺師に見えると直接言ったのである。これを言われて良い気をする人間などいない。内心殴りたかったであろう牧本ではあるが金を出すやつを見つけて来いと命令されていると思われる牧本は苦虫を噛み潰したような顔で聞いていた。一層の事この場で逆上し、ふざけるなこの野郎と怒り出してくれた方がまだ今後の収まりがついたのだが最終的な牧本の判断は説得されたフリをする事であった。



「確かに他から見たら私も一緒に見えてしまいますね。犯罪者になる前に気付けて良かったです。彼らとは手を切ります。」


と応えたのである。残念ながら足掻いても仲を切るのには手遅れであった事を浜安は悟った。おそらく他にもこの真珠の投資話を色々な所に既に話しているのであろう。



孔明は三国時代の天才軍師から名付けられただけあり人が気付かぬ箇所を付いていく。牧本がその返事でボロが出てくるのを知ってか知らずかそれって変じゃ無いですか?など普通は言い難い部分をサラッと言えてしまうのも彼の利点だ。言質を取れた部分の多くは孔明の問いからが占めていた。小波はと言うといつもは誰よりもお喋りグセがあるのにこの日は奇妙なほどに静かであった。レストランに来る前に黙っているように牧本から言われていたのであろうと予想される。浜安が最も気になった点を牧本が言う。


「来年2023年の1月から3月の期間の入札で1000万が養殖場から入る事が決まっているんです。」


と言ったところである。だから例え今1000万を出しても損は無く元金を保証出来ると謳ったのだ。出資法違反に当たる所なのですぐさま浜安は切り返した。


「その入札は誰がどの口座に1000万を入れる事が決まっているのですか?決まっていると言うのでしたら教えて下さい。」


の問いに対してこれまでは捲し立て流暢に話していた牧本の口が止まった。すぐに返答が出せず


「えっと、あのそれは、、、」


と時間が経過し牧本が10秒くらいかけてだした返事が


「組合があってそこからの入札です。」


と言った。その時に小波は大きく何度も頷いた。もしかしたら小波も詐欺と知っていてグルなのかともこの時はよぎった。これは憶測になってしまうが例えば1000万円の金が取れたら300万円を渡すからのような形で牧本が黙らせていたのだと浜安は感じた。先程10秒くらいと書いたが実際の時間は全て証拠としてデータに残してあり全てを公開するので確認してもらえると正解な値が判ると思われる。



食事を終えて解散する前に4人は外の空気を吸いながら私まで騙す側に成らなくて助かりました。と言う牧本の佞言(ねいげん)を聞きながら今度は浜安の方のはらわたが煮えくり返っていた。普通の知り合いでは無くステーキやアルコールなど好きなものを好きなだけ注文しておいて年下に奢らせご馳走さまも言わない神経も疑ったが相手は詐欺師である。小波と孔明に奢るのは構わないが犯罪行為を行おうとしている人間だと判っていて牧本の会計も払うしかなかった自身が心底悔しかったのである。しかし別れた後にその悔しさを超える朗報が入った。華山からの連絡で古志と鮒星が金を1000万単位で借りていて頭の上がらない能木と言う人物が居ると言う知らせであった。手がかりがこれでかなり広がると思った浜安は調べに調べた。




Dubilに誘われた人へと言うタイトルでネットワークビジネスに誘われた方へのブログの記事から能木の会社名オウルやその子会社TMSがある事を知り判り得る事をしらみ潰しに探って行った。この日はちょうど土日に当たる日になり会社の登記簿謄本が法務局で取れないので牧本がレストランで口に出した古志と鮒星に加えもう1人の森田と言う10%のリズマトレード社の株を持つ人間を調べる事にした。そこで森田はシャリオスと言う株式会社を経営している事も分かった。



牧本の話によれば愛媛県の八ツ下真珠養殖場が資金繰りのピンチで誰か助けてくれる人は居ないかと探し周っていたら森田と言う人間から古志と鮒星を紹介されたと言っていた。そして森田は出資もしていないのに2人を紹介しただけで会社の株式を取得している。そうとう怪しい人物だ。浜安は未だ古志と鮒星そしてこの森田の誰とも会っていない状況ではあったが能木の住所と会社の場所そして古志の家の住所と牧本の住所を調べて華山に伝えたのであった。こちらも全てLINEのやり取りの記録に消される前にスクショで証拠として残っている。



第7章  詐欺師のミス


翌日の10月2日の日曜日に牧本は決定的なミスを犯した。小波と孔明と牧本と前日に作ったグループLINEに1枚の写メを送って来たのだ。それは郵便物が渋谷のとある会社から牧本たちのリズマトレード社宛てに届いた送り状の写メであった。その写メが何を意味するのかは分から無かったが直感で浜安はその写メをカメラロールに保存をした。そして何の郵送物なのか牧本にLINEを送った途端にその写メのメッセージが消され送信を間違えたと返事が来た。おそらくは背後にいる古志や鮒星に郵送物が届いた事をあちら側で作っているグループLINEに送ったつもりであったと思われる。最初名前が何と書いてあるか浜安は分からなかったが孔明が佐口って読めるよと教えた。差出人の株式会社ドライムステイ代表・佐口陽子と確かに読める。そこで詐欺師達に繋がっている人物であるからには怪しい事が出てくるであろうと調べる事にした。



空から降ってくる雨で幾らでも取れる泥ミズでお金を儲けられると言うセミナーを開いてそこからPGI(プランスゴールドアービトレージまたはプランスゴールドアルゴリズム)と言うネットワークビジネスと先に謳わずに誘導して行く典型的な違法マルチであった。このPGIはA Iを使って複数の暗号通貨取引所で仮想通貨の取引を行い通貨ごとの差異を取り利益を出す仕組みがあるからそこに金を入れさせて高配当を払い儲かっていると被害者に思わせてさらに追加でお金を出させ途中で事業失敗などの様々な理由を付けて出金できなくさせ、その間に警察の追えない海外などを経由してお金を取る詐欺行為に近い物にしか思えなかった。




コインチェッカーの様なオンライン上での口座を作らせて組織的に作った暗号通貨へ日本円を投資させ配当を出している様に見えさせ入金額が膨らんだあたりで出金を出来なくさせるやり口で代表的なジュエリーエイトなどの詐欺まがいの事を繰り返しそれらは総額で日本だけでも数100億円から1000億円もの被害が出ている。同じ暗号通貨に日本円の投資を大量にさせるのだから価値が上がるのは当然では有るが途中で出金させなくするのはタチが悪すぎる。



1000億円もの金額をどうして警察が追えないのかを不思議に思うがケイマン島やジャージー島などに被害者達がお金を注ぎ込んでいるうちに海外経由で入れて見えなくしていると言うのが1つと後は完全な想像になってしまうが先ず口座に日本円を入れさせてそれを独自の暗号通貨に投機させたものでヒットコインやイーサリアンなどの信用の高めな暗号通貨に替えてマネーロンダリングによく使われているNFT(代替え不可能なトークン)と呼ばれるアートなどを買ったりヒットコインでの決済可能な高級時計などの物に替えて日本円としては分からなくさせているのだと思われる。暗号通貨から日本円に替えた場合には税金がかかるため直ぐに追えるのだが暗号通貨のまま保有していると課税できないためそこの穴を突いた汚い方法であるので暗号通貨から別の暗号通貨に替えそれでネット上で物を買ったり例で言うと高級時計店でヒットコイン決済が可能なゆきさきなどのお店で組織の誰かの口座で買わせて無くしている仕組みだ。



ここがお金を溶かすと言われる詐欺の方法に思われる。薬物をエック(旧ツイット)などで売買する時に足がつかない様にモネルと言う暗号通貨などで振り込ませ密閉したレターパックなどで郵送をする取引の仕組みがあるが警察がこれを知っても捜査が出来ないのである。兎にも角にも日本円を暗号通貨にした時点で警察は追いにくいのが特徴で検挙が出来ずに歯ぎしりしているのが現状だ。浜安はそこの警察が追えない部分の証拠や動きを抑えておきたかった。捕まえても起訴が出来ないのなら起訴に持っていけるまで順序立てて犯罪行為の仕組みを1から10まで証拠つきで立件出来れば良いだけである。分からない事があったら分かれば良い。この一言に尽きる。牧本の送信ミスによって出て来た名前から調べ辿り着いた事は想像していた以上に大きい事件に繋がりそうであった。犯罪まがいの行いをして騙し取った被害者達に泣き寝入りをさせて集めた金で豪遊している悪党どもがリズマトレード社の牧本や古志に鮒星と必ず何かしらの絡みがあるのだ。




泥棒に銅の鉱山への違法な出資のさせ方に真珠の養殖場への投資詐欺加えて巨額の被害が既に出ている仮想通貨への出資の詐欺まがいの事件まで欲のままに被害者を出し続けている。これでは全てのものを喰らい尽くす獣であり犭貪(とん)だ。この詐欺師集団達に天誅を下す者が現れなければならないしそれが自身の天命の中の1つなのだと浜安は深い憤りとともに感じていた。先に書いたジュエリーエイトと言う名前はこの時より以前に浜安は知っていた。知り合いの女性から連絡があり被害に遭ったと言われていた。それが本当に儲かるものだと信じ込まされてしまい出資者を自らも集めていたところで逮捕者が出てそれをニュースで見てどうして良いのか分からない。と相談を受けていたのであった。



その時の回答は正直にそのままありのまま起こった事をその被害者達に話したりSNSで私も被害に遭いさらに被害を拡大させてしまうような話しをしてしまったと謝罪するように説得を試みたがその女性はその回答通りには出来なかった。自身が犯罪に加担してしまった可能性がある事を言えないのであろう。やましい事や都合の悪い事を晒け出すはとても勇気が必要ではあるがそれをしないと信用を全て失ってしまうのだ。



事の全てが明るみに出るのは時間がかかるのは明白である。だからこそ警察が追えない部分を浜安は1つずつ探していかなければならなかった。これまでに法務局で取り調べた会社の登記簿謄本に記載されている変えようの出来ない住所から実際に回るしか無かった。畜生どもめよりによって何故このタイミングなのかと浜安は苦悶していた。自身の夢の目標の1つを世界一周旅行記を書く事と定めている浜安は3ヶ月に1度行っていた海外旅行をコロナ禍で待ちに待っていたのだ。それがやっと入国審査が緩和されて行ける国が増えたタイミングに重なったからである。




しかし放ってはおけない悪党どもが野放しにされていてその手がかりが自身の元に近付いて来ているのだから止める訳には行かない。法的に処罰を受けて社会に出て来ても後ろ指を刺される人生を送る羽目にしなけれらならない。この悪党どもによって財産や信用をなくし自殺した人が少なからずいるのであろうから。その上で逮捕されるだけでは意味がないマネーロンダリングをしている金の流れを追って被害者たちに金が戻って来るようにまでしないとである。ここはとても重要な部分である。被害者の立場からしたら苦労をして貯めたり借金までして本当に増えるのならと信じ込まされ出させられたお金が実は騙し取られたと分かったらならばどう思うであろうか?



その犯人が逮捕されただけで出て来てその金で贅沢な生活をしているのを許す訳が無い。出させられたお金が返って来てまでが解決なのであると浜安は考える。謄本に記載されている住所とネット上で分かり得る住所を1人で回るしか取り敢えずの手が無かったが10月2日の牧本が写メを間違えて送った同日にすでに行動をしていた。古志が関わっていたカスモプロフワールド社はホームページ上では銀座と会社の住所が書かれているが実際に登記してある場所は渋谷であった。明らかに怪しいのである。牧本が代表取締役となっているリズマトレード社の前の代表取締役は古志である。そしてその住所は銀座の高級マンションであるミレニアムコート銀座プレミア11階ここに古志はかなりの確率で住んでいる。11階は月に58万円の賃貸マンションであるから年間に700万円ほど居住地に使えるくらいに人を騙しているのであろう。



次は能木のオウル社が同じ中央区の晴海にあるザ・パークサウス晴海の48階に住み会社の事業項目には投資事業や仮想通貨(暗号通貨)に関するコンサルティング及び投資事業となっている。実際にその建物まで行った浜安は驚いてしまった。偶然仲良くしている知り合いの不動産会社の社長が同じマンションであり中に入った事があるからだ。



だがこの時点では能木はまだ黒だと確証が持てないでもいる。お金を古志に貸していたくらいであるから何かしらの関わりがあるし事業が暗号通貨や投資と思いっきり今回の事件に近いものがある。それでも単に仕事はきちんとして儲けたお金で古志にお金を貸しただけの被害者側の可能性も拭えないからである。次に能木のオウル社の子会社株式会社TMS(登記簿には株式会社ティーエムエス)の新宿の市ヶ谷にあるHA I21ビルに行った。ここまでは実在している会社なのは確かめられた。しかし詐欺師集団の実態がこの後に明らかになって来る。



第8章  有り得ない確率


2022年10月2日19時06分

森田のシャリオス社は六本木の雑居ビルの4階とネット上には書かれているが行ってみるとそのビルには4階だけが何の看板もない幽霊会社である。

(登記上は調布市の多摩川6丁目にある一軒家であった)



上がってみるとインターホンらしき物が2つもある何だこれは?看板は無いのにインターホンもそこから見れるカメラも2つ、こんな会社は有り得ない。極め付けが今回の牧本が投資をしてくれと言って来た真珠の会社であった。


その名は株式会社イラストパルと言いこちらも六本木に登記が記載されている。ネット上からGoogleマップでその場所に行くとベルサーレ六本木(済友不動産六本木ビル)に辿り着くがそんな会社は中には入っていないと言われた。再度ピンポイントでその住所を調べ直して行くと最初の尻尾を掴む事となった。何と先程の株式会社シャリオス社の森田の雑居ビルと全く同じ建物同じ階に登記されている。



どんな思考回路をしたらこんな事を思いつくのであろう。真っ当に仕事をしようなどどは鼻から考えていないのである。最初から投資会社として見栄えの良い六本木の大通りに構えているように見せているだけなのである。そして投資を色々な人間にさせて逃げるつもりなのであろう。牧本が森田と言う人間に紹介されたと言っていた古志と鮒星は全て同じ場所で活動している。リズマトレード社が六本木タワー17階のシェアオフィスに入っておりその大株主が古志である。そして森田にたまたま紹介されて出資をしてもらったと言う鮒星が経営している株式会社エンジェラバッカスも六本木タワー17階の同じシェアオフィスに登記されている。



つまりは牧本が真珠の養殖で資金繰りに困っているイラストパルと言う会社を救うために出資者を探していたらそのイラストパル社と同じ建物の同じ4階に入っている森田の株式会社シャリオスがあった。その森田から紹介されたのが偶然にも六本木タワー17階の同じシェアオフィスの中にいたエンジェラバッカスの鮒星である。



一見文章にすると意味が解らなくなりそうではあるが、牧本が出資者を探していたら自身がオフィスを置いている六本木タワー17階の同じ部屋に会社を登記していている場所にいる鮒星を紹介されたと言うのである。出資者を探していたら偶然紹介されたのは自身が居るのと全く同じ場所にいる人間を他の人から紹介された。と言っているのだ。どんな確率であろう?ここまでお粗末だと呆れてしまうがそんな事など分からない馬鹿だと思って騙しに来ている。



SNSには上げているが浜安は火傷によって両ひざより下が普通の人間の3分の1くらいの細さ になり今回はその腕より細い足でこれらを追求するために皮膚移植をした皮膚が擦れて破け足を血だらけにして犯罪の手がかりを探し回っいた。そこには誰にも言えない悲しみがあった。この件を知っている華山と孔明には伝える事が出来たが他の知り合いには誰にも言っていない。とても文章として書き表せないほどに浜安の周りの人は優しい人たちばかりであるから危ないからやめた方が良い事や代わりにやってくれるや手伝ってくれると言われてしまうであろうしまたは警察に今すぐに行こう。と言ってくれるのは火を見るより明らからである。



誰かに言ってしまったらその人まで事件に巻き込んでしまうリスクを一緒に負わせてしまうのだから言えるわけが無い。孤独でも何でも良いけれどこの事は言えないしSNSにも書けない。何と言っても相手は詐欺師の集団である、こんな犯罪者に関わらせるなんて出来ようがないのであった。毎日を色々な所に行ってはその事を日付けが詐欺師達に分るように各SNSなどにアップをしてその後にボロボロになった足を引きずりながら1人で探すしか無いのだ。警察が被害者が出ている悪党どもを現行の法律で捕まえられないのであれば誰にも言わずに自身の中で決めた逮捕まで逆に追い込み騙し取られたお金を返させるのだと言う信念に従うだけである。これを金科玉条として守るのみであった。

*金科玉条(この上なく大切にして従うべききまり。)





もう一つだけ加えられるならば本当に浜安を知っている人にはとても申し訳無く思っている。目の前やSNS上では色々な人と会い笑顔で話しながらこの詐欺集団を探っている事を隠している事を謝罪しなければならない。歩きすぎて足が血だらけになるのは火傷を負ってから慣れているから我慢すれば良いが会っている人にこの詐欺師達を追っている事を隠しているのは耐え難いつらさである。助からないと言われた植物人間の時から輸血で助けられて今を生きれているのだから隠し事などしたく無い。この味わっている苦しみを全てぶつけるからせいぜい今は笑って見ていてくれ詐欺師たちよ。どこでに浜安が行って誰と会っていたか手に取る様に牧本からの話しやSNSで見て知っているつもりであろう?



その見えていない時にお前らの住んでいる所や会社の実際の場所も文字通り足を棒にして暴いているのだ。それこそ夢にも思っていないであろう、まかさ騙して金を取るつもりが実際には悪事を全てあばかれて逮捕をされこのように書かれて消せない犯罪として生涯十字架を背負って行くことになっているとは。今までに騙して来た被害者たちが信用もお金も全て奪われて非業の死を遂げてしまった人たちがお前らの所業の所為だと証明してみせると誓う浜安であった。詐欺師たちよ何とでも馬鹿にして言っていてくれて構わない坂本龍馬も言っていたように


「我を何とも言わば言え我なす事は我のみぞ知るである。」


本にも書かれてSNS上に住所も公開されて犯罪者として残り続けるのだ。


第9章  トヨタのセルシオ


古志が関わるカスモプロフワールド社へ対する集団訴訟に向けての被害者の人々はIPアドレスで辿って警察がそこは助けてくれるであろうから何とか今は今後の被害者が増えない事を願っている。この誓いと共に六本木から森田の実家であろう調布市の多摩川の一軒家そしてリズマトレード社の牧本宛に郵便物を送って来た佐口陽子の渋谷の代々木不死鳥タワーもその会社の移転前の品川のカスタリンタワーのマンションも全て1人で調べて回って行く。


浜安はこの回っている時の孤独に付き合ってくれている愛車のトヨタのセルシオに謝っていた。電車などに足が悪くて殆ど乗らなく移動手段はこのセルシオであり最高の車だとずっと思い4台続けて乗っている。恩師のお陰でこれまでに超の付く高級車はかなり乗って来たがそれらと比べても遜色無く個人的にセルシオは良いと本気で思っているのである。トヨタが世界で一番の車を作ると決めて製作されたこのセルシオには当時こんな車を作ったら他が販売出来なくなるではないか。と海外の名だたる自動車メーカーに激震が走ったと言う逸話までありワインを入れたグラスをボンネットに置いて180キロで走っても零さない動画でも知られている。レクサスのLSと言うセルシオの後継機も乗ったが新車で出た当時は高くて買えなかった浜安の思い出の補正もありセルシオの方が好きなのである。どの位に好きかと言うと浜安は自身の会社の社名にセルシオの語源であるラテン語で至上や最高を意味するセルサスを名付けるほどに好きなのである。





2022年10月4日

逸らしてしまった話を戻す。この日はSNSには浜安は大学に朝から夜まで缶詰めで勉強をした事になってはいるがそのアップしている写メ以外の時間にもう一度法務局に赴いて謄本を取っておりその足で華山のオフィスにも訪れていた。そして牧本が投資しろと言って来たイラストパル社が六本木に登記される前に渋谷にあった事。そしてその住所が古志のカスモプロフワールド社から車で5分ほどの場所に登記してある事が分かりその事を話したのだ。華山はそれに驚いていたが別の事も思い出し話した。




鮒星は元々クーエンスと言う有名な企業で働いていた経歴がありその信用性を利用しているのではないかと言う話しと華山のビジネスモデルを盗んで応用しそれを認めて謝罪したと言う事である。それは証拠さえ取れれば営業秘密の不正取得の禁止にあたる可能性がある、これは不正競争防止法21条に法律的に違反し10年以下の懲役または1000万円以下の罰金刑が下される。窃盗や背任罪よりも重い犯罪だ。営業秘密侵害罪と今は呼ばれているこちらも立証出来れば良いのだが7年の時効にギリギリ間に合うかである。既に華山の言ったその時からは6年ほど経過していたのた。翌日の2022年10月5日に浜安はある方法を思い付き華山に連絡を入れた。それは今回の投資をして欲しいと言って来ている牧本のリズマトレード社への投資を字面の画数的に良いと名付けたと言う華山の名前では無く本名の方の名前で一緒に浜安に加えた分として投資に5万や10万を建て替えて払うのでお金を出資した形にすれば同じ被害者として警察に被害届を出せるのではないかと言う案であった。そうなれば泥棒に遭った被害も別件では無く同一犯として捜査が可能になると思ったからである。だが華山は15分25秒のLINE通話の中であえて相手側に覚えているかも知れない名前を伝えて詐欺師たちが逃げてしまう事を含めて考えてその案はやめる事にした。




その判断は大正解である。以前に海外に一緒に古志や鮒星と華山が行った際にパスポートで名前を見られていたらしく、この時点でその名前を出すのはこちら側としては一か八かの賭けの行為になってしまうのだ。危ない橋をあえて渡らなくとも牧本からの投資の依頼の書類が来ればその時点で全て計画された投資詐欺であると証拠と共に捕まえる事が出来るのであるからそれはしない方が良い。そして騙されていると知りつつお金を振り込んだ場合は詐欺罪が成立しない。




2022年10月7日

ホテルニューオータニで真珠のイベントを開いていた牧本の所へ浜安と孔明は一緒に行った。リズマトレード社の牧本の前の代表取締役であった古志とイラストパル社の契約書のコピーを牧本に用意させていて受け取りに行ったのである。その場で共に写真を撮り牧本をイベントの会場から話しを聞きたいと連れ出し古志や鮒星そして森田の情報を1つでも引き出したかったのだ。当然この会話も53分34秒全てを録画に証拠として残している。初めのうちは大した情報は得られなかった。それどころか牧本は実は白で本当にただただ古志や鮒星に森田の3人に騙されているだけなのではないかと思わせる話ぶりであった。真珠に対する愛情を語り森田と古志そして鮒星に私は騙されていた事を知らなかったと謝罪して来たのである。この話は録画を聞けば分かるが騙されてしまう人も多いと感じる。



しかし決定的に詐欺師集団の仲間であると判断できる話が1箇所だけ出て来た。それはこれから1000万円以上からの投資を頼んでいる真珠の養殖場の現地の写真を1枚も携帯に入っていないと言う事であった。その写真が残っていない理由を携帯電話の機種を2度変えたからだと牧本は言った。これだけは絶対に絶対に有り得ないのである。今から真珠の養殖場を助ける為にと出資の申し出をしているのにその養殖場の写真を持っていないなど論理が破綻しているに近しい。その上でその真珠を売りつけるイベントを現在進行で催している最中である。つまりこの真珠への投資の話しは嘘であると言っているのと同じにしか聞こえないのだ。救いたい会社や商品が有るから出資をお願いする際に写真の1枚も持っていないで頼み込む事など誰もしない。これは即座に分かってしまう出鱈目でもあり牧本自身が黒だと判断するに値する話しであった。



その時に牧本は携帯電話を裏側に持ち表側を見せないようにしていたが写真が出せない理由は予測であるが、こちらと同じく録音か録画を携帯電話でしていたと思われる。なので残っていないのでは無く見せれない状態に牧本自身がなっていたのだと思われる。そしてその会話は録って来いと古志と鮒星たちに命令されている可能性が高いと浜安と孔明は踏んだ。




50分以上の話しを終えてイベント会場に戻ったがここでの牧本のやりたい事はニューオザミと言う一流の場所でイベントを開いた事実を作る事とこちら側の会話はどのような物かを録る事だったと思われる。それらは全く持って意味を成さない事を牧本たちは知らない。真珠の養殖場の写真は既に森田のSNSのアカウントから浜安と孔明は見ていたからである。だからこそ写真が残っていないのでは無く携帯電話の録画画面を見せれないのであると予想に至った。森田に古志や鮒星を紹介してもらったと言っている牧本なのであるからその森田のSNSの写真を見せれば養殖場の写真だと言えるにも関わらず見せて来なかったのがその推測にあたる。



そして他にも会話の中で付けるところは幾つかあった。例えば4分19秒に牧本が話している事で森田がリズマ社に1500万の貸付をしていると言ってはいるが企業に対し現金で渡す事は普通は無いはずだ。口座の履歴を見れば実際に1500万のやり取りが森田とリズマ社にあったかは確かめられる。記録の5分12秒のところも大きい点で9月30日の時に詐欺に加担する寸前であったのを知って怖いから手を切ると牧本自身が言っていたのに古志から展示会に客を呼べと言われたから知り合いに声をかけて呼んだと話してさえいる。


そして売れたらその金をバックすると古志から言われたとも言っているのである。これでは全く話が逆方向に感じて仕方がない。詐欺に加担しない為に手を切ると話しておきながら正に加担しているではないか。そして買わされた客も実際にいるのをその場で浜安は目撃している。



他にも嘘をついて騙して来ようとしている点は多々あると思えた。昨年には倍の価格で入札が入ったと言っており幾らの倍なのかは分からないが実際にその組合に確かめるとそんな事はあり得ないと確証も取れている。21分38秒に真珠の核を15万個入れていると話し40分30秒の話ではイラスト社のホームページ作成費用で助成金を貰ったとさえ言っているのだ、核入れが15万個入れていなかったりなど事業に嘘であるならこちらも助成金を騙し取った詐欺罪にあたり罰金などが無く重い犯罪である。後で何と警察に供述しようとこの話の証拠のデータは押さえた。浜安と孔明がその場を後にして直ぐに牧本からは古志や鮒星そして森田にイベント会場に来たと連絡が行ったとこちらも予想できる。そして牧本たちはその後に高円寺のBARに浜安と孔明が行き書道の先生にラテ書を書いてもらっていた事をSNSを見て思っていたであろう。



そこから牧本の家の住所が謄本に記載されている横浜まで行っていたとは想像していないであろうが。実際に2人はその日にそこまで行って記載された座山ビルの写メを撮っている。やはりここも怪しすぎた。ビルのシャッターは閉まっているしポストも表札すら無い。古志の経営するカスモプロフワールド株式会社はネット上には銀座のビル2階とあるが実際の登記場所は渋谷のビル4階でありそこは美容院が実際には入っている。次に牧本に古志と鮒星を紹介したと言う森田の株式会社シャリオスは六本木のビル4階とネット上には書かれているが実際の登記場所は調布市多摩川の一軒家である。その全く同じ住所の六本木のビル4階に今回の投資して欲しいと言う株式会社イラストパルが登記されているがこのビルの4階は看板すら出ていない幽霊会社である。そして牧本が代表取締役であるリズマトレード社は株式の60%を古志が保有している会社であり六本木タワー17階のシェアオフィスに登記してある。リズマトレード社の社名を変更する前の古志星貿易(古志と鮒星の会社)の鮒星の経営している株式会社エンジェラバッカスも同じく六本木タワー17階に登記してある。全てが出資金や投資家を騙す為に作られたダミー会社なのだ。金が入ったら真珠の養殖場の事業が失敗した事にしてイラストパル社を倒産させて投資家に刑事事件で訴えられ無いようにするつもりであろう。



だとしたら先に述べたポンジスキームと言うやり方で最初のうちは配当を出しておき額が大きくなった所で何かしらのいわゆる溶かすと呼ばれる方法で現金を抜き取る投資詐欺の行為である。浜安はここまで推理してこの現金は佐口や能木などが扱う暗号通貨やPGIに入れるのでは無いかと思うと全部の点が繋がると思えて仕方かなかった。



証拠を固めた後は投資先の口座を牧本から聞き出し会社の判子を押した書類を持って来させお金を振り込めば一先ず立件は出来る。そこには借り入れと言う文言は入れさせない。借りた金を返さない事は民事上の債務不履行状態にあたり、警察は介入が出来ないからだ。牧本たち詐欺師集団は個人や潰すための株式会社イラストパルのどちらかに金を入れさせる気であると思われる。



個人に貸した場合にはただ返さずに民事裁判を逃げ続けるだけでその間に金を使い込まれるし、それは嫌だとこちらが言えば会社の口座も実印もあると信用させてお金を入れさせ計画倒産させるやり口である。だからこそ今までの被害者たちは警察に事件として扱ってもらえず民事裁判で逃げられ泣かされていたのだ。だが今回ばかりは通用しないと知るであろうし逮捕される事になると浜安は確信していたがもう2点取っておきたい証拠がある。それは佐口の泥ミズのセミナーと能木のオウルのそして森田の行っているセミナーを動画で横から撮る事が1点でもう1点は真珠の養殖が行われていると言っている宇和島市の松下真珠養殖場をこの目で確かめる事であった。この両点まで押さえれば全員確実に挙げられるし誰が親玉で絵を描いているのかも見える。



フルネームの表示で顔出し必須である佐口の泥ミズセミナーは録音・録画・撮影まで禁止と書かれている。録られたく無いものを確実に流していると言っているようなものだ。そのセミナーを誰かに受けてもらい相手の画面からは見えないように動画でそのまま撮ってしまうのが1番の証拠となる。この泥ミズセミナーについて色々と調べて行くと佐口から長田と言う人物を紹介されると書いてある。




長田、長田?どこかで最近聞いた名前である事を浜安は思い出した。長田、長田、長田真一。記憶が甦る。そうだ華山のオフィスで会っている男だ。



第10章  獅子身中の虫


2022年10月4日

時間を戻したこの日は大学にSNS上では勉強で缶詰になっている浜安が渋谷や六本木に調布と品川を回る前に華山のオフィスに19時44分に一度寄っていた時に会っていた人物である。この日はとても印象深い1日でもあった。大学の三田キャンパスに行きお昼から夕方までしか食べれない学食を食べて1時限だけ授業を受け大学の外に出て詐欺について調べそして18時34分にまた大学に戻り学生証がないと入れない図書館の中で写真を撮って19時30分に華山のオフィスに行き泥棒に入られた時に捜査にあたった五田署盗犯係の刑事の名刺を今回の詐欺事件の犯人と同一人物であると余罪で出したいと華山に見せてもらい写メを撮ってまた20時2分に大学に戻る3回同じ日に大学に行った日であった。



その華山のオフィスで紹介されたのがこの長田真一である。色々と調べて回っていた浜安の事を冗談でオフィスにいた数名の人間に


「浜安くんは探偵なの。」


と華山が言った時に1人だけ笑っていなく驚いた顔をして睨みつけて来た男であったのだ。この初対面の目つきで非常に印象深く残っていた。植物人間状態から600人分の輸血によって命を助けられその後に人格が変わった以前の良くない生き方をしていた浜安であったならその場で気絶するまで取り敢えず殴り付けていたであろう目つきであった。その長田は華山の法人の理事に入り込んでいる。非常に不味い事になった。泥ミズセミナーで佐口と長田は繋がっておりその佐口から今回の真珠の投資詐欺の話しをして来た牧本に何かの郵送物が送られて来ている事実があるのだ。



浜安の思考は長田は古志や鮒星と森田などの詐欺師集団に佐口を介して繋がっている可能性が極めて高く絵を描いた張本人であるかまたは送り込まれている詐欺師の手先の場合があると至った。これでは獅子身中の虫では無いか。華山が何か話すと詐欺師集団に筒抜けになってしまう。それに華山とその長田は10月の17日から一緒に仕事で海外に行く事になっていた。どうするか?日本には浜安がいて牧本から書類を手に入れ証拠を固め場合によっては宇和島に行かなければならない。これでは手の打ちようが無いと思った浜安は華山に


「長田には何も浜安じゃ分からなかったみたい。」


と伝えてもらう事だけお願いをしておいた。再び日付を元に戻すと2022年10月7日のホテルニューオザミでイベントを開いた時点から牧本の動きはこれまでに比べもの凄く遅くなっていた。浜安からは翌日もその翌日も出資の資料が作成出来たら見せて欲しいと言われていたが直ぐには出せない理由があるのだ。それは調べられても追えないようにするように書き換えが必要であるからだ。ネット上の森田の経営している株式会社シャリオスは六本木から多摩市に変更されているし投資先であろう株式会社イラストパルもその同じ六本木の住所からネット上では渋谷のグッドハウスと言う場所に変更がされて行く。つまりは別々の会社で登記も別々に見せて関係の無い会社であると思わせる作業を行ってからで無いと投資の契約書を出せないのだ。



だがそれすら詐欺師集団の方が遅いのである。先に六本木の住所で森田の株式会社シャリオスのスクリーンショットも収めているし株式会社イラストパルもネット上で変更場所にした渋谷のグッドハウスも既に実際に変更される前に六本木に行って写メに証拠として残してあるからだ。今からどう足掻こうが後の祭りであると後に詐欺師集団の全員が知る事になる。こちらはお前らが金を騙し取ろうと投資の話しを振って来た直後に既に調べていたのだ。特に華山が被害に遭った泥棒の犯人だと伝えられた日からは出来る事はもうしてある。毎日毎日、馬鹿の1つ覚えのように各SNSにアップしては新しく株式会社を創るために書類も全て作り登記をしていた事までは小波から牧本への話しで知っていたであろうが、その裏で足を血だらけにしながら這いずり回りお前たちの会社や家を現地まで全て回って行って写メに撮っているのが真実なのである。牧本が代表をいま変更している話しや鮒星がネット上で詐欺に注意と書かれているのを消している事など言っては来ているがその全てが無意味なのである。やればやるほど警察に怪しい行動をしていると調べられる事になるのだと被害者たちに弁済や贖罪しながら思い知るが良い。その工作をお前らが行っている間はどれだけ血を流そうとも浜安は耐えて毎日日付けが解るようにネットに行動をアップするだけなのだから。



小波と孔明と共に行ったこれぞフレンチで松本が黒だと思った日から1日も欠かさずに日付けが判るようにSNSに上げているのを見ているのであろう。その投資の契約書さえこちらに出して来れば事は終わりを迎えるのである。その契約書の内容を投資に値するか取り敢えず半額を口座に払い込み残りはまだ考えていると応えておいて宇和島の真珠の養殖場までこちらサイドの誰かか警察が行く事は確定させている未来なのだ。



第11章 怠慢刑事


この間に何人かの刑事に浜安は連絡をしたが1人はここまで証拠を揃えている事に感嘆の声をあげて


「本部にすぐに連絡を取り愛媛県警にも宇和島へ行ってもらえると思います。」


ともの凄く前向きな姿勢でありながら身分が低くてすみません、とさえ言ってくる杉成署の知能犯捜査係の刑事もいた。この場合の本部とは警視庁捜査2課の詐欺を扱っているドラマなどで出てくる所謂、捜査2課と呼ばれる知能犯の警察組織の精鋭部隊である。



これぞフレンチのある大手町を管轄している事件現場の丸の外警察の刑事にも今の時点でどこまで動けるかを訊いたが浜安は正義が悪に屈する瞬間を知ってしまう。話の途中でこれは立件が出来そうだといきなり割り込み代わられた刑事は聞くだけ訊いてとどの詰まりはまだ未遂であるし最初に会ったのがニューオザミの中ならうちでは無くて麹末警察に連絡しろと言う。




確実な証拠を揃えているにも関わらず事件が難解だと判断するやいなや犯罪者がいて被害者がいるのに事件から逃げてしまったのだ。直ぐに今逮捕出来るような物しかやりたく無いこの刑事の怠慢さは許せず名刺を直接取りにまで行った。このような悪に屈する警察官は警察署から地方の交番勤務に格下げした方が良いと本気で思った。



警察官は任務の定義に犯罪の予防が入っている。詐欺未遂であっても刑法250条に定められている犯罪である。これを自身のその時の独断での面倒臭いと言う都合で断るのはあってはならない。警察は名刺を渡す事を嫌がる者も多いがこのような刑事は警察署そのものの信頼を国民から失くす存在になりえるので渡してもらわなくてはいけないのであった。名刺の1番上に記載している


「この街に正義あり犯罪捜査にご協力を」


の文字が泣いているように思えた。刑事の名前も解るし階級も知れて直通の内線番号も載っている。110番などの警察への連絡は自動的に録音されているがこちらも言った言わないで嘘をついていない証明のために此度も記録を残した。



そしてぶち当たった壁がある事も知った。今回のような複雑な事件では階級が下では動きがどうしても遅くなる上から動かさないとだと改めて理解に至った浜安は別口で行動に出る事にした。それはクラシック愛好家で縁のあった官僚の1人である。ただクラシック音楽が好きで仲良くしてもらってはいるが大きく世話になるとは思っていなかった。



2022年10月15日

川崎で行われたオペラに誘われ見に行った時の帰りにも横浜市にある牧本の座山ビル3階にまで行き今度は人が実際に住んでいた事までは証拠に収める事が出来た。その日の浜安を誘ったオペラの開催をした人物は大臣の甥にあたり環境省から警察庁に出向をして警視正の階級のキャリアを通過点としていた。警視正は警察署の署長に等しいレベルである。当然ではあるが階級の低い警察に話すのとは天地の差が出て来る。本物の官僚なのだから1人残さず逮捕まで漕ぎ着ける力を持っている。だが話すのは時期尚早だ浜安自身が狙われた被害者であるのだから警察が動き易いように犯罪を1から順を追って立証してデータを揃えるのである。なので早く投資の契約書を雛形でも良いから出させるのだ。そうしたらやっと日付を毎日見せるようにわざとSNSにアップしないでお前ら詐欺師集団の所為で血だらけになっている足を休ませられるのだ。



しかし前回に孔明と横浜市の座山ビルまで行った時はビル全体のシャッターが閉まり人が入れないようになっていた。2回目に行った時はシャッターが空いており居住スペースである3階に登れるようになっていた。これは何故なのか?このビル自体のシャッターを閉める行いが可能なのはこのビルを持っているオーナーであるとしか考えられない。この座山ビルは牧本の親族などの持ちビルなのであろうか疑問に思った。そしてこの建物の謄本を取りにまた土日の空けた翌週に法務局へ行く事にした。その時についでに牧本と古志と鮒星が関わっている今わかる全ての登記簿謄本を取り直せば実際に牧本がリズマ社の代表を変更しているところだと言った事が真実か嘘かまでも分かるからだ。




第12章  詐欺師のやり口


2022年10月17日

華山が長田たちと一緒にイギリス旅行に行くこの日に牧本からLINEが来た。真珠養殖事業計画への借入時試算とまとめられたファイルである。そして株式会社イラストパルの口座も送って来たのだ。やはりやって来たかと感じる。初めから10倍以上になるからと投資の話を散々して来ておいていざ金を入れさせる時になった時点で借入と名目を変えて来た。この手をずっと繰り返して来たのであろう。人から騙して金を出させる瞬間に借りた金だから民事であり警察が介入出来なくさせる典型的な詐欺師のやり口である。ここにお金を振込めば被害に遭ったと受理をして警察の運が良く証拠を取れれば出資法違反で押さえられるかも知れないがそれでは甘いのだ。罰金刑などが無い詐欺罪で逮捕をしたいので借入では無く投資とリターンを詳しく書かせなければならない。




牧本は投資の依頼書自体を作成するのが初めてで浜安に対してフォームやサンプルを送って欲しいとさえ白々しくLINEで書いて来た。一緒にいる古志と鮒星に森田はそこら辺を得意とする詐欺を繰り返してきたのにである。9月の5日に初めて会った日に投資の依頼を頼んでおきながら1ヶ月半以上も経過してその書類の作成すらしていないのは明らかに普通では無い。サンプルとして以前に建築会社から投資の頼みを孔明がされた際の書類の画像を名前を消して送って見せる事にした。その投資の話を孔明は変だと勘付き浜安に相談していたのだが内容はめちゃくちゃなものであった。建築会社へ1000万円を投資する見返りに3年後に1140万円で戻って来るのとさらに元金の1000万円も保証して2140万円で返すと言うのだ。



今回の真珠の養殖場への投資話も入札が決まっていて元金を保証するし何かあっても出した分以上は入って来るから大丈夫と言い切っているが必ず儲かるとか元金を保証すると言って金を出させるのはそれ自体が特別刑法の出資法第1条に違反する犯罪行為である。賢明な投資家はこれは危な過ぎると直ぐに解る。勿論ではあるが孔明はそこに投資をしないでいてこの時の書類の画像を松本に見せたのであった。この2022年10月17日は月曜日であったため浜安と孔明は2人で法務局に行きこれまで取得していた全ての登記簿謄本を再度取りに行く事にした。



1.カスモプロフワールド社

2.鮒星のエンジェラバッカス社

3.鮒星が元役員のアドバイス工業社

4.森田のシャリオス社

5.能木のオウル社

6.能木の子会社ティーエムエス社

7.佐口のドライムステイ社

8.今回の投資先であるイラストパル社

9.途中から一切の連絡をして来なくなった来野田のジンマップ社

10.来野田のもう一つのジングルファイブ社

11.牧本のリズマトレード社


これらに何か変更がなされていないか全てを取り直した。1つだけその中で10月14日に申請がされ登記中のため法務局の窓口で出せないと言われた登記簿謄本があった。無論リズマトレード社である。牧本は代表取締役を辞めて投資の話しを振っておき会社から抜ける予定なのであろうと思われる。この事が分かっただけでも工作をしている証拠にあたるので行った甲斐があると2人は思った。それに牧本の住所である横浜市の座山ビルの建物の謄本も取得しておいた。持ち主はビル名の座山と言う人間であった。3階に牧本が住んでいると思われるビル自体のシャッターを閉められるオーナーであるのだからおそらく親族であるかまたは相当な仲なのであると思われた。



浜安は新しく登記した会社の名刺を作るために世話になっている名刺屋にこの後に孔明と向かうのだが高速道路を走っている最中に今頃は華山と危険だと思われる長田は飛行機で日本を飛び立っていると会話をしていてふと気が付いた。こんなに危ないと感じていた長田の名刺に記載されている会社ウニシフト合同会社の登記簿謄本を取っていなかったのだ。ここは絶対に知っておかねばならなかった。名刺屋の社長に急遽の用事が入り予定より遅れる事を伝え先程とは別の法務局に向かった。



長田はマンションの一室で2つの会社を登記していた。ウニシフト合同会社とウニファンディング合同会社と言う社名で事業内容だけを変えてあり資本金は同じ額である。そしてその同じマンションの隣の部屋に子会社として株式会社ウニダイヤモンドを昨年に設立登記していた。これは如何にも詐欺師らしく思える。真面目な会社を経営するなら同じ住所に登記をしたり隣の部屋に新しく会社を創るなどあまり考えられないからである。



なにがしかの目的があると思われるが長田の場合は3つの会社を経営していると人に思わせて凄い人間だと見させるためでは無いかと思われる。この長田が華山の協会に理事として入り込んでいるのであるから何かの目的が必ずあるはすなのだ。浜安は華山に危害を加えようとしている可能性がある長田が協会の中にいる事を大変危険だと思っていた。そしてどう考えても長田も黒なのである。前記した通りに真珠の投資話しを持ちかけて来たリズマトレード社の牧本の六本木タワー17階のシェアオフィスに泥ミズセミナーと言う名目で暗号通貨への投資を行わせて参加者からお金を騙し取っている佐口から郵送物が送った記録がありそのセミナーの中で長田が出ているからである。




第13章  大局観を持て


渡英する前に長田は黒であるから要注意だと浜安は華山にLINEを書いたが華山は


「長田くんは財団の理事ですからキッチリ白でないとダメです。」


と完全に信じ込んでしまっている。これは赤信号だ。孔明にどうしたら良いか浜安は考えを訊いた。



「ハマちゃん気持ちは分かるけど華山さんは長田が入っている財団のトップなんだから信じたい気持ちもあるのは当然だよ。走り過ぎているから一回立ち止まって休憩する時間もハマちゃん自身に必要に見えるよ。めちゃくちゃに行動している動きは凄いと思うけどそのまま突き進むと何か大事なところを見落とす事になると思うんだよ。」



人生の時間は有限でありその時間の貴重さを植物人間の状態になった過去で知りずっと挑戦と行動を繰り返していたい浜安には耳に入れたくない言葉であった。



高校も碌に行かず中退をした落ちこぼれが一流大学に入ると言った時も医師から2度と歩けないと宣告された時も様々な人に浜安が言われ続けた事がある。



「お前なんかには無理だよ。不可能だ。馬鹿じゃないのか?」


この様なドリームキラーと呼ばれる人の目標や夢を止めて来る人は大勢いるのは事実である。悪意があって言っている訳ではなく親身になって優しさでその言葉を言って来る事も多い。そんな事をしていても達成は出来ないだろうから時間の無駄になると気を遣って言う場合は確かに多くあるが、浜安はドリームキラーの言葉を聞くとヤル気になってしまう性分なのである。



もう一度歩く事が不可能?それならその常識を覆してみせると自身に誓った事があった。血の滲むような努力と言う言葉があるがリハビリ専門の病院の敷地内で100mを6時間かけて文字通りに血だらけになって歩けるまでに挑戦した事がキッカケとなりドリームキラーの言葉が欲しいと挑戦している時は思ってさえいる。



その行動力は認めるが諸葛亮から名付けられた孔明は突き進んでいるのは分かるけれど一点に集中しすぎてしまって今回の場合は何かを見落とていると浜安の愛車であるセルシオのウォッシャー液が出る穴を指差し車全体が見えていないと言った。将棋で例えるならば歩だけを進めて盤面の全体を捉えられてい無いと言える。大局観を見失っていると教えてくれたのである。先輩と普段は周りには言っている人間に対してこのような直言を出来るのは素晴らしいと浜安は感じ頭を下げた。戦国時代に産まれて居たならさぞかし名のある軍師になっていたに違いない。



そこで一回大きく物事を捉える事に濱安は全ての経緯を考え直すことにした。一つの事象だけを追うな。確定している事以外で見落としている点は無いかをよくよく見直さなくてはならない。真珠の真と言う字が書かれた法務局の封筒から既に20を優に超えた取得している登記簿謄本を取り出してじっくりと並べて見てみると下線部が引いてある所と無い所がある。浜安の時が止まる。目を見開いて声にならない声を思わず発していた。


「しまった。」



登記簿謄本の下線部の引いてある部分は全て過去の抹消されている部分で現在関わりがあるか確証の取れない部分である事をまさに見落としていたのだ。公的機関の公文書であるから全てが現在の物だと言う思い込みで見てしまっていたのである。



だとすると話は少し変わって来る。先ず一向に音沙汰の無くなったジンマップ社の木野田は私が社長とずっと言っていたからそうだと思い込んでいたが木野田は代表取締役では無く酒井と言う人物が実際の代表取締役である。そしてもう一つの木野田の会社ジングルファイブ合同会社には木野田以外にも名前があるが全て下線部が引いてあり合同どころか木野田1人だけの会社であった。次に古志が頭の上がらない能木のオウル社こちらは武藤天(むどうてん)と言う人物と一緒に経営を行っていると思ったが武藤天には下線部があり既に抜けているのだ。武藤天についても調べたが本名は東春善で関西の人間のようで調べていると草加高校の同級生がヒットする。草加学会が相手だと警察や政治家に相当な権力者が入っているためオウル社の事件は揉み消されるかも知れないと考えていたが関係が無いなら追求が出来る。



浜安の思い違いは3つあった1つ目はこのオウル社が能木のみが役員をしている場合。それと2つ目は先程のジンマップ社は木野田は実はこちらも酒井のただの駒である場合。そして3つ目は今回の真珠養殖場への投資を持ちかけて来た牧本に対して何かを郵便で送っているドライムステイ社についてである。



ドライムステイ社で泥ミズセミナーを行ってそこから暗号通貨に誘導して被害を出している佐口について差出人が代表 佐口と記載されていたからそのまま会社のトップであると思っていたが登記簿謄本には佐口の名前は一切出載っていない。



実際の代表取締役は美佐志と言う人物であるのだ。佐口は株式を持っているだけかも知れないしこちらもただの口が回る駒としてセミナーを開かせられている人間かも知れないのであった。それと華山はこの謄本を見せた際に何度も美佐志と言う人間に暗号通貨の投資話を勧められたと言っていた。いったい今回の黒幕は誰なのであろうか。


第14章  マネーロンダリング


調べ直して行くうちにオウル社の能木の会社は怪しく浮かび上がる。ホームページにエステ事業と暗号通貨のプラットフォームの事業そしてeスポーツの事業があるがエステの事業以外はいくら押してもページが飛ばない。中でもGIPCHと言う暗号通貨はネット上でもとても評判が悪いばかりかそのサービスの土台となるオウル社のプラットフォームへ繋がらない。



暗号通貨GIPCHが値上がりするとか上場するなどとお金を集めて止めた可能性が高い。そこには子会社であるエスクリプト社からの入金については手数料がかからないと書いてありその会社の代表である中沼と言う人物も能木に使われていた可能性が高いと思われる。GIPCH仮想通貨とGoogleなどで検索をかけると出て来るOWNCOHN(オウンコイン)の記事を読んで行くと注意マークが途中で出てくる。



*交換に際し、交換手数料は別途発生する。

(エスクリプトホールディングス社のトークン発行オプションから正規取得されたものを除く)と書いてある。この手数料がかかるからエスクリプト社のサービスを使うように勧めていると思われるがマサーチュセット工科大学院卒業と言う経歴の中沼 宇利と言う人間にセミナーを開かせている履歴が判るがこの会社の登記簿謄本を取ってみると本名は中沼 貴利と偽名である事が分かった。正しい事をしているなら名前を変えて登壇する必要は無い。さらに人からお金を集めたりその会社のサービスを使わせるなら余計にやましい事は普通はしない。メガバンクの投資信託などを例に挙げると分かり易いが偽名など使うなどする訳も理由も無い。




その集めた被害者達の金で能木は晴海のタワーマンション48階に住んでいるように思える。そして繋がるのはドライムステイ社と華山の協会に入り込んでいる長田である。ドライムステイ社の代表と自身で書いている佐口の泥ミズセミナーには長田が出てくるしそのセミナーのお金を集める先はオンライン上での暗号通貨への投資であるからだ。暗号通貨への投機のために日本円をプラットフォームを作った組織の口座に大量に入れさせて現金化出来なくする手口のカラクリ能木木も佐口も同じなのだ。



この詐欺まがいの行為を基にした資料がどちらかに必ずあるはずである。大元はジュエリーエイトかも知れないし能木のオウル社かドライムステイ社でもあり得る。同じ手法で被害者達からお金を騙し取っているのはほぼ確実に思われた。この散らばって行動をしている点を全てを一直線で繋げる事は推理として可能になって来た。



不特定多数の人を集め泥ミズがお金になると釣ったり能木の子会社であるエスクリプト社も開いているセミナーで如何にも必ず儲かるように信じ込ませ先ずはお金を出させて仮想通貨の取引が出来る口座を作らせている。そこで作らせた口座は各々の持ち物であるため安全だと言いながら草コインと呼ばれるこのコインに変えておけば想像もしない位に増えると違う仮想通貨にその資産を移させるのだ。


その取り扱いをしている仮想通貨のプラットフォームは能木のオウル社の事業で使っているところを使わせて今回はたまたまこの仮想通貨のコインは上場にはならなかったや事業が失敗した、と引き出せない状態にして逃げる仕組みであるなら正に1本の道筋が出来上がる。ブロックチェーンと言う取引の記録を分散的に処理や記録をするデータベースの技術が仮想通貨では有名であるがこれをプライベートチェーンと言う参加者が限定された物にしている可能性が高いと思われる。




先に書いた怠慢刑事からは価値が上がると思うから皆んなが仮想通貨に金を入れるのだからプライベートチェーンだったら意味がない。とバッサリ深い追求もせずに遮断されたがそうでは無いのだ。自ら作り出した他から見えないプライベートチェーンであるからこそお金をOWNCOIN(オウンコイン)などにさも億り人のように100万が1億になるなどと囃し立てて大勢から金を取り増えているように見せておいてその間に自分達は詐欺グループ内で限定されたプライベートチェーンに入れて使って追えないようにその中に入れる。



仮想通貨のコインだけで無く土台そのものの取引所であるプラットフォームまでも作っているのだから全てが完結させられてしまうのだ。仮想通貨に詳しくない浜安であったがここまでは繋がらせる事が可能であると踏んだ。販売所で買わせた品物をこっちの品物は1年後には10倍にも100倍にもなると信じ込ませて物々交換をさせるのだがその信じ込ませた品物自体が自ら作った物でありさらにその取引を行うプラットフォームの場所すらも自らが作っている。そして金を移動させている間に大きく膨らんだ所で引き出せなく凍結させる。これではやりたい放題である。取引所と販売所の両方を扱えるのなら誘導すれば全てを詐欺師達の思い通りにさせられてしまう。黒幕は土台のプラットフォームを持っている能木かはたまた別の人物であろうか。今は分からなくとも牧本を操っている古志と鮒星そして森田の携帯の履歴、能木と中沼のやり取りを押さえてしまえば誰の指示かは解るし客観的に第三者が見ても明らかに最初から騙す意思があったと解るように出来れば逮捕に踏み切れる。


第15章 詐欺罪の成立要件


詐欺を立件するのは意外に難しいもので嘘をつかれてお金や財物を取られたとしてもその行為を最初から騙すつもりであったかの証拠を取れない限り易々とは出来ない事になっているのが現在の法律である。この法律では4つの条件を満たしていると証明できて初めて詐欺で捕まえられる。


①何者かを騙し

②被害者の認識と事実とが異なっている状態にする

③被害者の持つ財産を交付させる

④利益の移転


この全てを確実に証明しなくては成らないのだ。①②と③④は同じ括りで調べて行くのだがそれが故意であったか騙すつもりでは無く本当に儲かると思ってやったかの未必の故意であったか否かを検察や裁判でも解るように組み立てて行く捜査が必要になる。



③と④はお金や物の移動があったかですぐに解るのであるが①と②が特に困難なのだ。欺罔行為と通称呼ばれているこの部分は相手を騙して錯誤に陥れる行為が初めから計画された故意であったかの証拠を押さえなければならない。



例えるならばAと言う人物がここの会社の株はとても儲かるとBと言う人物に持ちかけてお金を出させる。結果的に本当に儲かりBが得をした場合には先ず被害に遭っていない訳であるから何も起こらない。だがBはその株の所為で大きな損失を被った場合には騙されたと警察に言う事になるであろう。この時にAは本当に儲かると思ってBに最初から話したとすると詐欺罪は成立しない。しかし株を発行している企業側と組んだりして最初からBを騙す気があった時にやっと詐欺罪として確定がされる。



お金を取られた人が警察が動いてさえくれないと泣き寝入りさせられるのがこの騙す気が無かったと証拠が掴めないパターンが多い。だからこそ全ての関係者のデータを押さえ最初から騙す気があったかを証明する必要があるのだ。



さて今回の真珠の養殖場への投資話についてはその逮捕立件できる条件は成立するであろうかと振り返ると牧本は2022年9月30日の時点で古志や鮒星は詐欺を行っていると理解して牧本自身が詐欺に加担しなくて良かったし手を切ると言っているが2022年10月7日にその詐欺だと自らが認めているのに金をもらうために展示会を開いている。それは浜安の揃えた証拠の動画の中の5分12秒に記録されている。



これで投資をしろと言って来ているのは第三者からみても詐欺を行うつもりがあったと明らかに思える行為にあたる。その10月7日の記録に押さえた6分10秒には泥ミズセミナーの佐口陽子が詐欺師であると調べて知ったと言っているのであるがここも完全に嘘をついているのが証拠として取れる。何故ならば10月2日にその佐口陽子から牧本に対して郵送物(アクセサリーと記載)が送られて来ており牧本は受け取っているからである。



牧本は浜安がその郵送物のやり取りをしている事をバレていないと思って話しているのであろうがその牧本自身が詐欺師であると打ち明けている佐口と一緒に何かを行っているのが既に写真で押さえているのであるからこれは騙す意志があったか無かったかを客観的に裁判官が見た場合にも詐欺師だと知っていてその上でなおお金を投資させようとしているのであるから騙す気があったと証明がされる。こちらの押さえている証拠や情報網を軽んじた事をしても無駄だと知るであろう。この時点で600点以上を証拠にこちらは押さえているしまだまだ追っているのだ。



時間を戻した2022年10月19日にそんな推測をしている時にその牧本からの連絡が来る。出資先としてイラストパル社の口座番号を教えて来たのだ。だか出資の依頼書は出して来ない。これが無いとお金を振り込んでも何の目的のために振り込まれたか後付けで言い訳が何とでも出来てしまう。その出資依頼書を浜安にどう作るかを訊いておきながら3日以上が経ちまだ送って来ない。その事を時間がかかっているため出資金の半分は別の投資先に出してしまって良いかと突く事に浜安はした。牧本からの返事はイラストパル社の代表が出張していたから押印するための書類の送付と戻しに時間がかかっているとの言い訳であった。助けてあげたいから養殖場への1000万円の投資を初対面でお願いをした人間がその書類すらも作っていないと言っていて辻と褄が合わせられていると思っているのか意味が解らない。



意味は解らないが理由は読める。作成していると言っておきながら逃げる工作や他に出資して欲しいと声をかけた投資家にお金を入れさせる段階まで持って行き同時期に入金させるつもりなのであろうと予想される。そしてその口座に振り込ませた後は投資や出資のお金では無くただの借入金として書類を後出しにし警察には金の貸し借りであるから事件では無いとこれまでのやり口で逃げようと言う魂胆にしか思えない。



取り敢えず投資先の口座を出させて作成している所までは漕ぎ着けたのだ。ここで毎日の行動をSNSでアップしなくとも済みそうなのでズタボロになっている足を少し休ませられる事が出来ると濱安は少し思いもした。



しかしまだ休めさせられない事情がその後にすぐ出来てしまった。シャリオス社の森田であれば浜安が危険だと牧本に伝えている古志や鮒星にお金が行かずに養殖場へ送金してくれる。と言う文面がLINEが来てそれからLINE通話をしたいと言いその会話の中で森田は華山の協会に現在も所属している理事の賀田と言う人間と知り合いであると漏らしたのだ。2022年10月19日22時10分の6分13秒にこちらも動画で証拠として残してある。




今回の真珠養殖場へのお金を森田に直接入れて欲しいと言う言葉とその森田が華山の所の理事である賀田と知り合いである事、そして華山の協会に入り込んでいる長田が泥ミズセミナーで被害者を産んでいる佐口と確実に繋がっている事。どこで何があるか分からない。長田からは華山と一緒に渡英しながら浜安が探偵みたく嗅ぎ回っていると言う情報が同じ理事の賀田から森田そして牧本と全て行っている可能性さえある。



やはり出資の依頼書が判子を押されて来て入金するまではネット上には浜安は毎日居場所を時間付きで分かるようにアップしておかないと詐欺師集団を逮捕まで漕ぎつけようとしている事をばれてしまう確率が低くともあるのだから止まる訳にはいかないのであった。


第16章 先手を打て


2022年10月20日

突然の電話が鳴った。助けて欲しいと2年ぶりに連絡して来ておいて一緒に事業をする仲間の小波からお金を取り一向に連絡をして来ていなかった木野田からである。それが鬼の剣幕で怒り狂っている。浜安は小波に対して木野田とはもう関わらないで行くと決めたと伝えたが事業で木野田のジンマップ社と関わるような書面をブティック ピゲに残してしまっていたのでその紙を前日の19日に孔明と長田の登記簿謄本を取りに行った後にたまたま引き取りに行っていた。犯罪者や危険な匂いのする人物と関わっていて良い事など何も無いからだ。



小波から渡されたビニール袋の中にはその書面と一緒に木野田が営業に使っていた本が入っていた。これをすぐに返せ。今から取りに行く。と言っているのである。その本には木野田がエリザ女王のチャリティーパーティーに参加をしてジンマップ社の宝石をエリザ女王があたかも使っているように書いてありそれを販売している中の売り文句で言っていた。これが嘘であれば騙して売りつけられた人には詐欺に思われるのは当然である。イギリスのパーティーに参加した話しの真偽は客には確かめようが無いと思っているのであろう。



だがそこももう嘘だと判ってしまってさえいる。浜安の知り合いで実際にその木野田が言っているのと同じ日にイギリスで行われたチャリティーパーティーで世界的に有名なドラマーと一緒に自撮りの写真を撮っている日本人がおり木野田は知り合いで無いから分からないし参加した人のグループチャットにも入っていないと教えてくれたのであった。



日本からそのチャリティーパーティーに参加できた人は数名で限られている、その中にいないと言っているのだから木野田が嘘をついて宝石を売っている事は明白なのであった。買わされた客はこの真実を知ったら、たまったものでは無い。騙されたと警察に言うであろうしその証拠も浜安は持っている。



加えて小波からの話によればFXの投資で木野田は人に200万円出させたらしい。小波に対して士業の人間を使いお金の融資が降りなかったのに紹介料として22万円を脅し取られたと小波からの相談もあった。おそらく木野田も逮捕をされると思われる。余罪はどれだけ出て来るのであろうか?助けて欲しいと人に泣きながら近付いて来てその一緒に会社を頑張ってやっていこうと言いながら仲間の小波までも騙した事は許されない。千葉の家の住所も分かっているが司法に委ねる事にしようと思った浜安はその木野田の本の全てを写メに撮り小波にその電話の来た日に渡しに行ったがその途中で全てのページをカラーコピーしてそちらの証拠も逃さず押さえた。



「何かあったらその責任をどう取るつもりだ?筋を通せ。」



と録画した証拠を聞くとどの位にこの木野田が焦っていたのかがよく解る。堂々とブティックにジンマップ社CEOとして置いてあった本の1つで異常な怒声であり暴力団のような言葉遣いである。普通の人なら筋を通せや責任をどう取るなどと言う言葉は使う場面はあまり無いと思われる。この木野田もそうであるし投資詐欺に加担している悪党ども全員は相手を間違えている事を解っていない。



お前たち犯罪者集団が相手にしているのは、ただの怪我した一般人であるが障害者でもあり現役の大学生でもある。その障害者を狙い詐欺被害に遭ったとなれば障害者連名や障害者団体などの大きな組織が黙ってはいない。それに大学生をも狙った詐欺だと公に思われるであろう。




障害者を狙った詐欺や学生を狙った詐欺。これはメディアの格好の的である。要は司法や警察そのものでもある日本の憲法に喧嘩を売っているのに近しいのだ。完全犯罪を目論見て知能犯として頭脳で仕掛けて来るのなら相当なお門違いである。現役の大学生達がフル稼働させる頭脳に勝てると本気で思っているのであろうか。そこも警察での取り調べや裁判所での言い分として考えさせられる事に後に気付く事になると思われる。





2022年10月22日

牧本の方も未だに書類が来ない状態である。浜安は口座を知れたは良いが投資の依頼の書類が無いと確実な証拠を押さえられないため再度の連絡を入れた。投資家側から早く投資させて欲しいと言う事は考え難いが今回だけは訳が違う。これまでに証拠となりえる物を634点を収めている上その相手の投資先の口座まで解ったのであるからここは押す場面だと考えてもいた。




しかしここはまだ待っても良い場面かも知れないと思う事が起こる。牧本がこちら側に本気で着きたい文面になって来たのだ。想像していたより不味い相手だと思ったのか古志や鮒星と縁を切りたい。どうしたら良いか?と浜安にLINEで頼み込んで来るようになったのだ。



お金を騙し取る気で話を持ちかけて来たのに組織を抜けてこちらに着きたいなど問屋が卸さない話である。こちらに取ってもあちらに取ってもなのだ。古志と鮒星からは話が違うと言われるであろうしこちらは当然であるが現在犯罪に加担している人間の受け入れ受ける事など有り得ない。一種のパニック状態に牧本は陥っているのであると思われるが既に手を染めた犯罪を今から無しにしたい等とは道理が通らない。実印を押印した書類を送って来るだけで終わりなのである。




それとは別な話しになるがまた新たな手がかりを浜安は見つける事になる。これまで関わりのありそうな人間の名前が分かった会社の登記簿謄本を全て取って来たがそのどこにも古志の名前が現在載っている物が無かったのだ。それをやっと見つける事が出来たのである。古志の名前から調べて出てくる物を全て取っていたが外れも幾つかあった。1年も経たずに閉鎖されている古志の名前が付く会社の謄本などは同じ社名が存在し如何にも怪しげであるが古志とは関係が無く調べ続けていた。やっと突き止めたのが古志星商事と言う合同会社で新宿のアパートに登記されており古志と鮒星が現在も役員として記載されている登記簿謄本であった。



2022年10月24日

朝方にのらりくらりと返信を遅らせている牧本に対して連絡が無いことへの安否確認のLINEを入れる事にした。これは浜安の失敗である。焦っている牧本に対し逃げる口実を与えてしまった。


「本件、一旦中断、もしくは中止させて下さい。よろしくおねがいします。」



とこれまでと打って変わってまるっきり逆の返答をして来たのである。明らかに異様であった。こちらが捕まえようとしている事を勘付かれたかもしくは何処からかその類の情報が入ったのだと思われる。牧本は作成の前に建て付けの検討の必要がある。とまるで別人が文字を打っているようにさえなっていた。詐欺師達の方から梯子を下ろしにかかっている感触である。



プロジェクトの仕組みや構成を今から建て付ける?最初の今すぐにでも投資して欲しい話はどこに行ったのであろう。書類の完成前に古志や鮒星と縁を切った建前を作る工作だけならまだ良い。もう一つの1番恐れている点が浜安と孔明にはあった。それだけは絶対にあって欲しくない方向である。



それは華山が黒の場合だ。確実に黒の長田を



「長田は白でなくてはならない。」



と言った事が引っかかる。ネット上にすら長田の詐欺まがい行為が上がっているのに白と言うのは協会の理事だから信じたい想いがあるのは理解できる。だが長田とシャリオス社の森田が関係のある賀田は10名のパンエイジン協会の理事の中の2名である。2人も関わっているのは極めて怖い状況である。信じていた人間が黒側などとは考えたくも無かったがやむを得ずこれまでの華山との流れを振り返る。



1.数年ぶりの再会の日に古志と鮒星の名前を浜安より先に出した点


2.古志が華山の協会に所属していた点


3.森田と華山の所の現理事である賀田が絡んでいる点


4.完全に黒の長田を白だと言う点


最後に渡英から帰国するこの10月の月末に近いタイミングで牧本がいきなり引いた点である。



これだけ揃っていると杞憂では済まず否が応でも嫌疑をかけなくては成らない。10月24日を境に牧本からは音沙汰が無くなるのに対し華山からは連絡が来るようになった。



その10月24日浜安は青山のレストランで晩飯を食べているとSNSにアップしその帰りに日付けが変わる頃に古志星商事の登記されている新宿の住所に行っていた。アパートだと思い込んでいた建物はトランクルームであった。トランクルームに会社を登記しているのはやはり怪しくこちらも証拠に撮ってあるが森田のシャリオス社や牧本の横浜の家と同じ方法でポストに郵便物が投函出来ないようにガムテープが貼ってある。そこを確かめた翌日の2022年10月26に華山から連絡が来たのである。まるで牧本と華山の連絡の頻度が入れ替わりの感覚までさえする。これまでの華山との最後の連絡は2022年10月19日に浜安から古志と鮒星を調べたが長田との繋がりは取れなかった。



と伝えそれに対しLINEのスタンプのみでありがとう。と華山は送って来ていた。海外に行く人なら直ぐに分かるがWi-Fiが繋がる場所であればLINEのやり取りは即座に可能であるがそこから26日まで約1週間の間を連絡して来なかった。華山から泥棒を捕まえて。と頼まれ毎日、頻繁に連絡が来ていたのにである。25日に牧本から投資の中断の一報を送るまで全てスタンプのみの返信であったが26日は違っていた。



「お疲れさまです。何か状況が変化したようですね!小波さんは大丈夫でしょうか?」



これが1週間全てスタンプで返して来ていた華山からの久しぶりの文章である。浜安は小波の事は華山には一切話していない。だがこの頃ちょうど小波は持病の蕁麻疹が体中に出ていた事をLINEでやり取りを浜安とはしていた。何を指して大丈夫でしょうか?と訊いているのかが読めないがそのまま蕁麻疹が酷いようであると華山に伝える事にした。



加えてタイミングが良すぎると危うんだ浜安は華山に対して罠を仕掛ける事にもしておいた。半年前の5月に叔母が亡くなりその遺産が多かったため親族が大変だった事を書いたのだ。実際には遺産の問題は型が付いていたがそのお金が余り出来る事なら真珠の養殖場を助けてさらに配当として返って来た方が良いと伝えていた。叔母には申し訳ないと思ったが正義のために死してなお世間の役に立つなら浮かばれると考えるしか手が無かった。その亡くなった時のスクショも華山に日付けが分かる様に送った。華山からの返事は


「小波さん、振り回されて大変ですね。」



とだけが来た。叔母に対し何も触れなかった事で回避しているかも知れないがこれは真逆に捉えられるのである。慈愛の心でさまざまな支援や寄附活動を団体のトップとして行なっていると世間に謳っているのは華山本人なのである。連絡を取り合い尚且つ古志と鮒星を捕まえてと頼み事をしている相手の親族が年内に亡くなった事を知ったら悼む言葉が1つだけでも有りそうなものである。人の死に対してはかける言葉もないと触れにくいならそれらそれで理解は出来る。だが小波が振り回されて大変だ。と言う返信だけでは意味が分からない。華山は何かしらの浜安が伝えていない事態を知っている事になるのだ。華山は本気で黒かも知れないと孔明にも話した。事の経緯を全て知っている孔明側からもここまで来るとグレーでは無くやはり華山は黒に思えるようだ。



敵を騙すには先ず味方からと言う言葉があるが浜安と孔明はそれを行っていたつもりであった。投資の話しを持ちかけて来た牧本を紹介した小波には黒である牧本を古志と鮒星たちの詐欺師集団から助けられないかと話を進めているようにしていた。それを鼻から華山が仕掛けて来ていたとするなら面白い華山と小波そこから牧本の全てが連絡がすぐさま取れるなら何故に全くそんな連絡をしていなかった小波の体調や状況の変化が手に取るように解っているのか合点がいく。



この流れで華山が長田から賀田にそこから森田そして牧本の順番に投資を全くこちら側に無くした状態にされてしまうと都合が良くない。詐欺師集団たちを逮捕に持ち込めなくなってしまう可能性が出て来るからである。詐欺罪と詐欺未遂罪では減刑された場合に刑に服する長さも軽くなってしまうし探っているとバレたら一目散に証拠を処分してしまうであろう。なんと言ってもやつらはネット上にまで被害者の会が億単位で出ているにも関わらず警察が捕まえられないように法の隙間をくぐり抜けて来ている詐欺の逃げ道とやり口を知り尽くしている犯罪者たちなのだ。



だがこれだけの用意周到に真珠投資詐欺を計画したものをそのまま潰す事も考え難い。他の被害者。つまりは別の金を取れる人間を探すであろう。いまの時点では浜安は日本に数え切れないほどに横行されている投資詐欺の目標にされたただの1人でワンノオブゼムにすぎない。何とかせねばならない。他の誰かが今回の真珠投資詐欺の被害者になってしまう可能性があるのだ。



やっと掴んだシッポを逃してしまうわけには行かない。そこで翌日の27日に浜安は小波に会う事にした。小波は牧本を紹介して来た張本人なのだから連絡を取らない筈がない。場所は横浜で開催されている国際宝飾展で仕事の商品の買付けを名目にした。ここれは浜安がたまたま知り合いの社長からこの日に宝飾展があると教えてもらった事でスムーズに小波も疑いなく来た。疑いなくとは、ここまでずっと白だと思っていた小波までも浜安はグレーに感じ始めていたのだ。何故なら華山には話していない筈の小波に蕁麻疹が出ている体調が良く無い事や何に対してかは文面では分からないようにしてあったが振り回されている。と言う文言があったからである。



華山と小波は直接の連絡をどこかで取り浜安にはそれは言わずにいる事を頭に入れなくてはならなくなったからだ。この日は小波は途中で用事があると展覧会の最中に浜安を残していきなり帰った。これを怪しい行動とは取るには足らないが普通の心理ならやはり行えない。小波は助けに入った浜安が資本金を全て出している会社の取締役に就任している事もあるしお金が無いから貸して下さい。と懇願し浜安と孔明から150万を振り込ませていた。お金を先月に貸して欲しいと頼み借りた人間がこのような私は用があるので先に帰ります。と無碍に置いて行くであろうか?



人として無礼な行いを理解していないと思うしか無いが多くの人は足を引きずっている障害者でもあり社長と自らが呼んでいる上司でありついでにお金を借りている人間を残して行く事はあまり想像に達しない。何か見られたく無い事や知られたく無い連絡が来る予定が無い限りは。白と思っていた華山に小波まで詐欺師の側なのかと思うと胸に痛みが走った。この時点では黒の確証の判断は出来ず用心深く見るしか無い。いやこの日の結論は小波がこの行動を取った事で脇を締め直す良い機会だと思う事になったと考える事にするしかなかった。


第17章 足への願い


2022年10月28日の翌日に小波から新しく登記した会社の謄本と免許証のコピーが欲しいと連絡が来た。それで小波の家の下まで行く事になった。これは法人口座の開設に必要だから持って来て欲しいと言う大池の頼みを断る理由は無い。この日、浜安は麻布の世話になっていて先生と慕っている母親的な存在と一緒に会食をし相田みつを美術館に行って歩き回っていた日でもあった。小波の元に行く頃には足が真っ赤に血で染まっていたが何か他に犯罪の手がかりが掴める可能性があるかも知れないのだから日程を遅らせる事は選択肢には入れず痛みを耐える事にしたのであった。




この時に得られた情報は大きなものであった。一向に連絡の無くなった牧本の話である。牧本は古志や鮒星と手を切ると言っているのに浜安の方から何回も牧本は古志と鮒星ついてはもう関係ないのですよねと言うから嫌になっているのだと小波は怒りながら話し始めた。数千万と言う金を入れさせられる側は犯罪者達とは完全に切ってくれないとお金は投げられないと言うのは当然なのだが牧本がそこの文句を小波に言っているのであろうと思われる。その後の会話の11分24秒からの小波の話しは大きな証拠となる。


「牧本は古志さんに対して私には華山さんの事を言わないように言って来ていたのに。牧本さんは自分から華山さんの事を古志さんに言ったらしいの。だから私は怒ったんですよ。なんで私に言わないでって言っているのにあんたが言ってんのよ。って」



表現の仕方が上手くその場では普通の人では気付きにくいが浜安は敢えて引っかかり小波の保身の言葉に頷きながら乗った。この引っかかった点については佐藤綾子と言う人の書籍である読顔力がとても役に立ったパフォーマンス学の日本の代表とも言える人で政治家に振る舞い方を教えるレベルの第一人者が書いたもので人に騙されない為や思考を読み取るのに良いのでお勧めしたい。悪い面では無く良い面を普段は見るのに頭に入れていたがこの時に小波が浜安に対して言う話しでは無かったので違和感を感じ取り疑問に感じられた。




小波は牧本に対して古志や鮒星の件を華山に話さないでと言われてこれまで顧客や企業関での守秘義務を守って来たし話さなかったが牧本は古志や鮒星に華山の事を話した。と何か問題があった場合にこの事を先に言っておけば自身は関係が無いと守るための話しだったのであろうがそれは見逃せないミスである。牧本が古志や鮒星と縁を切っていないと言っているが小波からの話しだと確実な証拠にはならない。しかし直接に牧本に会った時に話したとも漏らした。やはり連絡を取っていない間に直接会って話をしていたのである。そして古志と鮒星に華山の事を話したと言っているのなら牧本から連絡が来なくなった理由にも繋がる。それも知れたがこの日の収穫はもう一つあった。これまでずっと牧本の事を牧本さんとさん付けで呼んでいた小波が一度だけ牧本はと呼び捨てにしたのだ。これはかなり大きな意味を持つ。上下関係が牧本さんとしか呼べないのと牧本と呼び捨てにしているのはかなりの違いなのである。その事を知っただけでもまた詐欺師集団の情報を引き出せたと感じた。小波が例えまだ白であり牧本たちに唆されていただけだとしてもだ。





この掴んで行く1つ1つの情報に浜安はどんどん孤独を増して行くしか無かった。助けに入ろうとした木野田には裏切られ信じていた華山も黒の可能性が高くなりここに来て小波までも騙している側なのかと思うと誰にもこの事を言えずにそのまま挫けそうになってさえしまう。ただこの世で1人この事をこの時点で分かってこの全員が詐欺師側だったら心底同情するよ。と言っている孔明の言葉に支えられた時でもあった。辞める訳にはいなかった浜安がここから逃げたら誰かが被害に遭うのは明白であるからだ。



それは植物人間に浜安が悪い人間であった時の因果の応報でなった時に命を救ってくれた名前も顔を判らない献血をした人が命の恩人が被害者になってしまう可能性があるのと同意なのである。医師からは火傷で瀕死の重症から障害を負ってしまっているこの身体では持って還暦の60歳まで生きれるかどうかと浜安は以前に言われていた。この時残り後20年の余命ではあるが余命を知り死を覚悟した後は覚悟の無い時より信念を強く持って生きれている。命を賭して必ずやり遂げるからと腕よりも細くなっている自身の足に頼み込んでいた。どうかまだ歩けている間に片付けられるよう壊れずに保っていてくれと。



2022年10月29日仲の良い友人たちと会食をしていた浜安に華山からLINEが来た。



「日本に帰国いたしました。」


5分後続けざまに華山の法人でPCの出来る人材をバイトで探して欲しいと言う内容も来た。



海外旅行に行く人間でたまにいるのが帰国した日にちをわざと変えて言う人間がいる。長期間の旅行だったとただ見栄を張るためや時差ボケを直すためになど理由はさまざまであるが浜安の読みでは26日の小波の話をして来た時に帰国していると思っていた。



もし華山が黒であるならばこの3日の差で連絡網を回しどこまで話が進みどうなっているか大分確かめられるからである。SNSを見ていると毎日の行動を日付け付きでアップしている浜安の行動は読めているであろうが、小波や牧本と浜安がどんな会話やLINEのやり取りをしたのかを知りたいのは心理である。浜安は華山にその人材を探す事を伝え実際に探す事にした。こちら側の誰かを送り込めたら1番だと思ったからである。おそらく華山が欲しい人材は孔明なのだ。こちらの情報を全て聞ける上にバイトとしてお金を渡し下に付けられる。浜安といる孔明から情報を配下にして引き出したいと見える。


第18章  2人の葛藤


2人は電話で話しここには少しの葛藤を生じさせた。入り込むのが良いのか或いは何も情報を与え無い方が良いかの2択である。こちらとしても華山が詐欺師たち側ならば何かしらの手がかりが掴めるであろうが相手は犯罪者の可能性があるのである。浜安1人ならば喜んで薔薇の道に入り込むが仲間の孔明に何をされるか読めない状態では推せない。仮に携帯のやり取りを見せろと何人の悪者に囲まれた所でも孔明は華山を疑っている事を売る訳が無いのは容易に汲み取れる。その見せない行為だけでも疑っているとあちら側は思うはずだからであった。それどころか格闘技を習っていた経験のある孔明なら手を出された瞬間に反射的に相手を殴り倒してしまうであろう。結論は他の誰か知り合いを紹介する手にしたがこれに対して華山は馬鹿にしているような対応をして来た。知り合いに連絡して詐欺師達を探っている事は伝えずそのまま華山のスクショを送り



「PCが出来て薬膳カフェで働ける人材を探されている社長さんがいるので、もし宜しければご紹介させて頂きます。」



と送り返答で僕で良ければと来た知人とのやり取りをそのまま華山に浜安は送ったのだが性別を訊き履歴書を送れるように返して来た。そのまま男性である事を伝えその男性には履歴書を頼む事にした。



次の華山の返信は一言


「おいくつですか?」


そして立て続けに


「前職は?」


さらに次のがまた人としてどうかと思うレベルの返信である。


「やはり財団の秘書は女性が良いような気がします。」


と来たのだ。秘書が欲しいなどとは一度も言われていない上に履歴書を相手に書かせるように言って来ているのでそれを浜安はその男性にお願いをしている。財団のトップである以前に人として雇用をしたい人材を探して欲しいなら勤務時間や給与体系を相手に伝える事をしないのは自らの恥である。



これを華山は捉え方の違いと書いているがやりたいと申し出た人に対してあまりに失礼すぎるのだ。これは読めなかった浜安の責任であるからと申し出た人には謝罪を代わりにしたが気の早い人ならば頭に来ているである話である。浜安は秘書サービスのサイトを教えたスクショも華山に送ったがこれには完全に無視をしている。このままで引き下がっていては収まらない。権威がある人間が偉そうに接して来ようと態度は変えないのだけは習慣化するように浜安はしていたので秘書の女性が欲しいと言う言葉に次の人材を知り合いの中から連絡をして探し手を挙げてくれた女性とのスクショのやり取りをそのまま華山に送った。秘書サービスのサイトを送った時から2日以上を既読無視していた華山がこの連絡には直ぐに返信をして来た。全く持って調子の良い人間である。


「こんばんは。ありがとう御座います。タイに着きました。暑いです。履歴書をお願い致します。」


と5分もしない内に返信をして来た。が今回は同じ轍を踏むわけにはいかない。華山は浜安に人を探させて断り謝らせる事を繰り返させて顔を潰したいだけなのかも知れないと思い。



「時間や給料の金額などの条件は何とお伝えさせて頂けば宜しいでしょうか?履歴書を先にですと個人情報ですので条件を教えて差し上げないとかと思います。」


と送り返した。これについてもまた既読無視の対応を華山は取った。何をして来ようが構わないが自身の怪しさが増すだけなのを気付かないのか不思議である。



こちらは華山について調べ吉田久美と言う本名や以前は銀座で宝石のサロンを経営していた事やアフリカなどで支援活動をや寄付をしていると謳っているのが税金逃れの行いに近い事までその間に調べていた。大使などに近寄り貧困の国に行き金を与えて領事の肩書きまで取れば慈善団体としてNPO法人などのように税金を払わなくて済む仕組みがある。財団法人の非課税の法人だけで無く華山の経営している塾や株式会社までその一部に組み込んでいるなら更に怪しい。



その点はホームページからや名前からでは一切分からないが国連の理事と言う肩書きで周りの人間からは凄いと思わせて使えそうな人間を取り込みお金を財団に払わせておきながら税金を日本に納めないのだとやり方が当たっていたら華山の協会である財団自体も悪どい組織に思える。この事で以前に浜安は知り合いの不動産会社の社長と無理やり華山の協会に入れられさせられそうになった事を思い出した。その時はゴルフの特別な会員で無いと入れないコンペがあるから行きましょうと言う誘いに金を払い行く事にしたのだが1つの問答が起こった。そのゴルフの当日の直前になり浜安とその知人の社長の名刺を華山の協会の理事として作るとLINEをして来たのであった。これは飲める話ではない。知り合いの社長はそのくらい良いよと懐の大きさを見せてくれたが浜安の方からこれは断った。



浜安はどこにも属さないと決めているからである。ただ1人の恩師にだけ忠誠を誓うと決めている身で他の組織に取り込まれるのは首を縦に振れない。どこかに所属すると言う事は自身より上の立場の人間が増えるだけである。様々な会に顔を出し社会福祉協議会などのボランティアの団体や日本障害者センターなどのNPOには賛助員として助けを行う時は有るが何々の会と言う組織に対しスタッフや一員と言う立場で入るとそこの会長が命じた事に時間を使わなくてはならない場合がある。



これは自由とは真逆の方向でありその時に恩師と会う約束が出来たならその度にその会に謝る事になる。そう言う立場に自身を置くと己を見失う時が必ず来ると思っている。だからどこの会や団体に尊敬している人がいても対等な関係を取れるようにどこにも属さないと決めているのだ。これはハンターハンターと言う大好きな漫画から学んだ知識でもある。そのままの言葉で上に人がいる立場には成れない。と華山にLINEを返しているが恩師に加えて今の浜安の人生である命は浜安1人のものでは無いと考えてもいる。名前の調べようも無いが600人分と言う膨大な輸血で助けられた命で今を生きている。献血をして実際に助けた人数は数えきれない。この人数全てを背負って生きていないといけないのだから人の下に仕える立場には成れる訳がない。




4年前の事なので華山はもう忘れているかも知れないがこの出来事は浜安にとってはかなり大きかった。この財団メンバーとして勝手に登録し名刺まで作る強引なやり方は印象的であったのだ。もしかしたら国連の何処かに名前を連ね凄い組織に入れると喜んでお金を払い入る人間もいるかも知れないが自身より上の立場の人間を作る事は時間と言うお金で買い戻せない大切なものを差し出していると理解していない側になってしまうと思ってさえいる。この華山との人材のやり取りが続いた数日の間で浜安には強力な味方が出来る事になる出来事が起こっていた。




第19章  解決のキーマン


2022年11月2日

一向に連絡をして来ない牧本を置いておき。1つの会食が開かれた。前記した警視正をキャリアの通過点にしたエリート官僚との食事である。たまたま店の大将からキャンセル枠が出来たと連絡がありオペラに呼んでもらった礼にその官僚を誘った所こちらも偶然であったが日程が空けられて会食の流れになったのであるがその人の連れて来た人がこの詐欺事件を解決に導く鍵を握る人物になるのであった。



その人物は浜安の知り合いの官僚の奥方であり犯罪被害者支援委員会の副委員長を務めている現役の弁護士であった。こんな詐欺被害者の会が既にあり求めていた1番の存在と出会うにはこの上に無い機会である。何と言う幸運を天は与えるのであろう。犯罪被害者支援委員会の弁護士とは後で知った事であったが浜安はこの会食の日にオペラの礼として毎年呼んでくれている官僚にご馳走をしようとしたのだが断られたのが経緯になった。たまに会食で会計を払おうとするとあの人は政治家だから奢られると立場的に不味いからお金を出してもらわないといけないと言われる場面や自身から言って来る人がいるが有権者がいると奢られるのは法律的にも良くない話を聞いた事が浜安はあった。それに近い断り方をその官僚もして来た。対等に付き合えなくなるからと奢られる事を丁重に断っていたがクラシックやオペラの愛好家の仲間である関係を差し置いて地位的にも良くないのか借りになってしまうと感じてしまうのであろう。浜安はこちらから誘っておいて祝いのプレートを店側に頼んでいたので会計で割り勘でも払わせてしまった事を申し訳無く思った。その代わりに何かをプラスに変えて出来る事は無いかと考えてクライアントとして新しく創った会社の事もあるし投資の話を持ちかけられ調べている内に詐欺師として名前がネットに上がっている人間が複数いるから奥方の方に仕事の依頼をする形になるかも知れない。



と払わせてしまった返しをしようと口に出した言葉であったが普通に弁護士としての仕事の依頼であるならと快諾をしてくれた。このタイミングでの縁はこれが好機となっていくのはかなりあり得る展開に思えて仕方が無かった。この翌日にあたる2022年11月3日今度は小波が横暴な要求を浜安にして来た。会社が回らないからお金を貸してほしいと頼まれ借用書を書くからと9月の末に浜安と孔明は150万円を貸したと書いたがその借用書すら約束を違い書かないまま小波は自ら言って来た返済の1回目を10月の31日に15万返した3日後の要求であった。また150万円を追加で貸してくれと言って来たのである。最初にそのお金があれば助かるから何とかお願いします。と言っておきながら返済1度目の3日後にまた貸せとは銀行か何かの金融機関だとでも思っているのであろうか?



人間関係が1番崩れ易いのが個人間の金の貸し借りであると思っている浜安は人から金を借りたり貸したりはしたく無いのが本心である。小波は確かに助けなくてはと思っていたが当時は木野田のジンマップ社と小波のミザスJ社の両方同時にインキュベーションに入るのは難しいと思い仕方なく資本金を会社とは別に個人で出して助けるための会社を創った経緯もあり危険な木野田は外したが小波だけでもこの時は助ける約束を守りたいと口座にお金を振り込んでいた。それをこの短期間でまた150万円以上貸せと言うのは返す気が無いように思えてしまい孔明に貸すべきかを相談する事にした。


「ハマちゃんが小波さんに対して甘く対応をしているから貸してくれって言って来るのは分かるけど。明らかに変だよ。返って来ないと思うし一緒に言って話しを聞いてあげるよ。」


と助けに入る事になった。この追加でお金を貸すかの話し合いで会う時に小波は孔明も一緒に来るのかと驚いた様子のLINEを返事でして来た。孔明も小波にお金をを貸している側なのに来られては困る心情に成るのは理解に難しい。こと浜安に関しては全く違う事を予想していた。華山から唆されて個人間なら返さなくても警察は介入出来ないからもっと貸して欲しいと言えとLINEで指示されているか又は牧本に真珠の養殖場の資金として浜安から金を取ろうと小波に話されているのだと考えていた。



孔明は両方の見解で物事を考える事が可能なのでそれは酷い見方をし過ぎだよ。と忠告をされたが投資詐欺を行おうとしている牧本を紹介して来たのは小波であり白であって欲しいと願っていたのが今はグレーに思えているのだから不審に思うの止むを得ないのであった。どのような予想をしても直接の小波からの言葉を聞かないと判断が出来ないとの考えは2人は一致して2022年11月4日に小波の居るニューオザミのブティックまで行くしか無かった。この日は浜安の知り合いの画家に作品を持って来てもらい打ち合わせをする日でもあり待ち合わせの時間をその貸し借りの話しの為に遅らせる必要が出たので謝って画家に1時間待ち合わせの約束の時間を変更してもらう羽目にもなった。


第20章 本性を見抜け


首都高速を孔明を助手席に乗せて浜安は今日の小波との会話は録画しておかないといけない話しをしたが孔明は既にそれに備えていてポケットから赤いボイスレコーダーを見せた。盗聴と思われるかも知れないが今回ばかりは犯罪の証拠になり得る記録を残す為であるから撮らない訳にはいかない。



そしてもう一点は話しが食い違った。浜安は来客として招く画家を小波にも紹介をするがその時に小波は浜安が助けに入るために創った会社の取締役の方の名刺を渡すか?それともミザスJ社として小波が代表になっている会社のどちらの名刺を渡すかを見て判断をすると言う点である。孔明はそんな考え方は良く無いしどっちでも変わらないと諭そうとしたがここは浜安の気持ちは違った。個人的な意見の違いになってしまうがここで見栄を張るか張らないかは最終的に裏切る人間であるか信用に値する人間であるかを決める6正6邪に当て嵌めて考えられるからである。




「ハマちゃん小波さんを疑いすぎて無い?まだ黒って決まった訳じゃないんだよ。どっちの名刺から渡したって小波さん的には何も変わらない場面なんだけどな。ブティックをずっと経営して来たんだから見栄を張りたいのは普通の人間だと思うけどね。」




ここで人間性を見ようとする浜安の心を孔明は疑問に思っているが車の中で2人でこの点について言い合っていても埒があかない。助けて欲しいと頼まれて法人の登記までしその会社の取締役に就任した者の心情を把握しておくのは代表取締役の責任として行わないとなのである。良い心情も悪い心情もその両方をである。ニューオザミに到着した2人はトイレに先に寄った。ここから浜安は録画を手持ちの2台のiPhoneと別のスマホで開始を始めた。ブティックに着くと小波の表情は優れていない。それはそうである、金を借りている相手に返し始めたばかりでまた貸して欲しいと言うのであるから顔色が良い訳は無い。明るく挨拶を浜安は交わしたが取り敢えず奥にどうぞと2人を迎え入れた小波であった。のべつ幕なしに首が回っていない事を座った途端に小波は話し始めた。お金に困っているのは充分に分かっているから何にお金を使って実際にあといくら必要なのか分からないと貸しようが無いと孔明が話しの間に割って入る。



「もし借金の返済のためにお金を貸せと言われているなら何の借金なのかを知らないとですから会社が回っていないその書類みたいなものが無いと返って来ないかも。って思ってしまうのが普通じゃないですか。」



と切り出した。小波は借金の返済なんかじゃ勿論ないです。海外の買付した商品のお金が半年後の支払いになっているからそのお金だと説明していた。浜安もそこには加わった。仮に個人間では無く小波の会社と今回の設立した会社での話しになると利益相反と言う会社法にに小波が法律違反してしまう可能性が出て来たからである。法律違反にあたる場合には貸せなくなるのは当然であるしそこを知っていたら犯罪の幇助をしたのと同じであるからだ。ただ今まではお金に困っているから貸して欲しいの言葉へ小波の人柄を信用して担保も何も借用書すら受け取っていないで貸している状況ではあるが、会社の取締役に就任してからではまた話しが変わるのだ。何にそんなにお金を使っているのか再度話しを訊く。大池は会社の損益分岐点が250万円でそこに充てると言う。これまで聞いていたテナント料に人件費を足して行っても商品にかけた経費を合わせてみてもそこには達していなく思える。おそらく小波は返済の金をその中に入れていると思われる。実際に見せられると言っている書類も1枚も見せようとしない。これでは牧本に投資家を見つけて来たらその半分をあげると言われたらその話に乗ってしまうくらい困っているように思えた。そう思いながら小波と孔明のやり取りをその後は見ていたが不意に小波が声を荒げた



「怖ーい。」



と会話の流れからして出る理由の無いところで恐怖を感じたと言うので孔明は落ち込んだ表情になった。お金を貸した側から見たらもう一度貸せと言われて怖いと言われたら怒り出しても良いくらいの流れであるがそんな手には孔明はそんな事では怒ったりはしない。大人だなと浜安は思って見ていた。怖いと言うセリフはこちらの言葉ですよ。と感じたからである。何に使っているかも分からないお金に対し貸しまた貸してと言われる方が怖いと思うのは当然である。孔明は落ち込んだままで会話が無くなり小波は自身に他にあてが無い事を延々と繰り返していた。その間に画家が来る時間が近くなっていた浜安はホテルに着いている事をその画家に連絡をした。直ぐさま駅から歩いて向かっている返事が来たため金の貸し借りの話しを保留にしたまま小波に断りを入れて浜安は孔明と出迎えに行く事にした。駅から直結しているニューオザミで永田町駅からブティックへ歩いている画家の来る入口へ向かう時に孔明が声を発した。



「小波さん怖いって言いながら録画してたね。」



その光景を浜安は今しがた確かに見ていたが気付け無かった。変なタイミングでの声を荒げた言葉だとは思ったがその言葉を言うと共にスマホをケースからサッと上げていた。それが録画だとは思っていなかったのだ。成る程である怖いと不意に何故言ったのか疑問に思っていたが小波は相手を怒らせようとして録画をしようとしたのだと思われる。そこで相手が怒れば女性が怖いと言い相手側の男性が一方的に怒った場面だけを作り出せてしまう。これぞフレンチで浜安が牧本に対してやったのと同じ事を仕掛けて来た事が分かった。これはこれまでの小波1人のやり方とは明らかに一線を画している。咄嗟に牧本か華山の入れ知恵で怖いと言って怒った所を録画したら返さなくて済むように出来ると言われ行なわされた可能性が脳裏に過ぎった。



だがこの時点では確かめようが無いのである。もし小波も白で無いならば見せるはずもないが小波の携帯を見せてくれと言った瞬間から牧本や華山は完全にシャットアウトしてしまうこの手は使えない。これは後に警察からの調べが入った時に分かる話しになるであろう。白黒の定義として確かめようのない予測の状態で答えは出せないが2人はこの小波の取った明らかに不審な行動だけが頭に残った形で画家を迎える事になった。その画家は素晴らしい龍の絵を描く才能がありそれを知った浜安からメッセージを送りその才能を活かす手伝いが出来ないかを伝えたところトントン拍子に話しが進み原画をブティックに持って来たのである。外資では無く日本の誇れるホテルであるニューオザミに龍の絵そして袴姿で来た画家はその場に合致していた。浜安と画家は和やかに挨拶を済ませ孔明を紹介し入口から小波の待っているブティックまで戻り初対面の大池はそれまでの苦しそうな顔からは想像の出来ない明るい顔をその画家に向けた。事の経緯を知らないその画家は浜安から小波を紹介されて直ぐに名刺を交換しようとした。小波も名刺入れから名刺を取り出す。



「初めまして小波です。」



この一言だけであったが出した名刺はミザスJ社の1枚だけである。孔明が視線を浜安に向け思考が重なる。



「本当だ小波は信用できないねハマちゃん。」


と思っているのが見て取れるが浜安も


「でしょう?だからこの行為だけは必ず見ておかないといけない所なんだよね。」


と思っていたが会話に出すわけには行かない。2人の中に留めてそのまま先に話しを進めるのであった。画家の書いた実物を見た事の無かった3人は原画を見て驚いた。説明によると全てが鉛筆で描かれているその龍は今にも動き出しそうである。これをブティックの何処の位置にどのように置くかを話しそこからイベントとして使える事の可能な会場をニューオザミの不動産部門の係に鍵を空けてもらい中を画家に見てもらうために歩いて回った。その会場は牧本は黒だと確信を持った真珠の養殖場への投資を頼んでいるにも関わらずその養殖場の写真を1枚も持っていないと言った証拠を動画に収めた時に牧本が小波に頼みイベントとして利用した会場でもある。縁起を担ぐには宜しくは無いかも知れないと思ったのかその日は小波がもう一つの会場も見て回らせた。何せその牧本が開いたイベントではB.H.Bの真珠は話にならない程に全然売れなかったからである。



それでも見て回った後に喫茶店で話した際に画家はこの唯一の9ツ星を獲得しているホテルに自身の絵が置ける事を大層喜び共に今後の展望を話し合った。出来る事なら思う存分に話し込みたかったがその日は夕方から会食が埼玉県の川越で入っていた浜安は途中で謝り切り上げる事になった。しかしこれはこれで良いと言う判断の所までは打ち合わせが済んでいた。まだ足りない部分はあるがそこも心理術の1つなのである。講師を依頼された時にも時たま使う事があるが途中で切り上げる方が心に残り次が気になるのだ。先に挙げたゆうきゆうと言う人の著書にこちらも入っている。一例を挙げると1話から真剣に見ていたドラマを最終話までみようと思っている時に何かの予定が入り見れなかった場合は別の機会に何とかしてラストを見たくなる。完結するより途中のままの方が熱がその事に対して込められるパターンもあり得る。それを使いたくてでは無かったが結果的に画家の熱意を上げられる事にもなれたと良い方に思うしか無かった。その画家をホテルから直結している駅の所まで見送る時に再度ブティックに荷物を置いていたため寄る事になったがそこで孔明が小波に伝えた事がある。



「小波さんこっちの名刺も渡さなくて良いんですか?」



とカウンターに置いてある小波を助けるためにと浜安が新しく登記した会社の名刺の件であった。どのように行動するかだけを見たかった浜安は気にしていないのも孔明は分かっていたが敢えて反応を見るために言ったのである。


「あー。そうですよね。私この浜安さんの会社の取締役の名刺もあるんです。」


と忘れていたのを思い出したように2度目の名刺を画家に渡していた。深々とお辞儀をする画家を見送りその小波には今日は本当に時間が無いからまた来ると伝えて2人は車でホテルの駐車場から出た。埼玉県の方向に孔明も向かうため大宮駅まで送り川越に浜安は向かった。



当然帰りの車内では大池の話しをする事になる。見栄を張るためとかとは別に損益分岐点などの話しから平気で人に対して嘘をつく人間性が垣間見えてしまった事を浜安は打ち明けた。同じく孔明も小波に対する不安は募る一方であった。正直に言うとこの時には呆れ果てた感覚が浜安にはあった。もう小波すらも助けるのを辞めてこの新しい会社から小波を取締役から外し関係を切ってしまう事までも考えに及んだがそれは詐欺被害に遭ってしまう人を増やす事に繋がる。それだけはさせたく無いし自身に刃を向けられている状況から逃げた事になる。




1000万円が来年には1億以上になるんですよ。と騙され他の誰かが泣く姿を想像などしたくは無かった。やはりこの一件を終わらせ詐欺師たちが逮捕されるまで関心があるように小波そして牧本に古志と鮒星には思わせねばならなかった。それにドライムステイ社の暗号通貨への投資詐欺やそこに絡んでいる長田そして華山が何か加わっているのかも捜査で明らかにした方が世のためになる。白ならばそれで良い。だが黒であった場合には犯罪者たちは全て報いを受けなければならない。ここで諦める訳にはいかないのだ。自然と口から声が出ていた。


「絶対に諦めない。」




第21章 信用できる法律家


あくる日の2022年11月5日に浜安は1本の連絡をしていた、あのエリート官僚にである。会食の場では返し言葉としてクライアントになるかもです。とは伝えたが実際にいきなり法律事務所へ電話をしたら驚かせてしまうと思ったからだ。



「もちろん大丈夫です。よろしくお願いします。」


と再びの快い返信をもらい土日を挟んでいるので週明けの月曜日にその法律事務所に連絡をする旨を伝える。月曜日の方が浜安にとっても有難い事情があった。4日の金曜日に牧本が代表取締役に操り人形として置かれている部分の変更が完了するとLINEで10月19日に送って来ていたがそれを確かめる時間が取れなく土日が明けた7日の月曜日なら謄本が変わっているか確認も可能であったからである。5日の土曜日も6日の日曜日も牧本からも小波からも一切の連絡は来ていない。こちらの動向は絶えず見える状態にはしておく必要があり華山のみが求人の連絡をして来ている。浜安はそれには応えつつ毎日の行動を見せるようにSNSに常に上げ続けなくてはいけない。投稿が無くなった時に勘繰られて逃げに入り詐欺師たちを捕まえられなくなると思うと自身の足を犠牲にするしか他に手段がなかった。




2022年11月7日

法律事務所の名刺を見ながら電話をくだんの弁護士にかける。電話越しでは直ぐには分からなかったみたいであるが会食で共にさせてもらった話しで合点が行ったようだ。社交辞令の言葉だけで無く実際にその連絡をして来た事に少し驚いていたようにも感じたが、とても丁寧な対応をされた。事情を1から全て話すと電話だけで長時間を拘束させてしまう事になる。間を掻い摘んで会社を新しく登記した折に人を紹介され投資の話しをされた事とその関係している人間を調べて行くと詐欺を行っていると注意喚起されている人物が数名ネットで上がっているのを確認した事。これだけを端的に伝えた。色々な種類の弁護士が浜安は知り合いでいるが今回は想像以上に頭が良い弁護士であった。


「もう払ってしまいましたか?」


ここだけを正式な相談日を決める前に確認をされた。詐欺の既遂と詐欺の未遂では立件出来るかどうか大分違って来る事を即座にこちらの今の立場を理解した上で訊いて来たのだ。弁護士にも朝から裁判に行って夜に面会に行くなど寝る時間が取れないくらいの存在もいるが国選弁護人として回ってきた仕事しかほとんどやる事の無い事務的な弁護士まで三者三様である。世間で言われている弁護士過剰問題の中で有能な人物と偶然的に遭遇出来るのは稀である。どうやらこの弁護士は会話で相談出来そうな空きの時間を訊くとかなり忙しい人気の弁護士のようであった。独立開業をして自身の法律事務所を銀座のオフィスで経営している弁護士なのでやり手である事には間違いが無いし加えて犯罪被害者支援委員会の副委員長であるから今回の事件には誰から見ても非の打ち所がないのであった。11月10日に相談に行く事の約束を交わし早々に電話を切る事にした。犯罪被害者支援委員会に無料相談をしたい訳では無く全てを訊いてから現時点で起訴に持ち込めるかを知りたく告訴状を他ならぬこの弁護士に依頼をしたいと思っていたからである。この7日に連絡を入れた日に浜安は法務局にも牧本が書いたリズマ社の登記が変更が本当にされているかを確かめるために寄った。法務局の職員とは何度もこの数ヶ月で顔を合わせている。探偵業か士業の何かで仕事として来ているとでも思われているであろう。



「あのですね。今回のはこっちでも取れないんですよ、申請中でずっとロックがかけられちゃっていて。」



と申し訳無さそうな表情をしている。変更後であっても変更中であってもどちらに転んでも情報の収穫にはこちらはなるからその事を知れただけでも有り難かった。10月14日の牧本が申請していると書いた時にも謄本を取りに行き実際に登記中で申請日10月14日の調・記・校歌・補と言うのも確認が取れていた。そこから3週間かかって通知して来た11月4日を過ぎても未だ完了していないのである。



11月7日の同日に牧本に対して浜安は2週間ぶりにLINEを送った。小波から牧本が嫌がり怒っていたような事を聞いたのでその謝罪を入れてその後に4日に代表が代わり新しい投資家を探しているのか直接聞く事にしたのだ。直接訊くのは藪蛇に思えるかも知れないが現在も登記中で何と答えるかは弁護士に話す前に知っておきたい事由でもあった。謄本が定まっていないのに投資の話しを他にでも持ちかけていたらそれこそ会社が成立していない状態で名刺を出しそこの会社の社長だと偽って投資の話しをするのだから嘘をついて人からお金を騙し取る詐欺罪にあたる。これに対して牧本は



「お世話になります。代表の登記変更は4日で完了と聞いております。その後に関してはまだ諸々未定です。」



とまたこれまで懇願して来た人間とは思えない他人行儀な返信を送って来た。浜安は直感した他の投資家を探して行く方向に持って行っていると。だがこれこそ証拠に値する他の誰かが被害に遭ってしまい警察に届けを出した時に申請中で会社の代表が定まっていない間にリズマ社の社長として牧本であろうが古志であろうが鮒星であろうが名刺を出して投資話しを持ちかけたら嘘を付いたと証拠を固める事できるのだ。




第22章 晴れた心



約束をしていた11月10日に浜安はその弁護士の事務所があるビルの8階でセレス法律事務所と書かれたオフィスのインターホンを鳴らした。出迎えた女性弁護士はどうやら仕事モードとプライベートでのスイッチが切り替わるタイプのようである。流石に何の得も無いのを知った上で時間と金をかけて証拠を固めて行ったいくつもの謄本や名刺にLINEのやり取りなどの膨大な資料を出して事の経緯を一通り伝えると驚いてはいたが即座に力になれるかどうかの判断と2点のアドバイスを与えた。それは告訴状を直ぐにでも書く事は可能ではあるが警察が受理してくれるかどうかの方が問題になる事が一点そして警察署によって動きが全く違う事であった。例えばリズマ社がある六本木を管轄している麻生警察署はとても事案が多いためおそらく受理してもらえないであろう予想や被害を提出するならば事件のあった場所として麹末警察や浜安が住んでいる世田谷区の警察署でも届けを出せる事などだ。



一言だけ釘を刺された点がありそれはやはり欺罔行為の立証の点あった。実際に詐欺の被害に既に他でこの件についてあったとした場合でも詐欺師たちが最初から騙すつもりがあったかどうかの立証が争点になりその証拠を抑えるのは警察でも難しいと思われる。と言う事であった。いくらお金を取っても騙すつもりは無くて事業がたまたま失敗しただけだと言われてしまうと起訴をする事がとても厳しくなるのだと。その通りである。これまで名前がインターネット上に被害者の会として上がっているにも関わらず逮捕されていないのは詐欺師たちが騙すつもりは無かったと言う部分を徹底的に仕組んでいるからなのであろう。



だが現時点で判った事はこれだけの証拠を持って行けば警察も聞かない訳にはいかないと言う見解である。浜安はこの言葉を聞いて警察が投資詐欺として捜査にあたれると言う一つの目処がついたと理解をした。同時にこの弁護士との会話で稀に感じる好印象を受けていた。浜安は肩書きや知名度や金の多寡によって態度を変える人間がとても苦手なのである。お金持ちや著名な人の前では媚びへつらいそうでは無い人には真逆の態度を取る人間は思っているより多いものだ。しかしそれは相手にお金が無くなったり自身が有名になったりすると態度を変える事を表しているのと同意だ。1番の信用はどんなに偉い人間にもどんなに偉く無い人間にも全く同じ対応をしている人だと思っている。これはただ浜安個人の考えであり過去に関連している。以前に良くない人間であった事は別の書籍に既に書いてあるのでここでは書かない事にするがその時に明らかに己よりも下の者に対して


「俺はな今パトカーの目の前でコールきってんだぜ。お前ら真似できねえだろ?」



と言うような言葉を放っていた者が自身より上の立場の人間がそこに来た途端に


「先輩お疲れ様です。僕で良かったらお供させてください。」


みたいに180度の態度を変えたりしているのを見て笑えなかった事がある。もの凄く恥ずかしいがチンピラのような生き方をしていた時代の浜安自身も力で勝てる相手と勝てない相手で人を区分して態度を変えていた節が思い当たっていたからだ。その後に死の縁を彷徨う大怪我をして社会に復帰した後にも同じような光景を目の当たりにした。会社の部下には偉そうに話すのに出会った人間が企業の社長であると解ると失礼しました。と小さくなる人を見てきた。その時点から浜安は自身に対して俺や私や僕と己の呼称を相手によって変えるのでは無く常に自身を呼ぶときは自分と統一しようと。そう決めておいての前に出版した書籍には情けないが格好をつけてしまい私と書いているので消してしまいたい汚点として残ってもいる。



そんな自己の経験則があり人によって態度を変えるか否かを知名度や金の多寡より重要視している事など全く知るよしも無いこの弁護士であるが最初から最後まで態度が変わる事は無かったし行けると煽り仕事をもらってお金を儲けようと言う気配も無ければ報酬の少ない案件に成りそうだからと被害届けの受理が難しいかもと断る素振りも無くただただ思っている正しい事を考えて時には法律の本を出して確かめながら説いた。自身が犯罪被害者の会の高い身分である事も最後まで言わなかった。おそらくは良い意味で確固たる自信を持っているのであろう。飾ったり媚びたりする理由が無い人間が取れるありのままの姿である。この事件が発展した時にはこの弁護士に依頼を頼もうと浜安は思っていた。この日は詳しい助言をくれた事への感謝をして減額をされそうになったが正当な仕事として相談に来た旨を伝えて今回は受け取ってもらい法律事務所を出た。久しぶりの雲一つなく晴れている空を見上げ警察が動けるか動けないかの狭間でもやけていた部分が解決に近付いた自身の心情と重ねていた。





同日10日の夜に法人の口座の書類に記入をする必要があったため小波と会う約束もあった。牧本や古志に鮒星は他にお金を取れそうな人間を探し出し始めて回っているであろうと推測されるがその牧本と直接会っている小波とは会社の設立の動きを一緒にしていると思わせて実はこちらが追っているのを読ませずに行動をする必要がある。翌11日には警察からもこの件で捜査が開始されるとは知らずに。小波と会う事で安心させておきその隙に詐欺師たちが別の目標に向かっている時に警察から本格的な捜査がその詐欺師たちに向かうと言う流れを考えると駆虎吞狼(ぐこどんろう)のような感覚をこの時は持っていた。策を練っている訳では無く流れとタイミングでこの日に重なっただけではあるが兎にも角にも次の被害者が出る前に1日でも急がなくては時間がないと言う一心であった。ここまでに4人の刑事と連絡を取っていた浜安であったが実際に誰から押さえて何を証拠とするのが立証し易いかを警察署の中でプレゼンをするのは今回の詐欺事件においては初になる。



第23章 怖いか怖くないか


11月11日午前9時42分

浜安は麹末警察署の2階で刑事達と共にどこから押さえて行くのが全員の逮捕に繋がるかを真剣に考え話し込んでいた。最初の事件の現場にあたるのが管轄している麹末警察署でもあったからだ。この時には981件が証拠として持っておりその中から捜査に実際に役立つものを刑事の方で抜粋していくつもある会社の履歴事項全部証明書の登記簿謄本に名刺やカメラロールに入っている詐欺師たちの顔写真それに牧本の指定して来た口座などをデジカメで撮ったりコピー機で複写をして行った。長時間に渡るやり取りの中でこの刑事は事件の情報として他の警察署で名前が上がったら直ぐに動ける。と犯罪への捜査協力に対して感謝の言葉を何度もくれた。その言葉と同じくらいに言われた言葉がある。



「何故そこまで犯罪者を捕まえる事に全力で向かえるのですか?怖くないのですか?」



と言う弁護士にも訊ねられた疑問に思われている怖くはないのかの点であったがこれには明確な答えがある。怖いか怖く無いかで表すならどちらかと言うと怖いの類いにあたるのかも知れない。この恐怖心の感覚は警察からも濱安はズレているように見えたのであろう。しかしこれまでに本当のこの世の地獄を味わってしまったので怖くて仕方がないとは思ってはいない。この世で何よりも怖かった事は文字通り手も足も自力で動かせない時に実験用のモルモットとして身体を壊されていく恐怖であった。このまま死んでも物言わぬ植物人間だからと麻酔をかけずに喉下にメスを入れられて人工呼吸器を差し込まれ自身の血で窒息死しかけているのを経験した過去が何より怖かった。


「そのままだと窒息死しちゃうから血を抜かないと。」


と執刀をさせた新人の医師に命令している声を聞きながら痛みと殺される怖さすら口に発せなかった拷問を越えた実際の地獄だ。その時の恐怖に比べたら怖さは感じないに等しい。詐欺師たちがこちらを目標にしてやるならこちらもやってやると言う気持ちである。今は植物人間の状態では無く抵抗をするための手も足も口も動くのだからただではやられるつもりは無い。そして何故犯罪者を捕まえる事に前向きに突き進めるのか?の方の疑問に対しては見て見ぬふりをしていたら確実に別の被害者が出てしまうのだから正義のためだ。




と言えば格好が良いのであるがそれだけでは無くこの行動は良くない人間であった時に浜安が警察に人を殴ったり脅したりして傷害罪や恐喝罪で逮捕をされて留置場や鑑別所に入っていた過去があるが逮捕をされていない分の喧嘩で殴り付けてしまった被害者の人達への罪滅ぼしの行動でもあり、そんなくだらない人間でも死ぬ寸前の所を輸血によって命を救い今を生きさせてくれている名も知らぬ恩人達への何かしらの恩返しに成れないかと言う2点のみで全ての行動をして来た。問いに対する本当の答えがこれなのである。



加えて屋上から今にでも飛び降りようとしている場面を見かけたら怖いなどと思う前に誰でも助けて止めに行く。これと同じで目の前に助けられる人が居るなら助けるのが多くの人の本質でありこれに近い感覚である。標的とされている自身が逃げたら近しい人が危険に晒される可能性があるならその前に捕まえた方が安心が出来ると言うものだ。



第24章  携帯番号


話しを再び元に戻す。11月11日にSNS上では大使館で絵画を友人達と見に行った事になっている浜安であるがその前の各警察署に牧本や古志に鮒星達の名前や会社名が上がったら動けると言うのは途轍もなく大きな成果であった。明らかに犯罪を犯そうとしている人間を前にして警察が聞く耳を持たない事や証拠を受け取ってくれない事を前記した怠慢刑事とのやり取りで最も危惧していたからである。牧本からは一向に連絡が来ないままであるが警察に名前が押さえられているとは夢にも思わず投資話しを誰かに持ちかけているであろうと思われる。小波も会社の手続きの連絡はLINEでマメに来るが牧本の話は一切出さなくなっていた。12日13日の土日が空けて月曜日の11月14日に浜安から弁護士に報告を入れた。



麹末警察署の刑事達が証拠としてデジカメで写真を撮った事や色々と書類のコピーを取った事を告げると一つの問いの返事が返って来た。


「浜安さんの電話番号も麹末警察署の刑事さんに聞かれましたか?」



と聞かれたので聞かれたと応えると今までの警察の反応からするとそれは警察が本格的に動いていると思うとの事であった。何か他に情報があるか聞きたいときに電話をかけるために警察は電話番号を聞くので動かない場合は電話番号も聞かれないと言う見解である。証拠としてどの書類を押さえたのかよりも電話場合を聞かれた事に重きを置いた話しは確かに大切であると思った。いくら証拠としてデジカメで撮りました。と目の前で撮っても電話場合を聞かれない限りは進展があった際や他の情報も追加で聞きたくなった時に連絡を警察から出来ないのであるからそこが重要なのだと理解が出来る。やはりこの弁護士は抜群に頭の回転が速い。



警察が実際に動き出した可能性が高い事を知り浜安はもう少しだと事件の終わりを思い描いていた。やる事はあと1つ他の警察署で被害の報告が上がるのみである。そしてもう1人の被害者がいる。それは同じ投資話しを別の日に牧本に持ちかけられた孔明である。だが11月11日に警察に名前を証拠として押さえてもらい直ぐの直ぐには明らかに不自然に思われる。先ずは麹末警察が全ての警察署のデータに名前を残した事で間を取っておく方が良いと思えた。既に他の警察署でも名前が出ていれば別件でも更に追える。



小波から牧本そして牧本から古志と鮒星に話しが繋がっているのであれば毎日の行動をSNSに公開して捜査している事を詐欺師たちにばれない事だけを続けるのみであった。9月30日に牧本に初めて会い疑いを持ってから警察が動き出せるここまでの間はほぼ全ての日をSNSにアップしており上げていない日は小波と直接会っている日だけである。この数十日は普段の人付き合いに足して犯罪者たちを追っていたのが重なり睡眠が1時間から2時間しか取れなかったがもう少しだと喝を自身に浜安は入れ直した。小波の方はと言うと少しずつ態度が変わって来る。新しく設立した会社で真面目にやって行った方が良いと思い始めたのかも知れない。出来たらそのまま牧本とは縁を切って白のままで居てくれた方が企業としても有難いのだ。



第25章 一泡吹かせる


小波の変化は11月16日に浜安がニューオザミのブティックで紹介をした社長との出会いがその転機であるように思えた。その社長からは宝飾品を扱う会社として一度会って欲しいと言われた人物がいた。信じられないかも知れないが事実であるからそのままを書く。



皇族に実際に宝石を作っている日本でも数えるほどしか存在しない限られた人であった。当然であるがともにビジネスを行えたら嬉しい人物である。しかし設立したばかりでこちらはまだ品揃えも少ない段階のヒヨッコの状況なのだ。手を取るにはこちらが足りていないのは分かり切ってはいたから包み隠さずその事を伝えた。それでも浜安の人間性に惹かれたとその人は応えたのである。来週にでも是非こちらを案内したいと申し出までした。願ってもいない話しである。その案内をしてもらう工房の場所は神奈川県の葉山にあった。1人で来るか小波と2人で来るかを問われ直ぐに直感した。1人で行けば話がスムーズにまとまりその日はお互いに良い気持ちで帰って来れるであろう。しかし小波と一緒に行くならば牧本の件も含めて全てを伝えないとであるから厳しい状況になるのは読めた。後に隠していたように伝えるのは誠実に呼んでくれている相手に出来る訳が無い。小波も行くと言うので包み隠す事なく全てをちゃんと話そうと決め浜安は2人で行くとメールの返事をした。



11月22日その約束の日が来た。葉山の社長は希少な宝石をいくつも見せてくれ景色の綺麗なレストランまで予約してくれていた。浜安はそのもてなしを受けて申し訳ない気持ちでいっぱいであった。このまま小波に詐欺師だと注意喚起をされている人物たちを紹介された事や警察が捜査に動いている今回の一件を話さずに一緒に仕事を出来たら良いのにと言う考えが頭をよぎったが邪な考えは捨て去るべきである。会社は登記仕立てでこれからの段階である事をそのままありのままでその社長に伝えて行くが小波は違った。所々に明らかな偽りを挟んでくる。浜安には借金が多くて首が回らないからと追加の融資を頼み込み。その社長へは借金は何処にも無いと言うのである。だがそう言う人間をそのまま通す訳には行かないのである。嘘をつくのは良く無い、と制止をする事になった。



どうやら小波はその場だけ取り繕えば良いと勘違いをしているようである。そんな小手先の偽りは本物の人を相手にしていて通用するはずが無いではないか。失敗しない人間などこの世に居ないのであるから借金が有るならあるで正直に言えば良いのに誤魔化そうとするのがクセなのであろう。やはり一緒に来て真実を見てもらえて良かったと浜安は思った。真珠の養殖場への投資の話しもした。と言うよりも初対面の時にこの話しは浜安はこの社長に話していたのである。それをこの日、小波を交えてこの社長の前で話すと牧本が騙されているのだと詐欺師側を庇う発言をし出した。これは完全にアウトである。



小波から紹介したいと唯一されたのは牧本なのであるし牧本が投資詐欺に加担しているのは火を見るより明らかだ。小波が詐欺に関わっているならこの場で見極められると思い牧本の名前は警察に押さえられていると話す事にした。相当に焦りを感じているように見える。酷く驚いてマシンガンのように話し出し唇の両端からは泡が出ている。実際に驚いたと言っているがこれは効果があった証しである。小波は牧本と繋がっているのであろうが詐欺に関わっていないので有れば良い。この状況を見て取れただけでも情報はかなり得られたと判断が出来た。



「華山さんの話では古志と鮒星は警察に名前が上がっているのですよね?ならば牧本さんも上がっているのだと思っただけです。」


と反応が判ったので言い換える事にした。この場で小波が発狂したら呼んでくれた社長に失礼すぎると思い訂正に回る事を浜安は選んだ。



この日のまとまりとしては今後の仕事の関わり合いはお2人が都内に戻って話し合い方向性が決まったら私に連絡を下さい。とその社長は遅くまで付き合ってくれた。謝意を込めてその社長のお店を出る。そして逗子駅まで電車で来ていた小波を車で送る事にした浜安は改心して欲しくもし牧本と関わっているなら縁を切るべきだとゆっくり諭す事にした。



事の重大さが分かったのであろう大池はこの日から態度がかなり変わって行った。ことさら大きな点はブティックにイラスト社のB.H.Bの商品を置かなくなった事である。これは傾向が良い事を示している。ブティックの運営を会社を設立してまで助けに入ると約束した浜安には小波が店の中に商品として残しているB.H.Bの存在がある限り何も手出しが出来なかったからである。投資詐欺の商品を扱っている店の経営は出来る訳が無い。どう言って引き上げさせるかが悩みの種であったがここも解決に至った。



牧本に対して小波がどのような切り口で話したかは分からないがもう関われないと切った事が予想される。何はともあれ22日の一件は良かったと思った。もし小波から牧本へ警察に名前が出たらしいと伝えられ真珠の養殖場への投資詐欺自体が無くなればそれも良いしそれでも続けるのであれば実際に逮捕されるのであるからどちらでも良い。今は詐欺師たちが逮捕をされる前にこれ以上の被害者が騙し取られないでいる事だけを願うのみである。他に掴んでいる詐欺行為は沢山押さえてあるのだ。この日を境に1週間くらいをかけてブティックにはショーケースと商品を入れたりホームページをシステムエンジニアと話し合い作り本格的に事業として回るように手をかけて行く事にした。そして2022年最後の月である12月に入る。孔明と浜安は具体的にどのタイミングでどこの警察署に何と話し込むかを決めて行く。



第26章  本格捜査始動



12月9日午後13時32分

丸の外警察署の中に浜安は孔明と入って行った。受付で投資詐欺の件だと伝えると上の階に階段を案内をされたが孔明が浜安の両足に障害がある事を伝えてくれたためエレベーターで上がる事になった。今回は何故にあの怠慢刑事がいる丸の外警察署なのか孔明は不思議に思っていたが孔明が牧本と初めて相対したのは大手町のフレンチレストランでありその場で投資の話しを受けていたからである。事件現場が大手町であると管轄は丸の外警察署になるからでだ。今回の担当をした刑事は正義感の強い人間に感じた。麹末警察署と同じく証拠になりそうな書類をおおかたコピーを取り実際に麹末警察の刑事と連携を取り来月からになるが捜査を行うと言い切ったからである。年末は警察も忙しいのであろうがこの言葉は被害者を救いたい人間にとっては心強い一言である。12月の来月であるから2023年の1月からこの真珠の養殖場に対しての警察による捜査が実行される事になったのである。捜査にあたるのは刑事組織犯罪対策課の知能犯捜査係いわゆる捜査2課だ。牧本を現行犯だと私人逮捕するには不可能では無かったが警察組織が関係者を一斉捜査に向かって行くのでこれは天地の差である。こちらの丸の外警察の刑事も情報を取り合うために電話番号をちゃんと聞いて来た。



「ハマちゃん取り敢えずやり切った感じかな?」


丸の外警察署を出て広明が訊いて来た。


「そうだね。丸の外警察署は1時間35分でかなり早く今日は終わった方だと思うよ。」



笑顔で応えた。何の時間か分からず怪訝な表情をしている孔明に携帯の動画の時間を見せると察したようで


「警察署の中で録画してたの?」


と笑っている。孔明も知っての通り刑事にも色々な人間がいるのと警察署で言った事を正確に覚えておきたいと思っていた浜安は勿論とさらに応えていた。麹末警察署での会話も全て記録に残してあるのでどのくらいの時間で何を話しどの資料を証拠として押さえたかは直ぐに解る。そして丸の外警察署での記録は大きな意味を持つと思われる。



それは障害者差別解消法と言う法律が存在しているからだ。障害を持っているからとエレベーターを使う配慮をした。この点で障害者であると行きも帰りも認識をしている。その上で麹末警察署と連携を取り捜査をすると話しているのであるからもし障害者である事を理由に嘘をつくと障害者差別解消法に警察自体が反した事になってしまう事があり得る。ここまで徹底してやるのは捜査している立場の警察に対して申し訳がないがこれまで様々な差別を受けた経験から差別にあたる場合は証拠として残しておくのが習慣になってしまっていたのだ。


「ありがとう本当に。」


孔明に礼を伝える。警察署に付き合ってくれた事に対しての言葉だと受け取っているかもであるがこれまでの一連の流れについて申し述べていた。とても1人きりであったなら警察の全面捜査まで辿り着けてはいなかったと思われる。時には行き過ぎだと抑え時には策を示してさえくれた。少し照れ臭そうな顔で返事が来る。



「まだだよ。実際に捜査をしているか何回も連絡をこっちからしないとだよ。警察の腰は重たいからね。」



と喝を入れたはずの気の緩みを感じていた浜安に孔明は言い放った。確かにその通りである。被害は聞き入れたが捜査や捜索に警察が介入しなく手遅れになってしまった事件も桶川ストーカー殺人事件など事実あるのだ。濱安はその言葉に深く頷いた。少し時間を空けて12月22日には麹末警察署の刑事に電話を入れると担当の刑事は署から出ているようで代わりの刑事が要件を伝えておくとの事であった。単刀直入に丸の外警察の刑事から連絡が無かったか訊いて欲しい旨を伝えておき了解を得た。翌23日には丸の外警察署の刑事に電話を入れる。こちらは担当の刑事が署内にいた。



「その後何か新たな進展が取れましたか?」


と訊かれたため9日から23日までの間に法務局で取れた謄本に古志星商事の執行役員の名前が1人抹消されていた変更点を教えた。担当の刑事はその事を聞き入れそして麹末警察署の刑事と連絡を既に取り合った事を話してくれた。これで警察が動いているのはもう疑いようの無い事実になった。



この約2週間の間に仕事で小波と浜安は2度会っていたが牧本の話し及び真珠に関しての話しは互いに全く口に出さなくなっていた。仮想通貨や泥ミズセミナーなど今回の関連している可能性がある全ての詐欺師たちを何処まで立件に漕ぎ着けられるかは今の時点では読めないが、先ずは嘘の話しで騙し込んだ客に尋常では無い高さの値段でパワーストーンを売り付けている木野田。



そして投資の話しを持ちかけて来た牧本そのリズマ社の株主であり糸を引いている古志に鮒星あとはそこを繋いだ森田この5人の面子は名前を証拠として多くの警察が押さえ住所も特定され狙っている。警察には牧本と古志と鮒星この3人の携帯のやり取りを真っ先に押さえてもらいたいと考えている。LINEや秘匿性の高いテレグラムやシグナルのやり取りすらを消されていたとしても今の警察は全てデータを取り戻せるのだから確実な証拠を取れるとしたらそこが最短にあたると思われる。誰も捕まえられないでは警察の沽券に関わるため検討を祈るしか今は無い。今回わかっているだけでま6つの詐欺グループの摘発が上手くいけば一度に出来さらに他の詐欺師たちも繋がっている者は追える形にやっとではあるが漕ぎ着けた。そのグループを分解していくと


①ジンマップ社の木野田と酒井

②リズマ社の牧本に森田と古志そして鮒星

③アドバイス社の樽音

④ドライムステイ社の佐口と美佐志

⑤パンエイジン社の長田と賀田に華山

⑥オウル社の能木と中沼


となりそれぞれが少しずつ繋がり絡み合っている部分が調べて分かった事と少なくとも真っ当な仕事では無く人から出資や投資話を持ちかけて金を取ろうとしている行動が証拠として押さえられた。内偵捜査に入り半年は時間を見て欲しいとの話しであったが悪党を警察が追っている事実が動いているだけでも浜安としてはやっと日付付きでSNSへのアップをする必要が無くなり足を休ませられるので大いに有り難く首を縦に振った。こちらを狙って来たくせに完全に連絡が途絶えて甘く見ているであろう牧本や古志に鮒星どもだが犯罪には報いるべきなのである。直接会ってすらいないから捕まらないとたかを括っているかも知れないがこちらはまだまだ警察に提出していない証拠が何百とある。細工は流々仕上げを御覧じろと言うやつである。




これまで被害者の会を作っているのに警察が追えなかった投資詐欺の被害者たちの悔しさを償う番が来たのだと思い知り檻の中で人を欺いて来た事を後悔するのである。障害者と判っていて投資詐欺の矛先を向けた事態の重さと現役の大学生に対して行った犯罪もどれだけ重い過ちであるか身をもって知ると思われる。2023年へと年が明けてから幾度と無く刑事からの情報の協力の頼みで連絡が来ている携帯の履歴は0110番の警察が増えていた。その事も浜安には本気で捜査にあたり逃さない強い意志を感じられた。



しかしかなり捜査は難航しているようであった。如何に詐欺師たちがこれまで逮捕されずに法の網をすり抜けて来たのかが分かって来た。本件の場合は犯罪者たちが単独犯では無く多数いる。そのためどのような交友関係を持ち何処に誰が出没しどのような会話をしているかなど複数名の私服刑事が日時や人を替えて長期間に渡って送検後に検察が確実に起訴に持ち込めるようにしなくては成らない。浜安の押さえている証拠もその時間が経つに合わせて増えて行く。動画や録音した犯人たちとのやり取りを聞き直しこの部分が証拠になると押さえて行き1082個になっていた。



第27章  犯人逮捕の訪れ



いよいよ大詰を迎える2023年9月6日の連絡でついに逮捕状が発付される事に至ったのである。警察の求めに裁判官の方で逮捕を認めるに足る許可まで辿り着いたのだ。捜査に影響する可能性があるため詳細は話せないが被疑者と関係している人物が浜安と直接コンタクトを取っている人間の中にいるため出来るだけ慎重にして欲しいとの事である。その日からSNSへの投稿をこの区切りが付くまではと決めてピタリと止めた。浜安の周りには億単位で稼いでる企業の社長たちや上場企業に勤めている人に政治家、有名な格闘家に漫画家など直接会っている知り合いが沢山いる。これから長くを刑務所で過ごすのならと自棄になり逆恨みでもその人達に危害が行ってしまったらそれは浜安の責任となる。メディアなどで公になるまで現在いる居場所を特定させない方が良い判断に決まっていた。



時を待った2023年10月13日TVやネットニュースなどで逮捕され検察庁へ送検される鮒星が映る牧本が話していた鉱山で何百億も入って来ると言っていた件である。出資法違反で約100名から株価が倍になると言いコンゴの鉱山を保有する会社の株価が倍になると信じ込ませておいて買い戻しに応じなかったとして計27億の被害で報道が流された。起訴に相当すると先ずは鮒星と樽音やその関係者2名の4名を捕まえられた事を知る。そこから留置場での延長勾留をさせてパスポートの不正取得として旅券法違反で再逮捕を鮒星にして行く。これまで艱難辛苦を味合わされ被害者の会が頼んで来ていたのに証拠を押さえられずにいた警察側の怒りの度合いが極めて高い事が分かる。保釈金を幾ら積もうが絶対に檻から出さずに執行猶予の判決も下されては成ら無いと言う執念に満ちた手法を感じさせられた。面会も弁護士しか許されない接見禁止になっている。まだまだ余罪がある上に証拠隠滅の恐れがあるのだからこれは至極当然である。



次は美容器材のリースに対しての再逮捕になるのか真珠の養殖場への投資詐欺での逮捕になるのか或いは泥ミズセミナーでの仮想通貨への投資詐欺になるのかお楽しみだ。罪を報いる時が来たのは紛う方なき事実である。1年かかってやっと4人ではあるが取り敢えず成果を挙げられた祝いの電話を麹末警察署の刑事に浜安は入れた。


「やりましたね。」


の最初の一言にとても弾んだ喜びの声が返って来る。そして追加で持っている情報を教えて欲しいとまた頼み込んでも来た。芋づる式に警察側がまだデータとして押さえきれていない膨大な資料や情報を持っている事を以前に見せた時に既に知っているからである。日付けを合わせて部屋も用意すると言っているし浜安も詐欺グループ達の黒幕が誰であったのかも掴める時がやっと来たのだ。その電話の後にくだんの女性弁護士にも電話をかける追っていた詐欺師たちの中で逮捕まで遂げた事を伝える。こちらも明るく嬉しそうな声が返って来た。


「本当ですか?良かったですね。」


駄目だった場合に無駄な時間や費用がかかる事までを思っていてくれたので驚きも入り混じっていたが苦労を労う言葉を言っていた。弁護士でさえ警察を動かすのは難しそうに考えていたがこちらを標的として狙って来ている犯人の逮捕まで行けたのはピラミッドの組織形態になっている警察の上層部から各署へ命を発したのであるから逆えずに動いたのが大きく影響していたのだと浜安は思っていた。そこで世話になった官僚にも電話をかけようとも思ったがまだその日は17時前で迷惑をかけると考え礼のメッセージを送る事にした。


「良い結果になって良かったですね。妻がお役に立てたなら何よりです。」


との返信に権力を持ってているが謙虚な人だな。いや謙虚さを忘れないからこそ人の上に立つ資格があるのかと痛感をした。そして詐欺師たちにばれてはならぬ行動を共にしてくれた孔明についてであるが一先ずの祝いで浜安から食事に誘った。


「また定食屋?たまには良い物を食べに行こうよ。」


と駄々を捏ねている。浜安は人付き合いで高級な店にも行く時があるが本当に好きで毎日でも食べたいのがやよい軒や大戸屋などの定食屋の栄養バランスの取れた料理でその最上級に位置付けているのが今日死ぬか明日死ぬかの瀕死の瀬戸際にあった時に神様どうか命だけは取らないでと毎日声に出して隣で願っていた母親の手料理なのである。



どのような人間でさえいつ死がくるかは分からない。明日の保証は誰もしてくれないのだから親と呼べる存在がまだ居てその手料理が食べられる時が有るのなら躊躇う事なく食べておく事をお勧めする。大戸屋の定食を食べながら笑顔の2人がそこに居た。


「やるとは思っていたけど本当に逮捕まで行くとはね。」


孔明も捕まえられない事も有ると考えていたようである。生涯寝たきりの生活や車椅子で生きて行く準備をしろと医師に言われても諦めだけは誰よりも悪くやると決めた事はこれまで諦めないで来た浜安にはこれでも随分と時間がかかったように思えていた。



第28章 全ての黒幕


さて黒であるか白であるかを警察に捜査されている華山の方はと言うと2022年の11月18日からずっと連絡が無かったのに対し2023年10月10日の約1年ぶりに連絡が来ていた。


「こんにちは。ご無沙汰しております。お変わりございませんでしょうか?お電話でお話ししたいのですが、いつがよろしいでしょうか?」



とLINEで送って来た。ここは簡単に予想が出来る。何かしらの鮒星逮捕の情報が耳に入ったのだと思われる。自ら古志と鮒星を捕まえてとお願いをしておきながら何とも白々しい人間である。これに対して浜安はまた新たに開始をしていた床ずれ予防プロジェクトで学会に顔を出しに神戸に行ったりと忙しくその後に疲労が溜まり声が枯れて治ったら電話で話せると返信をしておいた。このプロジェクトには多くの協力者がおり内閣府のムーンショップ計画に依頼を受けて動いている叔父の阪大教授にその仕事が終わり次第加わってもらおうとも思っている。



華山も既にこの時点で逮捕が出来た4名も他のこれから逮捕される詐欺師達も脱税をしている可能性が極めて高い。死と税金からは誰も逃れられないと言う言葉があるようにこちらは国税庁が別件として捜査にあたるかも知れないが法人に投資させた金額は経費では豪遊している金額とは全然合わない。併合罪として合わせて刑を判決で下されるかも知れないがそれでは刑が軽く成る恐れがあるため別件として再逮捕を刑期が終える際にしてもらいたいと思っている。その方が長く悪党どもを収監していられるからだ。



浜安の母の祖父であり浜安からは曾祖父にあたる鬼頭は税務署長をしていた。袖の下を通そうとしてくる企業が沢山いたのも聞いているし一切受け取らずに送迎の車に家族さえ乗せなかった悪を許さない本物の正義の人であった。




この時には刑事との長いやり取りで至っている投資詐欺の全ての黒幕は華山と能木に絞られていた。内心もしかしたら自身まで逮捕されるのでは無いかと思い恐怖感を抱いていると推測される。



第28章  これからの楽しみ



ここから先はメディアなどの報道で誰が逮捕されて行くのかをリアルタイムのニュースで警察が列挙して行く姿を見届けて欲しい。時系列で行くのかそれとも証拠を掴んだ順に捕まえて行くのかは今後のお楽しみになる。



逮捕に及ばなかった場合は警察の威厳に関わるのであるからここに挙げている人間たち以上の関与している全ての犯罪者を洗い出してくれると信じている。浜安から再三ここだけは必ず押さえるべきだと刑事達に伝えている事は騙して投資をさせたお金を犯罪者側の作った仮想通貨からNFTや決済可能な場所を使ってマネーロンダリングをしている部分である。ここを証明できればお金を出させられたかなりの部分が被害者達に戻せる事になるからだ。




最後にこれ以上の被害者が1人でも生まれない事を切に切に願う。騙されてお金を取られその事を警察に訴えても証拠が取れず泣かされていた人々の気持ちは想像を絶し測り知れない。





2023年12月15日

放浪の狼である浜安は前日に頼まれて犯罪者の逮捕に繋がる証拠に成るとして刑事がそれもこれもと持って来た書類や詐欺師達をグループ分けにして捜査がよりし易いように書き綴ったノートをコピーして行ったのを見て駆け抜けたこの1年半の孤独な悪党どもとの闘いが無駄には成らなかったのだと知りその嬉しい達成感の余韻に浸っていた。





あとがき


警察の捜査が進み現実に今回の投資詐欺に関わっている犯罪者達からは風説の流布や名誉毀損に個人情報保護法違反そして侮辱罪など色々な法律違反として裁判をこちらの方がかけられる事になるかも知れないがそれはそれで自分達の悪事が世間によりバレる事に繋がるので構わない。甘んじて罰には受けよう。



多くの被害者を出している悪の側に味方をする弁護士や酌量を与え判決を軽くした裁判官が居ればその汚名を残し生きている間は生涯後ろ指を指される人生になるであろうし後悔をする事になると思われる。ありのまま起こった事実を浜安が続編にして書いて行くのは非常に高い確率だからだ。それよりもこれまでの被害者達への心の苦痛や無念が晴らされる事をただただ願うばかりである。



引用


佞言→媚びへつらい相手に取り入ろうとする言葉(蒼天航路より)




犭貪→孔子の教えに出てくる想像上の怪物、ありとあらゆる物を食らい尽くし最後には自らも食らう(蒼天航路より)



分からない事があったら分かれば良い→ハンジ・ゾエの言葉(進撃の巨人より)



属さない→ヒソカの言葉(HUNTER×HUNTERより)



駆虎吞狼→豹に向かって虎をけしかけて虎の穴があいた所へ狼に狙わせる

(三国志の荀彧の策より)





細工は流々仕上げを御覧じろ。→物事のやり方には色々か流儀があるのでやり方について口を出さず結果を見て判断して欲しい事(エヴァンゲリオンの作中より)



死と税金→死と税金以外に確かなものはないイギリスの諺(映画ジョーブラックをよろしくより)



完。

この話しは今の時点はフィクションであり登場する人物、団体など全て架空の存在である。





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金科玉条〜詐欺師集団にばれてはならぬ〜 ただの怪我した一般人 @hamayasutakanobu

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