切なき過去、忘れじのトラウマ

「今日は、楽しかったね。いつか、今日みたいな遊園地デートまた来ようね。」

「うん、さてとそろそろ暗くて周りが見づらいし家に帰ろうか。ね?白導。」



周りが見づらい、思ったよりも暗くて足元も見えにくい。

早く帰らないと道が分からなくなりそう......。

さてと、走って帰ろうかな。あっ......ちょうど信号青だ。

白導と早く渡らないと赤になっちゃう......。



「白導、もう信号渡っちゃおうよ。そのほうが早く家に帰れるから。」

「待って!信号赤になっちゃってるから、渡っちゃ駄目だよ!」




え?嘘、そうだったの?全然見てなかった。あぁ、ごめんなさい。

お父さん、お母さん、凛、雅......本当にごめんなさい。本当に......。

そして、白導。信号見てなくてごめんなさい。あぁ、もう終わりだ。


「危ない!明來、全速力で走って!」

「え?全速力で走る、どういうこと?ねぇ、白導。」



私が白導に聞こうと振り向いた瞬間、目の前で何かが車にぶつかる音がした。

そこには返り血の付いた黒い車と赤い液体がたくさん付いた白導が横たわっていた。

黒い車を運転していた男性は、信号無視をしていたらしい。つまり、信号は青。

わざと、私に突っ込もうとして無理だったために白導に標的を変えていた。

そのあと、その男性は笑顔で車の間にいた白導を踏み潰して逃走した......。


「ねぇ、白導?なんで寝てるの?ねぇ、なんで起きないの?ねぇ、白導!」

「あ......くる......ぶじなんだね......よかった......それと......。」





何を言うの?こんなときにまさか遺言じゃないよね?

というより、なんで誰も警察や救急車呼ばないの?写真撮ってるだけで。

.....嫌い、あんなやつ......逃げたあいつも......動画や写真撮ってるお前らも嫌いだ....。





「......あ......くる......ごめんね......だいすきだよ......。」

「ねぇ、やめて......いなくならないで.....。やめて......。」



誰も......信じない.......信じたくない......信じれるわけがない.....。

なんで......無理に.....信じたくない......もう.....怖い.....怖い......。

怖い......こわ.....い.......だれか......た....すけて.....たす.....けて.......。

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痛む心の隙間を埋める彼らは ~切なき過去と忘れじのトラウマ~ 黒崎灯明 @Tomoa_Yoruhosi_961556794

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