第7話 緊急

※【これは緊急放送です。訓練ではありません。現在本船の向かっているエウロパですが…】※


おい、途切れたぞ。何を言いかけてる?


不安にざわつく船内。


※【未確…認…生………命…の】※


何だ、通信エラーか?何かあったのか?


 この時は機器の故障かと思われていたが、既に通信室に異常が起きていた。


別回線で、


※【治安部隊、至急通信室へ急行せよ!!】※


うーん、俺も行かないとならないか…


怖いんだか、そうも言ってられないな。


 とりあえず向かう先は通信室。ここはめったに来ない場所だから、ルートを把握するのも一苦労だ。


 帰り道は大丈夫だろうな。このルートが塞がれたら…って何に塞がれるんだ?恐ろしいこと考えるな。とにかく原因を調査することが大事だ。


 常に撤退ルートを考えてしまう…職業癖が身についてしまってるよ。


【何だ…何がいる?】


【見えないぞ。どこだ!!何にやられた?】


先行した部隊が冷静さを失っている。


エウロパ…本当に大丈夫なのか?


その瞬間、凄まじいほどの衝撃が船内に走った!!


 その後、眼の前を通り過ぎた、何かが…完全には見えなかったが。


間違いなく何かがこの船内にいる!!!


※【全員退避!!船内後方のシャトルに急げ!!!】※


 治安維持どころではないな。これはエウロパに向かうことなど到底出来るわけない。


再び眼の前を通り過ぎる何かが…


 逃がすわけには行かない!!そう思ってとっさに捕まえた。捕まえることに成功した。手応えはあったんだが、あったはずだ!!


【よくやった!!逃がすな、全員で!!!】


痛てて…おい、俺だって!!何してるんだよ。


【何してるんだ?お前は?馬鹿な?何処へ消えた?】


あり得ないだろ?テレポート?


※【治安部隊、何やってる!!早くシャトルに来い。間に合わないぞ!!】※


シャトルは自動で地球へ…間に合わなかったか。


【とりあえずエウロパへ着陸だ。衝撃に備えろ!!!】


船長?シャトルでは、無かったのか?


【これを乗り捨てる訳にはいかないだろう。この船の船長として。脱出するなら私は最後だ】










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