第6話 正体

俺達はこの船内でかなりの時間を過ごすことに。


※【自動航行に変わりましたので、皆様ご自由に船内で楽しい時間をお過ごしください】※


 子供たちのはしゃぐ声、バーカウンターに向かう年配の人たち。


 さて、木星のことはよく解っていない。ガス惑星なので地表に立つことは出来ないが、既に居住区は出来てるというが、情報がない。


【すみません、少しよろしいでしょうか?】


船長室に呼ばれた。何かあったのかな?


 この船はかなりの大きさだが、船長室は6畳程度の広さしか無い。長期に渡って航行するためより多くの人々が乗るために、仕方ないことだな。


 小さなテーブルと椅子があり、そこで船長は説明をし始めた。


【治安維持のあなたには伝えておかないと。実は木星に居住区が出来ているって話は偽りなんだ】


【それはどういうことですか?既に木星に向かって航行しているのでは?】


【あなたもご存知の通り、木星は住める環境ではない。この船はエウロパに向かっている】


【エウロパ…大丈夫なんでしょうか?】


【地球外生命体のことだろう?】


【はい、安全性に疑問視されている場所ですよね?】


【木星に居住区を作って、エウロパからエネルギーを供給していたことになってるが、実は逆で木星のガスエネルギーをエウロパに供給して住める場所にしているんだ。その間地球外生命体は確認されなかったんだが…】


【凄いじゃないですか!!木星で無くても安全で住めるなら、しかも木星のエネルギーなら数千、数万年は途切れる心配はないですね。何か問題でも?】


船長は、うつむいて、困ったように、


【そうなんだが…住めるには住めるが、順調に居住区は完成して、さらに増設しているが先程、謎の生命体が確認されたとの情報が入り、向こうでは居住区を閉鎖中なんだ】


それは、そうなるよな。せっかくの居住区なのに。


【では、戻るしかないと?】


【この人々が戻っても収容人口を超えてるので、パニックになるだろうから。そこで済まないがこの船から治安部隊が出動するので、君に同行をお願い出来ないだろうか?】


うーん、俺が役に立つのだろうか?


謎の生命体か…怖いな…


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