第5話 Another stars friend!

「はっ!」

飛んでいた意識が戻り、真っ白な天井が目に飛び込んできた。

(ああそっか、わたし気を失ったんだっけ)

時計は11時半を指している、どうやら1時間ほど気を失っていたようだ。

「あー、あー、あれ?声が、出る」

どういうことだろうか。さきほど自分で出した炎でつぶれてしまっ完璧に完璧に治癒している。

(ドラゴンになる薬の影響?気になるな。)

「ヒカリちゃーん。起こしに来たよー。」

朗らかな声が聞こえる、確か名前は,,,,,,

星宮 玲さん。

彼女はこの地球とは別の星の王女らしく、いわれてみればたしかにどこか気品や教養の高さを感じる。

しかし身分の高さにふんぞり返って悪逆をつくすような王族じゃない、民に寄り添うやさしい人であることは見た瞬間理解できた。

「あ、星宮さん。起こしに来てくれてありがとう!」

元気になったヒカリの姿をみるとにっこりとほほ笑んだ。

「玲でいいよ!それよりほんとに大丈夫?」

「大丈夫だよ、すっかり治ったみたいだし」

「それはよかったね!じゃあ、先に教室に戻ってるからゆっくり来て大丈夫だよ」

「ありがとう玲ちゃん。あ、それと,,,,」

「ん?」

「友達になっていい?」

「大歓迎だよ!」

友達。はじめて別の星の友達ができた。小さい出来事だがヒカリにとってはとてもうれしかった。

教室に向かおうと廊下に出るとくじら先輩を見つけた。

実は先輩に謝りたいことがあった。

それはこの間「先輩は、人間のことどう思っていますか?」という質問をしてしまったことについてだ。

いままで興味の赴くままに生きてきた、でも今回の実験で気づいた。

人ならざるものが秘める力とそれゆえに生まれる狂気に。

決して先輩がかわいそうだとは思っていない。

むしろカッコいいと思う。

人魚と人間の違いを乗り越えようとしている。

だからこそあんな質問を投げかけたことが恥ずかしい。

「先輩、この前はすみませんでした!」

先輩は一瞬また実験台にされると身構えたがすぐに本当の謝罪だとわかったようだ

「謝らなくていいよ!全然大丈夫だから。でも、その体どうしたの?」

やっぱり先輩は優しい、種族の壁なんて簡単に超えられると思うほど胸にしみる優しさだ。

「実はかくかくしかじかで,,,,」

「そうだったんだ。大変だったね」

「この体になって分かったんです。先輩の心に」

謝れたことでなにか思い詰めていたことがなくなって心が軽くなったようだった。

「じゃ、先輩。また会いましょうね!」

そう言って教室へとまた歩みを進めた。

続く

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