第11話 なにがあっても大丈夫よ

 昨日の土曜日は今日のためにすべて使ったと言っても過言でない。


 朝食もそこそこに朝イチでエステティックサロンに向かった。この日のために奮発して全身を施術してもらうことにしていた。お顔に60分、全身に更に60分の豪華絢爛コースだ。

 ピカピカに仕上げてもらったら、返す刀で有名ヘアサロンに出向き大人ガーリーなヘアアレンジをしてもらう。背中まであった髪をちょっとだけ切り落として、めったにしないパーマもゆるふわにかけてもらう。


 その後は夕方に予約しておいたネイルケアのお店に寄って過度でないネイルデザインも施してもらう。キーボードで文字を打つのがメインなお仕事だから爪はいつもショートに切り揃えている。イマドキの女子的には可愛くないけれど、わたしは仕事ができる女なのでこればかりは仕方がない。だけど今日のお店はショートネイルのデザインが得意らしくとても仕上がりが可愛い。グレージュをベースにとても気に入ったデザインを採用してくれたので大満足!


 いっそのことマツエクまで行きたかったけど、やりすぎると月曜日からの仕事にある意味支障が出そうなので自粛した。整形じゃないけど、見た目の印象がね、変わりすぎるのも良くないよね。何ごとも程々というものがいいらしいし。


「ヨシ完璧でしょ?」


 これでいつ誠さんに求められても、恥ずかしくなく柔肌を見せられるよね。誠さんのことだからそこまで求めてくれるかはわからないけれど……。


(酔っ払ってまな板の鯉状態のわたしに一切手を出さなかったぐらいだもんね。まさか誠さんのほうが難攻不落とかないでしょうね……)


「ま、そっちは未だだとしてもきれいになったわたしを誠さんに見てもらえれば御の字だよね」


 まだ誠さんとわたしは出会ってそんなに時間は経っていない。いい大人が高校生みたいな恋愛をすることはないけれど、サチみたいな体の相性をまず確かめてみてっていうのはわたしには無理なんだよね。

 とりあえず1歩ずつ前進すればいいかな。


「夕飯も美容を意識したレシピにするぞー」

 普段はテキトーなものばかり食べているけれど、今日は気合い入れているので食事にも注意を払うのを忘れない。

「でも結局のところ良くわからないから、ネットのレシピにおんぶに抱っこなんだけどね」


 煮るだけの夏野菜のラタテュイユと美肌効果のあるというあさりをたっぷり使ったボンゴレビアンコを作った。


 最後に風呂上がりのパックもしっかりとやって、いつもより2時間は早く寝て明日に備える。寝不足で目の下に隈があったりしたら台無しだわ!

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