エピローグ。

日本は柳瀬隆二のデザイン通りになった。誰も知らないことだ。真相を知る者は柳瀬隆二だけだろう。

 情報提供アカウント「瑞鳳」は柳瀬の言った通り、「危険分子」として抹殺された。内田智樹議員の殺害容疑で運営母体が強制捜査を受けた。

だが、「瑞鳳」は既にスーパーコンピュータ「富嶽」を譲渡した後だった。

 それまで鳴りを潜めていた小さなアカウントが活動を開始した。アカウントは「瑞鶴」を名乗り、やはり「国民の敵」の情報を淡々と吐き出した。このアカウントは手強かった。徹底して犯罪疑惑を排除し続けたのだ。「富嶽」の性能は、最新のスパコン「サクラ」と対等以上に渡り合っていた。陰に「天才」プログラマーがいると思われた。


THUKUYOMIは富嶽との連携を開始した。


国民の生活は変わらぬままだが、小さな希望が芽生え始めた。

「子供たちを諦めない」を信条に、小さな活動が全国に波及していく。

全てを諦めて、訳知り顔で語る老人はいつまでもそのままだ。

「動物園」では子供たちのはしゃぐ声が聴こえる。


バトンは次世代に渡されていく。

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