道を歩いていると、道端に花が咲いているのに気がついた。


立派に咲いている。コンクリートの道端で。

思わず足を止め、じっと見ていると、花のすぐ傍にハサミが置いてあり、その周りに何やら赤黒い染みが出来ていることに気がついた。


それにしても立派な花だ。水でもやりたい。辺りを見渡すが、近くに水道らしきものも、川もない。かといってミネラルウォーターや水筒を持っているわけでもない。


困った。そうしているうちに、だんだんと花が萎れていってしまうように感じた。いけない。これではいけない。そう強く感じ、花の傍にあったハサミの刃を腕にあて、力をこめてすっと引いた。思ったよりも血は流れた。腕から流れる血は花へと滴り落ち、なぜか安心感を覚えた。ハサミを元の位置に戻し、また歩き出す。


花は最初に見た時よりも大きくなったように感じた。

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