第7話 龍の神官たちに課せられた使命


『アンデット』と『エネリスト』以外の神官は竜の元でざわついていた。

なんでも、ギルドに寝返った二つの勢力がいるらしい。ただ竜のいう事聞いてるだけで仕事が終わる、普通の人間である自分たちが何をできるか?


【貴君ら!話がある!】ゴォっと地響きのようなそれでいて尊厳の強い意志のある声が響く。

「はいーーなんでございましょう!」代表の神官たちから次々と頭を垂れる神官たち。中にはいくばくもない子供も混じっている。


【いい供物を思いついた。、我ながらいい策だ。ーーー黄金瞳を持つという噂の兄妹を供物として連れてこい!】


ーーーーーこれは、この瞬間『エネリスト』たちにも伝わっただろう。そんなことはどうでもいい。ーーー見たいのだ、黄金瞳を。逆らうから容赦なく殺したいが、違う。遠い遠い記憶から、赤毛の黄金瞳と黒い髪が蘇ってきた。我がまだ人間だった頃。

何十年以上前だ???


そこまで想いに耽って頭を振る。そんなに3秒もしていないが、神官たちは恐ろしく映ったのだろう。怯えている様を見るのが楽しい。そんな感情が芽生えている我は、自分が人間だった頃と比べてだいぶだんだん怪物になっている。

王国を滅ぼして食い潰してしまう前に黄金瞳に会いたいーーーきっとあの二人のーーーーー。


ーーー####ーーーー


場所は変わり、王国ギルド。

ヘミングが厳しい面をしていた。ヘミングだけではないシャレーゼさんも他の『エネリスト』たちも怖い顔をしていた。

「何があった?何を感じとっている?」「竜に何かあったのね?」俺たちは同時に質問する。

『王国の『アンデット』たちを集めてくれ。ギルドの会議をしよう。重大な感じだ。』


数分後ーー全員が集まった。


「今日はどうした?」

『何やら、この兄妹たちを供物として捧げろという神官たちに命令している竜の精神が聞こえた。おそらく、この兄妹に何があったのか知らないが因縁があるらしいんだ。。』

ーーーざわついてきた。


おそらく誰もが意外でもあるし、想定内でもあったのだろう。この二人を供物にすることに関しては。しかし、因縁とは?兄妹たちに聞いてもさっぱりわからないらしい。


「因縁?そういえば、竜の見た目ってどんなだ?」

『ーーー素晴らしく美しい。中身に反して。冬の雪化粧のような白銀の図体と人間でいうまつ毛のような白銀毛で覆われている瞳は大きく蒼い青い海空の瞳だ。』

「へー、綺麗なのか。そんなに俺たちに逢いたいらしいなら連れて行ってくれよ。心の準備はできてる。どうせならもう反撃に向かおうぜ!」


ーーそうだ!そうだ!と、声がたくさんあがった時、ちょうど、竜の描写を聞いたあたりからローズがコソコソと涙が出ているのを隠そうとしていた。

それにヘミング以外気づいたことはなく、ヘミングも理由を聞ける状態でないので、ギルドの会議と武器集めは進んだ。


(ーーそうだ!今はギルド団長として集中しなくてはならない!しかし、なぜ今頃になってこの二人を?ギルドが神官たちに知られている可能性は考えていた。しかし、神官は「普通」。竜のおもちゃ【実験機】にされたの我々とは違う。勝ち目は五分五分かーー)


(ヨルム兄さん、、、レガート王国の彼の方のお話を聞いていたでしょう???お父さんたちから、、、。。竜の正体はきっとーーーーーーーあゝいけない!私も供物とギルド員として準備しなくては!!)


物思いに耽っている間にすれ違っていく二人。準備しなくては。そう言いながら、、、少し、、、苦笑していたヨルムだった。本当は気づいてきた。竜の正体も。二人が連れていかれる本当の秘密を。

この新しい友人と妹二人を幸せにしたいけれどもおそらく自分には力不足かも知れない。。。それでも全力で竜を倒そうとできる算段の裏の策がある。

全ては竜の正体次第。。






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