4章 近未来都市!

51 空間接続都市!

 崖の先、目の前に広がる未来都市。その壮大さに圧倒されている俺達に、所々に光るラインがあしわられたシルバーのスーツを着た1人の女性NPCが話しかけてきた。


「みなさん、始めまして。お待ちしていました」

「……お待ちしていました?」

「はい。まず、私は敵ではありません。また、あなた方が別の世界から来た事も知っています」


 俺達が別の世界から来た事は知っているらしい。けど、そもそもあの街はなんだ?


「色々質問したい事はあるけど……まず、あの街はなんですか?」

「あれは私達が住む街『空間接続都市 ポータルシティ』です」

「ポータルシティ……」


 なるほど。タイトルに関連する単語が付いた街ならPPO中心の街になるという話も納得だ。


「とりあえず、事情をお話するので着いてきてください」


 緑の中に整えられた銀色の階段をしばらく下ると、簡易的な駅に着いた。そこには先ほど目にしたリニア新幹線のようなものが止まっていた。


「さあ、乗って下さい。空中を走る列車です。これに乗って都市までご案内するので、中でゆっくりお話しましょう」


 その言葉を聞いて全員先頭に乗り込む。どうやら無人列車のようで、先頭の窓からはホログラムの線路が見えた。


「すっごい……本当に未来に来たみたい」

「はい。結構感動してます」


 カリンと感動を分け合う。こういう未来的な乗り物は大好きだ。


「まあ、未来都市って言うならこれくらいやってくれないとな」

「……その通りだとは思うけどサムエルはもう少し感動してる人の前での言動を考えた方が良いんじゃないか」


 サムエルが和希に突っ込まれる。きっとSFにそこまで憧れてないに違いない。勝手な思い込みだけど。一方、パメーラは端の方で震えていた。


「私はちょっと怖いかも……」

「怖い物知らずなパメーラにしては珍しいね。不安なら僕に捕まっても大丈夫だよ」


 ……優しいんだけど地味に酷い事も言ってないか。ルースさんにすら雑に扱い始められたら終わりだぞパメーラ、と心の中で突っ込む。

 ちなみに姉さんは一心不乱に外を見ていた。流石姉さん、ロマンが分かる。


「こほん」


 女性NPCの咳き込みでみんながそちらに向き直る。そう、乗り物で盛り上がっていたが本題はこっちである。


「みなさん、よろしいでしょうか」


 全員首を縦に振り、説明が始まる。


「まず、この世界の説明をしなければいけませんね。簡単に説明すると、ここは全ての国が統一され平和になった世界です」

「へえ、それは凄いですね。何か問題が?」

「ええ。実は最近、未開拓の土地から未知のモンスターが出現するようになってしまいまして……調査した所、時空の歪みが発生して本来繋がるはずの無かった世界と繋がってしまい、そこから生まれてしまったようなのです。そこで、みなさんに手伝って頂きたいのです」


 なるほど、それは確かに大変だ。が、1つ疑問が浮かぶ。


「あの……これだけの文明があるなら、自力で何とか出来るんじゃ?」

「それがそうでも無いのです。実は異世界との繋がりには魔力というエネルギーが必要なのが分かっているのですが、この世界の人間は元々魔力を持っていないのです。そして、モンスターも魔力が無いと根本的に倒す事が出来ません。現在は物理的な障壁などを用意して対処して居ますが、いつ崩壊するか……」

「そこで、魔力を持った私達の出番と」

「そういう事になります」


 つまり、魔力を持った俺達にこの世界を助けて欲しいと。それを聞いたサムエルから質問が飛ぶ。


「待て、俺らのメリットは何だ? まさかタダで世界を救ってくださいって言わないだろうな?」


 おい神職者。それで良いのかお前。


「もちろんです。チームに参加するだけでも様々な施設での待遇権を与えますし、作戦を1つ達成する度に報酬を用意するつもりです」

「なら、こっちにも見返りはあるって訳だね」


 ルースさんが納得の表情を見せる。

 ……ぶっちゃけ、ゲームだから報酬は貰えるに決まってるし断る選択肢なんて無いのだが、ロールプレイって奴である。


「さあみなさん、そろそろ着きますよ。もしも参加していただけるのなら、都市救済庁までお越し下さい」


 そう言うと、ピコンという音と共に『ポータルシティ中心部の地図が開放されました』という表示が出てきた。グラン城下街の場合一気に全ての区画の地図が開放されていたので、中心部の地図のみ開放されたとなるとかなり広そうだ。


「それでは、到着です。あなた方に良き未来を!」


 その言葉で駅から送り出され、俺達は新たな地、ポータルシティに足を踏み入れた――

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フルダイブVRMMOを遊んだら女の子にTSしてました! えこだま @ecodama

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