新釈・灰かぶり姫~エラの伝説~

夢月みつき

第1話「伝説へ」

 〇登場人物紹介〇

 灰かぶりのエラ(シンデレラ)


 継母


 2人の姉


 魔女


 王子様


 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。



 昔むかし、あるところにシンデレラと言う年頃の少女がいました。

 彼女の名前はエラと言う名で、いつも灰にまみれているので

 シンデレラ灰かぶりのエラと呼ばれているのでした。




 エラの母は、病気で亡くなり、父親が再婚した女性と姉達2人が家に入ってきました。

 父親の前では、エラと上手くやっているようでしたが、その父親が数年後に亡くなると、女性は継母ままははの本性を現し、2人の姉も、エラを一緒になっていじめるようになったのです。


「エラ、早く食事の支度をしてちょうだい」

「エラ、暖炉の灰を溜めないようにしとくのよ!」

「いやだ!こんなに埃が積もっているわ。きちんと掃除してるの」


 そんな感じで、継母や姉達に朝から晩まで、こき使われるエラでしたので休む暇も、いつもボロボロで継ぎはぎだらけの服を着て、お洒落もさせて貰えませんでした。



 彼女の友達と言えば、窓に遊びに来る白い小鳥と家の中に巣を作っているネズミだけです。

「いいわね。あなた達はどこへでもいけるから」

 そんなある日、お城から舞踏会の招待状が届きました。



 2人の姉と継母達は、綺麗なドレスで着飾り、シンデレラにはこう言いつけます。

「エラ、あんたは舞踏会には、行かないわよね。あんたのようなみすぼらしいブスなんて、王子様が相手にするわけが無いもの!いつも通り、灰をかぶって、暖炉の掃除でもやってるのね」


「いってらっしゃい。お義母様、お義姉様」

 エラは、掃除をしながらつぶやきました。

「ああ…私も一度で良い…。舞踏会に行って、王子様と…」



 そんなエラの前に魔女のお婆さんが現れました。

「エラ、私がお前を舞踏会に連れて行ってあげよう」

 魔女は、エラに魔法を掛けました。



 すると、エラはドレスを着た美しい姿へと変身したのです。

「まあっ、素敵。お婆さん、ありがとう。でも、どうせなら……」

 彼女は、にやりと笑って、魔女に耳打ちをしました。


「わかったわ…その代わり、12時になると魔法は解けてしまうの。それまでに必ず、帰ってくるのよ」

 魔女は、エラに金の靴を渡し、ネズミを御者と馬に南瓜を馬車に変えて、エラを送り出しました。



 ☆



 こちらは、お城の舞踏会会場。音楽隊の奏でる音楽が鳴り響いて、

 女性達が着飾って、貴族の男性達と、ダンスを踊っていました。

 そのうち、この城の王子様が登場してドレス姿の女性達とダンスを踊ります。


 黄色い声が会場に飛び交う。

「あ~ん、王子様。次は私ですわよ」

 姉達も、口々に王子様を呼んでいました。


 その時です。会場の階段を優雅に降りるシンデレラの姿がありました。

「あの美しい方は誰だ」

 一人の貴族がエラに気がつきました。



 王子は、姉達の方を見向きもせず、エラの方へ歩いてゆくと手を取り、手の甲に口づけをしました。

「姫、私と踊っていただけませんか?」

「ええ、喜んで」

 エラと王子様は、優雅にダンスを踊る…誰もがそう思っていました。


 しかし、エラはドレスを脱ぎ捨て、武闘着姿になると、継母と姉達を指さしこう言いました。



「エラをいつもいじめている、継母に、姉よ!正義の鉄槌てっついを受けなさい!」

 彼女は継母達に内緒で、格闘の修業をしていたのです。

 エラは、右腕に鉄で出来た爪を装着しました。

 

 エラは、ざわつく皆の前で継母と姉達をこてんぱんにやっつけます。

 王子は、驚きながらもエラの話を聴いてうなずきました。



 ☆



 そのうちに大時計の針が12時を差しました。

 大時計の音が鳴り響きます。

「私、帰らなきゃ!」


 エラは、後ろを振り向かずに駆け出します。

 階段を下っている途中に慌てていたエラは、片方、金の靴が脱げ、腕からは鉄の爪が外れてしまいました。

 その金の靴と鉄の爪を拾った王子様は、エラを想って立ち尽くしていました。



 ☆



 その数週間後、王宮のおふれを持って、使いの者が王子様に付いて家にやってきました。

 聞けば、王子様は舞踏会に現れた美しい女格闘家を探していて、国中の娘達を調べて回っているのだそうです。


「まず、この金の靴を履いて、鉄の爪を装着してみて欲しい」

 使いの者が金の靴と鉄の爪を取り出し、台の上に乗せました。

 姉達は体中に包帯を巻いた痛々しい姿で、我先にと金の靴を履こうとしました。



 しかし、2人の姉達の足が大きくて、金の靴を履くことは出来ません。

 そして、鉄の爪もサイズが合っていなくて、装着できませんでした。

 すると、奥の部屋からエラが出てきてこう、言いました。



「――私にも、その靴を履かせてください」

 エラが、金の靴に足を入れると吸い込まれるようにピッタリ履けたのです。

 鉄の爪も、すんなりとジャストフィットでした。まさにあの時の美しき、女格闘家の再来です。



「おお!貴女があの時の姫でしたか」

「ひええっっ!まさか、あんたが」

 継母と姉達は青ざめてその場から逃亡してしまいました。




 白い小鳥が窓から入ってきて、エラの肩に止まって彼女について行きました。

 エラと王子様は、結婚して末永くお城で幸せに暮らしました。

 そして、お城の舞踏会は、おのれの拳に賭けてエラと戦いたい。世界中の武闘家達が集まる、武道会になりましたとさ。

 これが、現在も語られていない真実のシンデレラ灰かぶりのエラ最強伝説。



 <終わり>



 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

 最後までお読み頂いてありがとうございます。


 👠シンデレラ……強い!( ̄▽ ̄;)

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