ヒーローになりたガール

シィータソルト

第1話

「ヒーローになりたい!!」

 鎧塚泰己よろいづか ひろみは、中学校から登下校中、叫んだ。それに、はぁとため息をついて応える幼馴染の御影守護みかげ まもる

「もう、小さい頃から耳にタコができるほど聞き飽きた。まだ、諦めてないの?」

「私は未だに、寝る前、タオルケットを首に巻いてマントにしているくらいだよ? そして、それが覆ることはない。ヒーローはどんな逆境にも屈しないのだ!」

「小学生で卒業するかと思ったけど、大人になっても言ってそうだね……」

「私の将来の夢、ヒーローだから。困った人を助けるんだ!」

「って言っても、この世界に敵なんていないじゃない。どっちかったら、人間同士がいがみ合っているじゃない」

「そうなんだよね。じゃあ、人間に蔓延る闇とでも闘うか」

「どうやって闘うのよ……」

「なんか、妖精みたいなのが現れて、私を闇に干渉できるヒーローにしてくれたり……なんてね!!」

 と、言ったのも束の間、突然、泰己の目の前の空間が切り裂かれ、そこから、ふわふわと形容できるような生き物が飛び出してきて、泰己とおでこ同士でごっつんこした。

「痛っ!!」

「ごめんなさいほわ~。追われている身だったもので。ここなら、安全ほわ」

「言ってた妖精みたいなのが現れちゃった……!? 」

「僕が見えるほわ~? あぁ、触れることもできるし……素質はあるかもしれないほわね~。そこのお嬢さん。名前は?」

「え?私は、鎧塚泰己。こっちは、御影守護」

「そっちのお嬢さんも僕のこと見えてるほわ?」

「え、えぇ、見えてますけど……」

「ほほー!! 二人も素質がある人間を見つけたほわ~。僕は、ほわりん。人間界にヒーローを探しにきたんだ!」

「え、ヒーロー!!」

「そうほわ。確か、泰己って言ったほわね。ヒーローに興味があるほわ?」

「うん!! 私の将来の夢と言っても過言ではないもの!!」

「この子のヒーロー愛は筋金入りだよ。ほわりんさん」

「ほわりんでいいほわ~、守護。そんなにヒーローへの憧れがあるなら、その望み、叶えてあげるほわ~」

 ほわりんは、手をかざすと光を放ち、泰己を包み込む。

「うわ、何!? 私、光に覆われている!?」

「泰己ちゃんが眩しくて見えない~」

「今、変身道具を授けているほわ。まぁ、しばらく待っているほわ」

 しばらく経ち、光が一瞬でなくなると変身ベルトと両手首にブレスレットが取り付けられていた。

「これが、ヒーローの変身道具……さっそく変身してもいい?」

「ダメだよ、泰己ちゃん、周りに人がいるでしょ!?」

「あ、そうだった。じゃあ、山の中の秘密基地で変身してみよう!!」

「ほわ? 秘密基地? 泰己と守護はもうすでにヒーローの機関を所有しているほわか?」

「違うよ~。小さい頃、木と段ボールで作ったお手製のちんちくりんな秘密基地だよ」

「でも、私達にとっては大切な場所だよね。誰にも邪魔されない私達だけの場所……」

「そうなのかほわ~。じゃあ、さっそく行くほわ~!! 悪は待ってくれないほわ~!!」

 ずんずんと歩いていく泰己。それについていく守護とほわりん。学生服のまま山奥に入っていくのを気にする人が居ない程、人気が無い。

 木と段ボールで作られたお粗末な秘密基地が見えてくる。

「さぁ、着いたぞ~。変身するぞぉ!!!!!」

「おぉ~泰己ちゃんはどのようなヒーローになるんだろう?」

「泰己!! 変身するほわ!!」

「変身!!」

 鞄からブレスレットと変身ベルトを取り出し身につけると、ブレスレットの着いた両腕をベルトの前でクロスする。すると、泰己は淡い光に包まれる。刹那で、光が消える。その姿は、マントを身に纏い、顔を剥き出しにして、身体は西洋の鎧で包まれているヒーローが爆誕した。

「おぉ、鎧を纏っているけど、軽い!!」

 泰己はその場でバク宙してみせた。運動神経が良いが、ヒーローになったことでそれがさらに向上している。

「おぉ~泰己ちゃん、すごい!! 鎧でも軽々とバク宙してみせるなんて!! 元々の運動神経も抜群だけど、さらに上がっているようにも見える!!技にキレがあったよ!!」

「それを見抜ける守護はすごいほわ。そうほわ。ヒーローになれば身体能力が向上するほわ。軽々と動けるし、力だって筋肉が肥大化しなくとも強大な力を発揮できるほわ!!」

 泰己は、手をわなわなさせ、見つめる。

「すごい……滾る!! 私は最強のヒーローになれたんだ!!」

「最強かどうかはわからないけど、これから現れる敵と闘うには十分の力を兼ね備えたと思うほわ」

「そういえば、私にもほわりんが見えるからヒーローになれる素質があるって言ってたけど……ヒーローにならないといけないの?」

「ほわ~守護は、ヒーローというより、武器の素質が見えたほわ。その力解放するほわ」

 ほわりんは、手をかざし、守護に向けて光を放つ。光が解けると、そこには、剣と盾が落ちていた。

「私、武器になっちゃった!? 体どうなってんのこれ!? 精神だけが宿っているみたいな感覚……」

「その通りほわ。今、守護は精神だけの状態ほわ。泰己と共に闘うほわ~」

「泰己ちゃんと闘えるのは嬉しいけど、痛くないかなぁ?」

「最強の剣と盾だから心配ないと思うほわ……多分」

「多分って……」

「あと、今は、ほわりんの力で変身させたけど、これから守護が変身する時は、泰己とキスして変身するほわ」

「キ、キス!? な、何で!?」

「泰己のヒーローの魔力を守護にも移すためほわ~」

「私にも泰己ちゃんのつけているブレスレットくれればいいじゃない~」

「もう、僕の魔力がそんなに残っていないほわ。僕の魔力は泰己に託したようなものほわ。二人には、僕達の世界を破壊したザンギャーグと闘ってもらうほわ」

「ほわりんの世界、破壊されちゃったの!?」

「もう、帰る場所がないの?」

「そうほわ。元の世界にいれば魔力も供給されているのだけど……。もう粉々ほわ。だから、転移の魔法でこの星に逃げてきたほわ。敵も魔力を感知しておそらく向かってくると思うから、ヒーローが必要だったほわ。巻き込んでしまって申し訳ないほわ」

 泰己と守護はほわりんの頭を撫でた。

「困っている人がいれば、助けるのがヒーローの務め!! ほわりん含めて地球の平和は私と守護で守る!!」

「守護が守る? 駄洒落ほわ?」

「しょうがないじゃん!! まもるって親に名前名付けられたんだから」

「とにかく、変身やってみるほわ。泰己が変身している状態で守護にキスをすると、守護が剣と盾になるほわ」

 ほわりんが魔法を解除を解除すると、二人は元の姿に戻った。

「よし、やるしかない!! 変身!!」

 変身ベルトが光を点滅させそこへ、ブレスレットを交差させる。光に包まれ、解かれると、西洋の鎧を纏い、マントをなびかせる。

「守護、いくよ……」

「う、うん」

 二人は顔を傾けあい、近づけていく。唇が触れた途端、守護の体が光りだし、剣と盾になり、泰己の手に納まる。西洋の騎士風ヒーローの完成だ。

「うんうん、様になっているほわ。敵が現れたら、ブレスレットが反応するほわ。僕は念のため、他の人間に見つからないように、ここに住まわせてもらうほわ」

「いいよ~ぼろいところだけど。あ、寒くない?」

「僕は暑さとか寒さとか感じないから大丈夫ほわ。ありがとうほわ」

「じゃあ、私達、帰るね。また、明日学校帰りにでも様子見に来るから」

「匿ってくれてありがとうほわ、また明日ほわ」

 ほわりんと別れると、山を下っていく泰己と守護。

「いやーヒーローになっちゃった……棚からぼたもちだね」

「そ、そうだね……」

 そう言って、顔を逸らす守護。それに、首を傾げて見る泰己。

「どうしたの? 守護? 顔を逸らして……私、何か機嫌損ねるようなこと言った?」

「い、いや……」

 濁して言う守護にしびれを切らして、語調を強めにして泰己は言う。

「もう、何さ!! 私達の間で隠し事はなしでしょ!!」

「う、うん……キ、キスする関係になっちゃったんだなと思って」

「た、確かに……で、でもヒーローになる為には必要だから!! 幼馴染だし! 気にしないでしょ?」

「私は意識しちゃうよ……ファーストキスだったのに……」

と、指をいじいじしながら、照れる守護。

「そうなんだ~、私もだけど私は特に何も。ヒーローになれたからね……!!」

 ふんふーんと鼻歌を歌い始める泰己に、呆然とする守護。幼馴染とはいえ、キスをして何も感じないなんて複雑な心情だ。守護の顔は真っ赤なものの、泰己の顔は、ヒーローになれたことへのご満悦の顔だ。守護は別に泰己のことが恋愛的に好きというわけではない。だが、先程の唇の感触が胸の高鳴りを止ませないのだ。まるで、突然現れた王子様に心奪われて心ここにあらず状態である。

「泰己ちゃんは、ヒーローにお熱だね」

「そりゃ、昔からの念願が叶ったんだからね!! 昂るのも仕方ないよ!! あ、私もファーストキスだよ。だけど、唇などどうでもいい。ヒーローに恋愛沙汰は不要だ」

「泰己ちゃん……」

「だけど、ごめんね。私なんかが初めての相手で。成り行きとはいえ、好きな人としたかったでしょ?」

「え……で、でも嫌じゃなかったよ。それは泰己ちゃんのこと幼馴染として好き、だから」

「私も守護のこと、幼馴染として好きだよ。これからもよろしくね!なんか、守護、私の武器になっちゃったけど怪我しないかな? 心配だよ……」

「最強の剣と盾だからってほわりんは言っていたけど……そうだ、明日、キス以外で魔力の供給できないか聞いてみようよ」

「そうだね。恋人同士でもないのにキスしているなんておかしいよね。文句言ってやろう!!」

 安堵すると同時に、もやもやもする守護。この気持ちの正体が今はわからない。


 次の日、学校が終わって山の奥の秘密基地に行くと、ほわりんは基地の中でスヤスヤと寝ていた。昨日見た時、ろくに寝れていなかったのだろう。目の下に隈があった。

「ほわりん、来たよ。起きて」

「ほわ~? あ、泰己、守護。おはようほわ。この秘密基地のおかげで安心して眠ることができたほわ~。あ~よく寝たほわ。でも、なんだか、嫌な予感が迫っているような気がするほわ。ザンギャーグが近くに来ているのかもしれないほわ」

「ねぇ、ほわりん。キスするのは、は、恥ずかしいからさ、キス以外で魔力の供給ができないかな?」

と、指をいじいじし顔を赤くしながら質問する守護。だけど、無慈悲にもほわりんはこう答える。

「手を繋ぐだけでも確かに変身はできるほわが、魔力の供給量が少ないほわ。キスした方が手っ取り早く、瞬間的に体液を通して魔力を補給できるほわ。敵は情けをかけてくれないほわ。時間の使い方に注意しないと一瞬で消し炭ほわよ?」

 つまり、二人は否が応でもキスして変身しないとダメなようだ。そこに恥じらいがあっては世界は救えない。

 その瞬間、町の方へ隕石みたいな黒い物体が落ちていく。町中が阿鼻叫喚のちまたと化し、山奥にまで瘴気が漂ってくる。

「ザンギャーグが町の方へ現れたみたいほわ! 泰己、守護、行くほわよ!! 泰己、変身するほわ!!」

「変身!!」

 両腕のブレスレットを変身ベルトの前で交差し、光に包まれる。光がなくなると、西洋の鎧とマントを纏ったヒーローが現れた。

「武器も装備しないとね。いくよ、守護!!」

「う、うん」

 二人は唇を重ねる。守護は光に包まれ、剣と盾になる。泰己の手に納まると、

「こっちの方角ほわ!! 飛んでいくほわよ!!」

「私、飛べるんだ!?」

「その為のマントほわ!! さぁ、念じて飛ぶんだ!! 泰己!!」

 頭で自分が飛んでる想像をしてみると、体が宙に浮いた。

「さぁ、飛ばしていくほわよ!!」

「え? まだ、私、初めて飛んだばかり、わぁぁぁぁ!!」

 高速で飛行している泰己とほわりん。初めての飛行なのに、まるで、いつも飛んでいるかのように、体は適応している。飛行機より早く飛んでいる自分に驚きを隠せないが、今はそれどころではない。一刻も早く現場へ向かわなくては。



 到着すると、町は瘴気で塗れていた。人々や動物達は、息はしているものの皆倒れ気絶している。町の真ん中には闇の塊が蠢いていた。

「あれが、ザンギャーグ……何て姿なの」

「あれは、その星の生物の心の闇が具現化したものほわ。つまり、この地球生命体も病んでいるということほわ」

「本当に人間の闇と闘うことになるとは……とにかく、いくぞー!! やぁー!!」

 勢いよく剣を刺す。攻撃が効いている感覚がある。闇の塊が咆哮をあげた。無数の闇の手が泰己に伸びてくる。だが、盾で牽制しながら無数の手を剣で斬っていく。

「守護、痛くない!?」

「大丈夫、私、本当に最強の剣と盾になっているみたい。この調子で行くよ!! 泰己ちゃん!!」

「うん!! 守護となら心強い!!」

 二人は心通わせ、闇の塊に立ち向かう。連続斬撃をを行い無数の手を薙ぎ払っていく。塊の中央にコアらしきものがあり、あれを破壊すれば闇の塊を倒せるに違いない。

「一刀両断!!」

 闇の塊の真上から、守護を振り落とし、闇の塊を二つに切り裂く。

「ギャアアアアァァァァァァ!!!!!」

 闇の塊は断末魔をあげ、消滅していく。

「やった……。ほわりん、やったよ!!」

「ありがとうほわ!! 一族を代表してお礼を申し上げるほわ!! ……って言ってももう僕しかいないのだけどね……。あ、守護の戻し方はもう一回キスすれば元に戻るほわ」

「余韻に浸っているところに、またそれをぶっこむ!? 幼馴染にどんだけキスさせたいのよ!?」

「魔力とはそういうものほわ。いいから、早く元に戻してあげたらほわ?」

「うん、泰己ちゃん。世界も平和になったことだし、私を元に戻して?」

「わかった」

 泰己は盾に口づける。そうすると、泰己と守護がキスした状態で元に戻った。

「「……!?」」

 二人共驚いた状態でそのまま固まる。ほわりんはニヤニヤしながらその様子を見ながら、

「二人共、顔が真っ赤ほわよ? お互いをただの幼馴染としてじゃなく恋愛感情で意識しているんじゃないかほわ? そんな感情が読み取れるほわ」

 泰己から唇を離し、ほわりんに噛みつく。

「ち、違!! ヒーローに恋愛沙汰は不要だと言ったじゃないか!!」

「わ、私は違わなくても……いいよ?」

「ふぇ?」

「だから、泰己ちゃんと……恋愛関係でも……いいよ?」

「ま、守護まで!?」

 で、でも私も……ときめいている……守護に……と自身の内なる変化に翻弄される泰己。さっきまで繋がっていた唇を人差し指で唇に沿って撫でる。ほぅ……と、ため息が濡れてしまう。守護も、両手で唇を覆い隠し、顔を赤く染めている。

「祝福するほわ。この地球から闇が晴れ、そして、ここに百合の花が咲いたほわ」

「百合?」

「ほわ?女の子同士の恋愛のことを百合という文化があると風の噂で聞いたことあるほわ」

「そうなんだ、恋愛について疎いからさ……」

と、ぽりぽり頭を掻きながら照れ隠しする泰己。

「わ、私は聴いたことあったけど……」

相変わらず、両手で唇を覆い隠し頬を染め続ける守護。

「帰ろうか……。もう、夜だ。送っていくよ守護。ほわりんは秘密基地へ自分で帰って」

「ほわ、僕の扱いぞんざいほわ。マスコットキャラクター的な可愛い僕を放っておいてイチャイチャしていた癖に。まぁ、いいほわよ。どうせお邪魔虫ほわよ。闇は消えたほわ。地球生命体がまた心に闇を抱えない限り、この世界は平和ほわ!」

「じゃあ、私の戦いはまだまだ終わらないね……動物は心を持つ。心は病む。進化してきた生命体だけど、私達は未だかつて心の闇を取り除く方法を知らない」

「そうなのかほわ……僕達と同じだね。住む星は違ったけど心というものが未解明だったほわね」

「心って何だろ……。何て考えてたら、夜が更けてしまう。私は守護を送り届けるから、ほわりんは秘密基地で休んでて」

「泰己、お疲れ様ほわ。本当に最強のヒーローだったほわ。苦戦することなく闇を倒してしまうのだから……」

「私だけじゃ倒せなかったよ。守護が近くにいたからだよ。私達が一心同体で闘ったから勝てたのだと思う」

「そうほわね。最強のヒーローに最強の武器。やっぱり、僕の見込みに間違いはなかったほわ~。じゃあ、お休みほわ~」

 ほわりんは山の奥の方へ飛んで行った。泰己は、変身してヒーローになると、守護をお姫様抱っこする。

「ちょっ、泰己ちゃん!?」

「この方が早く帰れるじゃん? 夜だし誰にも見られないよ」

 守護は大人しく泰己に抱かれている状態で、空を滑空する。夜風が心地よい。

「あの、泰己ちゃん」

「何?」

「また、闇が現れたら、私も一緒に闘うからね!!」

「……!! うん!! 心強いよ!! 一緒にまた闇を倒そう!!」

「あとね、泰己ちゃん……」

「何?」

「私、昔から泰己ちゃんのことが好きだよ。中学生になってもヒーローになるんだって強い意思を持ってて叶えちゃって……。バカにしちゃってごめんね」

「いいんだよ。私、ヒーローになれたんだから。どんな困難にも立ち向かっていけそう!!」

「私もついていくよ」

「守護も私のことを守ってくれる最強の武器になっちゃって……人生何が起こるかわからないね」

「本当だよ。私もヒーローの一部に変身したようなものだよ……。泰己ちゃんのことしっかり守るからね」

「まもるだけに?」

「私の名前が守護だから剣と盾になったのかな……」

「あ、家に着いたね」

「変身解除!!」

 泰己は元の制服に戻った。このまま別れるのは名残惜しい。自分の気持ちに気付いたから……。

「泰己ちゃん」

「な……」

 泰己の頬に口づける守護。

「送ってくれてありがとう。まるで、お姫様みたいな気分だった」

「守護は私のお姫様だよ、これからもよろしくね」

 そういって、守護の左手を取り、薬指に口づける泰己。顔がみるみる赤くなる守護。

「私が驚かしてやろうと思ったのに、泰己ちゃんにもやられちゃったね。じゃあ、お休み。気をつけて帰ってね」

「家、隣同士なんだから気をつけるも何もないよ~。お休み」

 満足しあった二人。恋人となった二人はますます最強のヒーローとなるのであった。



 二年の時が過ぎた時、ザンギャーグは復活した。

受験生となった二人であるが、受験と並行して、ヒーロー活動をしている。今回のザンギャーグは、心の闇が人々の影に憑りついて、その影がザンギャーグとなる。

母数が多い。

「もう、受験で大変な時に復活しやがって~!!」

「でも、ストレス発散になっていいんじゃない?たまには運動も必要だよ」

「それもそっか。勉強のストレス、憂さ晴らしさせてもらうよ!!」

「ついでに、世界平和にしちゃうよ!!」

 世界最強のヒーローとその武器は、世界をまた救う。それは、二人が強い心で結ばれているからだ。ゆけ、ヒーロー!! 人々の心の闇が現れる限り、闘いはまだまだ続く……。




 


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ヒーローになりたガール シィータソルト @Shixi_taSolt

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