第4話:不法投棄されたガイノイド。

「で?、なんであんただったの?」


「え?」


「だから・・・なんでレプリスはあんたを指名したの?」


「なんか自分の一番近いところにいる人で一番出席番号が早い苗字の男を

探したら俺だったらしいです」


「ああ・・・そう言うことね・・・で?、あんた名前は?」


阿井あいです」


「納得」


「で、レプリスのためにガイノイドの体を探して欲しいってことだろ?」

「そうね、方法はふたつあって脳が入ってない体だけのアンドロイド

やガイノイドをお上の許可とって合法的に売ってる店かまたは闇業者を

利用するって手だね」


「まあ闇はガイノイドの数もパーツの数も少ないけどね」

「懇意にして業者はいるから話はつけられると思うけど僕はお勧めしないね」

「買ってすぐぶっ壊れたら捨て銭でしょ」


「合法が無難でいいと思うけど、選ぶならどっちかだね・・・まああんた次第だ」


「そうなんですか・・・でもな〜どっちにしてもタダじゃないだろうし、借金

作りたくないしな」

「どこかにタダってガイノイドの体ないですかね」

「しかも顔が俺の好きなのタイプなら言うことないんですけど」


「あんた・・・それは贅沢ってもんだよ・・・ある程度は妥協しないと」


まあ、うちの倉庫にも動かないガイノイドは何体かあるけど・・・それは

いずれ修理して闇業者行きだからね・・・いい金になるんだ・・・」


「でも・・・おお、そうだ」

「そう言や〜倉庫にいらないガイノイドが一体あるわ」


「僕んちの倉庫に入りきらないガイノイドを倉庫の外に三体ほど置いと

いたらさ、次の日みたらガイノイドが一体増えてんだよ」


「動かなくなったガイノイドを僕んちの倉庫の前に不法投棄してった奴が

いたみたいでさ」


「すっかり忘れてた」

「そのガイノイドだけどね、たぶん風俗で働いてたんじゃないかな」

「そういう環境で働いてたんだろうなって分かるような派手な化粧してたし

派手な衣装も着てたしね」


「たぶんさ、店で働いてたガイノイドが動かなくなったからそれで捨てよう

と思って処分場に行く途中、僕んちの倉庫の前を通ったんだろうね・・・それで

外に並んでる僕んちのガイノイド見てこれ幸いと、そのガイノイドをポイって

やっちゃったんだと思う・・・まあ処分するのもお金かかるからね」


「普通の区のゴミ箱に捨てられてるガイノイドもいるくらいだからさ」

「一時でもお世話になったんだろうに・・・大事に扱ってやれよって思うよね」

「アンドロイドとかガイノイドって電化製品と同じ扱いだからさ」

「ちょっとエラーやバグがでたらすぐに捨てられるんだよ」


「あんた、その子でよかったら見てみる?」

「たぶん僕の腕なら多少の故障なら直せると思うからさ・・・」


「その子の体でいいならタダで持ってってくれていいよ」

「それなら僕も捨てに行かなくて済むし助かるから・・・」

「このまま捨てるよりはいいでしょ?」


「え?いいんですか?」


「不法投棄だからね・・・僕のものでもないしね」


「不法投棄されたガイノイドも、あんたんちのレプリスも、もう誰の

ものでもないんだから新しいガイノイドが生まれたって誰にも分からない

し関心も持たないでしょ」


レプリスの脳殻だけと一緒にいるよりちゃんとしたガイノイドがいたほうが

あんたの生活感、劇的に変わるよ。

それに男としてガイノイドになったレプリスとしたいこともできるようになる

と思うしね。


つづく。

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