陽だまりのあなたへ。

逢坂 晴月

第1話

 穏やかな陽気に包まれる。


(……綺麗)


 映る景色がやけに煌めいて見え、目を瞑った。風が心地好い。一陣の風、葉がささめき合う音、すべてが混じりあった空気でさえも愛しい。その空気を肌で感じたくて、息を吸い込んだ。吸い込んだと同時に合う。


「……遅いよ」


 私の言葉に貴方あなたは眉を下げながら言う。

 ごめん、と。

その姿が余りにも可愛いらしいと思った。

 私は笑いながら「良いよ」と答え、招く。

 隣に貴方が居る。なんて素晴らしい日なのだろう。そう。こんな日が永久に続けば良いと願ってしまう程。素晴らしくて。

 貴方を見つめている筈なのに、輪郭が朧気になっている事がどうしても解せなくて。

 逸らした。──筈だったのに。


 ふわりと花弁はなびらが舞う。


 祝福してくれているかのように。


 辺り一面に薄桃の絨毯が敷かれ、風が悪戯に揺蕩たゆたいた。

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