六浴目『釣った魚の話』

結婚して

しばらく経つと、

わたしは随分とぞんざいに

扱われるようになった


気持ちを通わせていたはずが

身体の距離まで

遠く感じるようになった。


わたしには悪友がいて

彼は未練があるのか

時々妙なメッセージを送ってくる


ある時、その一通を

未読にしておいた


仲の良い、同性の友達からのメッセージ

「見て」と言って

わたしのスマホを渡した


返ってきたスマホには

未読のメッセージは無かった。


隣に座っていたわたしは

ただ画面を閉じた。


わたしが選んだあなたは

こんな事で声を荒げたり

動じたりしないと分かっている。


時々、目まぐるしい日常の中で

「うわきしているだろ」なんて

冗談っぽく、あなたは言う

それに、

「トイレに行く時間もありませんけど」

と私は返す。


釣った魚にだって

時々、愛をあげてね。



     Fin.


(※くれぐれも、真似をしないように)



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