自室にて、大きな決断。

カチカチ、カチカチ

シャープペンシルを何回か出したり、また戻して出したり。

私の考える時の癖である。

特に書くことが無くても、なぜかこれをやっている。

そして、私はいま、超難題に挑んでいた。


「はぁ」


大きくため息をつき、天井を見上げた。

救ってもらい、雑談で苦を忘れさせてもらった私は、元気を取り戻していた。

そんなあのパーティに、入るべきだろうか、否か。

いま、ユキのことは除き考えているが、とても微妙だ。

気持ち的には、もう一度冒険者としてやっていきたいと思っているけど……。

あの人たち、おそらく相当強い。

魔力探知が使える魔法使い。

勇敢そうな戦士。

そして、常に斧を背負っていられる強靭な剣士。

装備から見ても、彼らのセンスはとても優れていると思う。恐らく今までの努力の末に、あの結果があるのだろう。

それに比べて私は、この2年間、なにもせず、ぼんやりと日々を過ごしてきた。

一緒に行ってもよいのだろうか。

ちなみに、この世界における冒険者のヒーラー率は約3%。意外と少ない。

ヒーラーになるには、まず、魔力量が問われ、その後教会にて指導される。

その後試験で合格をすればヒーラーになれるのだが、教会に指導される期間は約4年。私は近くに教会があったからなれただけであって、教会の数は少ない。

だから、ヒーラーは少ない、というわけだ。

あのパーティにヒーラーはいないようだが、足手まといになってしまうに違いない。

なので、とても迷っていた。


……でも、足手まといになったら、その時はその時で……。


こんなに自分が素直になったのは初めてなのかもしれない。

と、湧いた感情に驚いた。

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