幼馴染に彼氏ができたんだけど…どうやらうまくいっていないらしい⁉︎というか、幼馴染解散の危機ですか⁈

猫の集会

ええええぇーっ

 オレはベッドにうつ伏せで寝転びながらイヤホンをして、漫画を読んで爆笑していた。

 

 

「ギャハハ」

 と。

 

 するといきなりオレの背後が暗くなり、なんか気配を感じた…かと思ったら冷たい手が伸びてきてパチっと耳に軽い電流が流れたっ⁉︎

 

「「わっ」」

 

 ⁉︎

 

 えっ、何⁉︎と慌ててみるとオレのイヤホンをむしり取ろうとする幼馴染の綾音あやね

 

 

 …

 

「なんだよ…こえーな。ってかノックしてよ?」

 というと綾音は、

「したよ!コンコンってしたよ?なんからコンコンコンって三回したからね?」

 と偉そうに両腰に手を当てた。

 

 

 …

 

「…で、なんでオレに電流を浴びさせた?」

「あー、ごめん。聞こえないみたいだったからイヤホンとってびっくりさせようとしたら、まさかの大介だいすけの背後霊に威嚇いかくされて…」

 

 …え、背後霊って

 

「そ、そうなの?オレは静電気かと思ったけど…綾音ってそういうのわかるんだ⁉︎」

 とびっくりしてきいてみると、まさかの

「うん、適当ー。たぶんただの静電気。しらんけど。」

 と返してきた。

 

 しらんのかい‼︎

 

 まったく…。

 

「で、どうしたの?参考書借りにきた?」

「なわけある⁈ってか大介参考書なんかないじゃん。本棚全部漫画だし…そんなんじゃ大学受かんないよ?」

 と、眉をひそめた。

 

「あはは、これから本気出す!じゃあ何しにきた?得意の部屋に虫が出たから退治してってやつ?」

 

「…得意のって何よ?ってかそうじゃなくてー…」

「え、ってことはおじちゃんが魚釣ったから美味しい刺身を食べにおいでってお誘いか⁉︎ならば、急がねば」

 むくっと起き上がると、

 

「違う…ってか、なんでうちのおとうさんが今釣りに行ってるって知ってるのよ?」

 と驚く綾音。

 

「あー、朝竿持ってでてくのみたから」

「なるほどね。でも、今日はそれどころの騒ぎじゃないのっ」

 

「えっ、マジか⁉︎どれどころの騒ぎだ⁉︎」

 

「じーつーはー、わたし彼氏ができましたーっ‼︎」

 

 …へ?

 

 彼氏…

 

 今彼氏って聞こえたよね⁇

 いや、からしの間違いじゃね?

 うん。聞き間違いだろう。

 

「…あー、からし」

「違う、彼氏っ‼︎」

 

 彼氏って…

 

 はぁっ⁉︎

 うそだろ⁉︎

 

 オレは幼い頃から綾音と結婚するって決めてたのにっ‼︎

 本人には、言わなかったけど…でもてっきり綾音もそうだと思っていたのに‼︎

 

 だって、オレたち…オレたちってずっと一緒なんじゃないの⁉︎

 

 …

 

「おーい、聞いてる?」

 

 …

 

「え…?あー…」

 

「おめでとうって言ってくれないの?」

 

 …おめでとうか。まさか綾音に彼氏ができておめでとうをいう日が来るなんて…そんなのまったく想像してなかったな。

 

 …

 

「おめでとう…。」

「…う、うん。」

 なぜかあまり嬉しそうじゃない綾音。

 

 なんなら…めっちゃ、かなしい顔してんぞ⁉︎

 

「…あけまして…おめでとう。」

「えぇ、何それー」

 と綾音が笑ったから少し安心した。

 

 オレには、わかる。ずっと一緒にいたから…ずっと綾音をみてきたからわかる…

 

 なんだよ…その表情は…

 

 彼氏できて嬉しいはずなのに…なんなんだ⁇

 

 

 …

 

「わざわざオレに報告しなくてもよかったのに。」

「え、だって…大介は幼馴染だから…」

 

 …

 

「そっか。」

 

 …

 

 一気に静まり返る部屋。

 

 

「あ、じゃあ…わたし帰るわ」

 

 …

 

「おう。彼氏によろしく」

 と綾音に伝えると綾音は、少し寂しそうな顔をして、

「…うん。」

 と返してきた。

 

 

「待って‼︎綾音」

 

 オレは、なんか…なんかわからないけど綾音の寂しそうな顔が気になって、思わず綾音の手を掴んでしまった。

 

 

 行かないで。綾音…行かないでって心で叫んだけど…いまさら彼氏できてからこんなこというの卑怯だよな。

 

 

 …

 

「あの…綾音は…綾音はさ、なんで付き合うことになったの?」

「それは…告白されてさ。付き合おう!はい!チューみたいなね。」

 

 ⁉︎え…

 

 付き合おう。はい。までは、いいよ?でもさ、チューって何⁇

 

 

「あの…最後のチューってのは…もしかしてお相手は、ネズミかな?」

 

「はぁ?そんなわけないじゃーん」

「はは…だよね…」

 

 …へー。キスか。

 

 へー…

 

 …

 

 こんなことになるなら、オレのおもいをきちんと伝えておくべきだったな…。

 

 

「あのさ…、手いつ離してくれるかな?」

 

 ‼︎

 あ、そうだった…。

 ずっと握りっぱなしだった。

 

「わりぃ。彼氏いるのに…ごめん」

 

 …

 

「…う、うん。大丈夫。じゃあ…ね。」

 

 …

 

 さっきから変な間があるんだよね。

 

 

「綾音!」

「えっ、何?」

 

 一瞬振り向いた綾音は、涙ぐんでいるようにみえた。

 

 

「なんかあった?」

「あー…、ううん。大丈夫…。」

 

 …

 

 やっぱり変だ。

 

 大丈夫っていう人こそ、我慢ばっかりしてて、本当は大丈夫じゃないときがよくある。

 

「綾音、まだ時間ある?」

「え、…うん」

「なら、ここ座って。」

 

 オレに言われるまま大人しく座る綾音。

 

 

 

「綾音、なんか悩んでるんじゃないの?」

「えっと…」

「彼氏だろ?彼氏に無理矢理なんかされたのか?オレが幼馴染として、言ってやろうか?ん?」

 

 …

 

「大介は…ずるい…よ」

 と言ったかと思うと綾音は、ぼろぼろと大粒の涙を流した。

 

 えっ⁉︎

 

「綾音?」

 

「大介はさ…、なんでそんなにわたしに優しくするの?そんなことされたら…」

 

「え、幼馴染なんだから、そりゃ心配するだろ?」

「幼馴染って何?もう幼馴染やなんだけど」

 

 …

 

 えと…

 幼馴染がイヤ…だと?

 

 じゃあ、どうすればいいのだろう…。

 

 

 …

 

 

 あ、わかった…。わかりたくなかったけど、わかってしまった。

 

 

 きっと綾音は、彼氏に幼馴染の話をしたのだろう。

 それで、幼馴染でも男だから連絡先消してとか、もしくは幼馴染の部屋行ったりしないでね?って言われたのかもしれない。

 

「綾音、オレいいよ。」

「え?」

「オレのことは、気にすんな。」

「どういうこと?」

「彼氏に言われたんだろ?幼馴染解散してって」

 

「…え、言われてない。ってか、大介は…幼馴染解散してもいいんだ?」

 と、また泣き出してしまった。

 

 …ええええぇ

 

「いや、解散したくないけどさ綾音が幸せになれるんだったら身を引くって意味。」

 

「…へぇ、わたしっていらないんだ。大介にとったらそんなもんか。」

 

 涙を拭って立ちあがろうとする綾音をオレは咄嗟とっさに抱き寄せた。

 

 

「離したくない。オレほんとは綾音がずっと好きだった。結婚するつもりだったけど、でも綾音がそうじゃないなら仕方ないじゃん。でもね、綾音…オレ正直綾音をだれにも渡したくなかった。」

「うん。わたしも結婚したい。」

 

 ⁉︎

「は⁉︎綾音…彼氏いるじゃん」

「うん。でも大介と結婚したい。」

「じゃあ、その彼氏と別れるの?」

「うーん…」

「別れない…の?」

「うーん…難しい…かな。」

「え…」

「あ、待って!いいこと思いついたわ。今から寝よ?」

 

 ⁉︎

 

 ね、寝るっ⁉︎

 

「待って…どうした…急に」

「寝たらいいよ。」

「ん?」

「ほら、おいで」

 

 普通にベッドから手招きしてるじゃん。

 新婚かっ⁉︎

 

 

 

「いや、待ってよ…。彼氏…いるから…そういうのは…」

「え?彼氏の腕枕で彼氏に会いに行くの」

 

 …はい?

 

「あのー…さっき部屋に来る前どっかに頭ぶつけました?」

「ぶつけてないよ」

「じゃあ、なにをおっしゃっていらっしゃるの?」

 

「相手が…夢の中にいて」

「はいっ⁉︎」

「だからっ、夢で告白されて付き合ったの!それも夢の中の大介と。」

 

 えっ⁉︎

 

「オ、オレ?」

「うん、だから夢の大介にきちんとお知らせしなきゃ。夢は、夢のわたしがお付き合いするけど、夢じゃないわたしはこの人と結婚するよってね。」

「ややこしー…ってか、律儀か!」

「あはは、かもね。じゃ、おやすみー」

 とオレの布団に寝ようとする綾音。

 

「仕方ない。じゃあ夢で集合な」

 と綾音のとなりに入ったら…狭っ‼︎

 

 そして近っ‼︎

 

 は、恥ずかしい…なんて言っていられないよね?

 

 夢の方々には、理解してもらわねば。

 そうしないと、綾音の気がすまないのだろうから。

 

 

 

「ほら、腕枕」

 と腕を差し出すと猫のように寄ってくる綾音がなんとも可愛らしくてそのまま抱きしめちゃいましたよ。

 

「じゃあ、夢で待ち合わせしよ。おやすみ」

 とオレに抱きしめられながら、目を閉じる綾音。

 

 …

 

 ね、寝れねー…。

 ってか、この状況で寝れるやついる⁉︎

 

 …

 

 クスクスッ、ふふっ

 

 

 ん?

 

 な、なんか綾音…笑ってね⁉︎

 

「寝たんじゃないの?」

「ね、寝てます。寝てます。ちゃんと目瞑ってるし。あ、早く夢の大介に言わなきゃ」

 

 …

 

 また目を瞑る綾音。

 

 あんまりかわいいから、オレは綾音の頭をナデナデしていたんだけど…綾音は、静かになりどんどん体温が高くなってきたように思う。

 

 ね…た?かな?

 

 なんだかオレもあったかくなってきて、ついうとうとしだしてきたら…なんか…なんかさ?…

 

 いきなりチュッてくちびるになんか…

 

 なんか…これって……だよね?

 ね?

 

 綾音がオレにキスしてきてんじゃん⁉︎

 

 

「綾音ー、寝てたんじゃないの?」

「こんな状況で寝れるわけないょ。夢の大介には、後できちんと報告しとくね。わたし、大介がわたしに脈なしだって判明したら、もう大介を諦めるつもりだったんだ。」

 と、打ち明けてくれた。

 

 えっ…

 えぇええ⁉︎

 

 それは…それはヤバかったな。

 きちんと結婚の意思を伝えておくべきだった。

 

「綾音、オレちゃんと勉強する。そして必ず綾音にプロポーズするね。大好きだよ。」

「うん、わたしも大好き」

 

 ギュ〜♡

 チュ〜♡

 

 それから、オレたちはイチャイチャしながら、結婚について語り合ったのでありました♡

 

 

 おしまい♡

 

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