元最強暴走族総長サラリーマンの悩み。

@samabuu

第1話

片山「そんときいつの間にか10人に囲まれちまってよ!

さすがの俺ももうダメかと思ったぜ!」

若手社員「へー、それでその後どうなったんですか?」

片山「とりあえず一番強そうなやつをワンパンで倒して、

あとは少し走って逃げながら、追いついてきたやつらを

一人ずつ片づけていったよ!!」

若手社員「すげー!!」

片山「そうか?そんなの大したことないぞ!

じゃあ次はヤクザの事務所に乗り込んだ時の話、教えてやろうか!」

若手社員「マジっすか!超聞きたいです!」



(うるせーなー。昼休みなんだからもう少し静かにしてくれよー。

昨日も残業でこっちは疲れてるんだよ!)

(俺の名前は上川徹。24才。

ごく普通のサラリーマンだ。)


片山「あのときは確かちょっと肩がぶつかっちまったところから、

話が始まるんだけどな。」

自慢げに片山が話す。

(そしてこいつが先輩の片山。26才。なんか昔ワルだったらしい。

いつも昼休みに武勇伝を聞かされている。

それにしても、毎日毎日よくそんなに武勇伝があるなと

ある意味関心してる。

まあ、半分以上はなんかの漫画でみたことあるような話だけど。)


(こいつがうるさいのも小さな悩みだけど、実はもう一つ悩みがある。

それは、最近うちに入ってきた新人の内山梨花さん。

仕事中、よくこっちをみている。

見ているというか睨まれてる。)


上川「あ、あのさー。内山さん。

今日も俺のこと見てるよね。

なんか俺、悪いことしちゃったかなー。」


内山「いえ、別に...」

上川「そ、そっか。ハハハ。」


(いつもこんな感じだ...

正直、彼女の視線が気になって仕事に集中できないときもある。

なんか言いたいことあるなら、ハッキリ言ってほしいよ。)


(定時後)

上川「いやー!久しぶりに定時で帰れるぞー!

今日はビール飲みながら動画観まくろー!」

片山「おい上川ー!お前今日の仕事もう終わりか?」

上川「え?ええ。まあ。」

片山「そうか。ちょうどいい!

今日俺たち飲みに行くからよ!お前も来いよ!

お前いっつも昼休み寝てるから聞いてないだろうけど、

俺のワル時代の武勇伝いろいろ聞かせてやっからよ!」

(いつも聞いてるわ!

あんたのせいで寝れてねーんだよ!

まあでも、飲み会も悪くねーな。)

上川「そうですか。では、お付き合いさせていただきます!」

ジー...内山が上川を見てる。

上川「あ、もしかして彼女も行くんですか?」

片山「ああ。内山さんもああ見えてけっこういける口らしいぜ!」

上川「そうなんですね!」

(これはいい機会だ!

なんでいつも俺のこと睨んでるのか聞き出してやる!)


全員「かんぱーい!」

片山「さーて、それでは早速お待ちかねの話をしてやるぜ!

あれは俺が中学の時の話だ...」

(はあ、早速始まったよ...)

ジー。隣に内山が座って上川を見ている。

上川「うっ!!

う、内山さんてお酒好きなの?」

内山「ええ。ほぼ毎晩飲んでます。」

上川「へ、へー。ちょっと意外だな。」

内山「意外?なんでですか?」

上川「んー、なんというか...真面目な感じに見えるから...ハハハ。」

内山「真面目な人はお酒飲まないんですか?」

上川「い、いやー。そういう訳じゃないけど...」

(だ、だめだ!やっぱこの子苦手だ!)

内山「上川さん。」

上川「ん?な、なに?」

内山「私のこと覚えてないんですか?」

上川「へ?ご、ごめん!覚えてない!

どこかで会ったっけ?」

内山「そうですか。」

(んー。どこだ!どこで会ったんだ!

たしかにどこかで会った気もする!だめだー。思い出せねー!)

上川「ほんとごめん!思い出せない!どこで会ったか教えて!」

内山「...私が...」


ぎゃははは!

笑いながらチンピラ集団4人が上川達の前の通路を歩く。

チンピラ「いやー!ここの料理なかなかうまかったな!

昨日は思わぬ臨時収入が入ったからな!

儲けもんだったぜ!

ぎゃははは!

ん?

おい!あいつ昨日のサラリーマンじゃねーか?」

別のチンピラ「あ?昨日、俺らと目があったやつ?そんなことあるか?

うわ!本当だ!泣きながら土下座して俺らに財布

渡してた、あのなっさけねーサラリーマンじゃねーか!」


片山「あ、あわわ...」

若手社員「か、片山さん!嘘ですよね!」

チンピラ「おいにーちゃん!昨日はありがとな!

お前のおかげで美味いものにありつけたよ!

ありがとよ!じゃあな!

ぎゃはははは!」


片山は気まずそうにうつむいている。

チンピラ達が外に出ていく。

数秒後、内山も外に出て行った。

女社員「内山さん。どうしたの?」

内山「ちょっと酔ってしまったので夜風に当たってきます。」

女社員「大丈夫?」

内山「大丈夫です。御心配ありがとうございます。」

内山が出てから数秒後、

上川「...あの俺もちょっと夜風に当たってきます。」

女社員「上川くんも?

あー。もしかして内山さんと二人きりでお話したいのー?」

上川「い、いや。そういうつもりじゃ!」

女社員「まあまあ、隠さなくていいじゃない。わかったわ!行ってらっしゃーい!」

上川「んー。ほんとそういうのじゃないですからね!」

そういって上川も外に出る。

チンピラ達と話している内山を見つける。


チンピラ「なんだよ、ねーちゃん。俺らになんか用か?」

内山「片山さんから取ったお金、返してください。」

チンピラ「ああ?あれはあいつが勝手に渡してきたんだよ。

なんで返さなきゃいけねーんだよ。」

内山「返してください。」

チンピラ「しつけーな!いい加減にしろよ。あんまり俺らを怒らせない方がいいと思うぜ。

恐ーい思いすることになるかもしれねーぞ。」

内山「いいから返せって言ってんだよ!!このチンピラ野郎!!」

チンピラ達、一瞬怯む。上川も驚きの表情。

チンピラ「てめー!女だからって調子にのりやがって!」

内山「あ?やんのかテメー!臨むところだこの野郎!!」


上川「おい!ちょっと待て!」

チンピラ「あ?なんだてめーは!引っ込んでろ!」

上川「お前ら女相手に何しようとしてんだ?」

チンピラ「なんだてめー!生意気に俺らに説教しようとしてんのか?

いい度胸してんじゃねーか!

後悔させてやるぜ!」

上川「女相手に手出すヤツは絶対に許さねー...」

チンピラ4人組が上川に殴りかかる。


チンピラ達、全滅。

チンピラ「う、うう...お前は一体。」

上川「俺か?俺は上川徹だ。」

チンピラ「か、上川!あ、あの最強武装集団、娑魔武の伝説の総長上川徹!?

ヒーッ!す、すいませんでした!

お金は置いていきます!失礼しましたー!」

チンピラ達、逃げる。

上川、無傷。

上川「フー。う、内山さん。大丈夫?」

内山「...さすが狂犬上川徹ですね。」

上川「え?えー!?」

内山「完全に忘れてしまったみたいですね。」

内山が眼鏡を取って、髪をかき上げる。

上川「あーーー!!」

内山「これで思い出してくれましたか?」


~回想シーン~

レディースの内山が他の暴走族と喧嘩になっていた。

不良「やんのかコラ!女だからって容赦しねーぞ!」

内山「臨むところだこの野郎!!

カツアゲなんて格好悪いことしてんじゃねーよ!!」

不良「あ?テメーには関係ねーだろ!」

上川「やめろ!!」

不良「あ?あ、あれは娑魔武!!

チッ!ずらかるぞ!」

上川「大丈夫か?」

内山「あ?なんだテメーは!

テメーの助けなんて必要ねーんだよ!

余計なことしてんじゃねーよ。」

上川「そうか。それは悪かったな。

女に手出すやつはどうしても許せないタチでな。

ほっとけなかった。」

内山、顔が真っ赤になる。

内山の内心(あ、あたしなんかを女として見てくれたのか。)

上川「しかし、カツアゲを許さないなんて格好いいじゃねーか。」

内山「あ、当たり前だ!カツアゲなんてしてるヤツは

人間のクズだ!」

片山「はっはっは!そうか!俺も同意見だ!気が合うじゃねーか!」

内山「チッ!あ、あんた名前は?」

上川「俺か?俺は上川徹。娑魔武の頭だ。」

内山「そうかい...好きな女のタイプは?」

上川「は?」

内山「好きな女のタイプはどんなんだって聞いてんだよ!」

上川「...んー。そうだなー。

大人しそうな眼鏡っ子かなー。ははは!

じゃあな!あんまり無茶すんじゃねーぞ!」


~現在に戻る~

内山「あなたがこの会社に入社したっていう情報が入ってきて、

あなたを追ってこの会社に入ったんです。

でも、自分から話しかけるのが恥ずかしくて気づいてくれるのを待ってたんです。」

上川「そ、そういうことだったんだ!あれ、睨まれてたんじゃなかったんだ。

よかった!

てか、眼鏡っ子がタイプって冗談だったんだけど...ハハハ」

内山「え?」

上川「ほんとは負けず嫌いで気が強くて正義感が強い子が好きなんだけど、

内山さんがドンピシャだったから本当のこと言うの恥ずかしくってさ!」

内山「そ、そうだったんですか?」

上川「でも、外見変えてまで俺を追ってきてくれたことは、

正直ほんと嬉しいよ。

実は俺もあの後、ちょっと気になってたんだ。」

内山「え?」

内山の顔が真っ赤になる。

上川「あ、あのさ!よ、よ、よかったら俺とお付き合いしてみない?

正直今まで彼女とかできたことないから、

付き合うって感覚がよくわかんないんだけど。ハハハ。」

内山「えー!そうなんですか?意外...

実は私も今まで男性とお付き合いしたこと無いんです!

上川さん以外は男として見れなくて!!

ぜ、ぜひお付き合いお願いします!」

上川「う、うん!こ、こちらこそ宜しくお願いします!」


(こうして俺たちは付き合うことになった。

まあ、これからほんと色々なトラブルが起こるんだけど、

とりあえず今回の話はここまで!)




○キャラクターイメージ

主人公(上川)...目つきは少しするどい。イケメン。普通の髪形。

内山...黒髪ロングヘア。眼鏡。22才。美少女。目つきはきつめ。

片山...それなりのイケメン。ファッションセンスが高いイメージ。

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