第2話

「二十年後の〇〇ちゃんへ


お元気ですか?


いかがお過ごしですか?


私は元気です。


沢山の友達に囲まれていっぱい遊んで、楽しい毎日を過ごしてます。


あなたはどうですか?

 

楽しいですか?


友達ともいっぱい遊んでますか?


夢はかないましたか?


もしかして素敵な人と出会って結婚なんかもしているのかな?


もしかしてその相手は……


なんてね!


だったらいいなあ!  


ぜったいに幸せだよ!


だってかっこいいもん!


あっ、なんか脱線してしまったね。


ようするに言いたいのは、


32歳の私も幸せだってこと!


絶対に幸せに違いない!


夢を叶えて素敵な人と結婚して子供もた~くさん作って幸せに暮らしているに違いないわ。


ああ、本当に将来が楽しみ。


じゃあ、


二十年後に逢いましょう。


バイバイ」


タイムカプセルから出てきた手紙を読んだ私の目から涙が溢れてきた。それはあまりにも未来への希望に溢れた言葉だったからだ。


だけど、彼女は希望を叶えることができなかった。


どうしてなら、彼女は死んでしまったからだ。


初恋の相手と両思いになれたと喜んでいた彼女。


長い交際のはてに彼と結婚できると喜んでいた彼女。


だけど、ある日突然彼女の命は絶たれてしまった。


いったいなにが彼女の命を奪ってしまったのだろうか。


私には良くわからない。


ただ言えるのはもうすぐ好きな人と結婚できるというときに死んでしまったということだけだ。


もうすぐ手紙どおりになれたはずなのに……。


そう思うと涙が止まらなかった。



そして私は手紙をそっと封筒のなかへと入れると彼女の棺桶のなかへとそっと入れた。


せめてあの世で彼と幸せになってほしい。


娘に先立たれた私のささやかな願いだ。



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二十年後の君へ 野林緑里 @gswolf0718

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