私の使命

 リドリィを、じっと見る。


 いま、「ここはアニメの世界」と、たしかに言った。


「……あなた、知っているの?」


「当然だロ! オレは天下のリドリィ様だゾ!」


 と、リドリィは羽ばたきながらグイッと胸をはる。


「海も世界も自由に飛びかう、いっちゃんイカした渡り鳥! 現実とアニメ、ふたつの世界を渡るくらい、リドリィ様には朝飯前……朝エサ前だゼ!」


 鳥っぽく言いなおすのは意味わかんないけど、リドリィの力で、私はアニメの中に来たっていうこと、なのか。


「じゃあ!」


 私はリドリィにつめよる。ひとつ息を吸いこんで、言った。


「弟が……あーちゃんは、このアニメの中で生きているってこと?」

「どうだがナ? いるかもしれネェし、いないかもしれネェ」


 リドリィははっきり答えずに、私の頭の上を飛びまわる。


 ケッケッと笑うリドリィにムカッとしたけれど、いない、とは言いきらない。

 でも、そんなのありえない……。


「ありえない、わけ、ない。だって、私はいま、アニメの中にいるんだもん」


 だったら、六年前にいなくなった弟だっているかもしれない。


 ならば、やることはひとつ。


「弟を……あーちゃんを見つける! それが、私の使命だし!」


「使命? かっこいいね、メイ」


 背中を叩かれる。


「ひぅ!」


 ふりかえると、キューターリーフが私のうしろに立っていた。


「な、なんでここにっ? さっき、戦いに行ったんじゃ」


「うん。でも、もう終わったから」


 キューターリーフが指を差す方向に、黒いヨロイの山ができていた。数える気にもならないような、兵士の数。

 これを、ひとりで……?


「もちろん、気絶させただけ。ボクも相手も、ケガひとつしていないよ」


 けろっとしたまま、キューターリーフは私の手を取った。


「さぁ、メイ。いっしょに帰ろう」


「ど、どこへ?」


 キューターリーフはポニーテールをぴょこぴょこゆらして、私を引っぱっていく。


「リーフェスタ王国に、キミを招待するよ。メイ!」

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