第3話

   

 一応は納得したものの、元カノの存在を強く意識させられて、貴子はモヤモヤした気分になってしまう。

 自分で思っていたよりも、自分は嫉妬深い女なのかもしれない。そんな考えで頭がいっぱいになり、問題の元カノが片方だけの靴でどうやって帰ったのか、本当に帰ることが出来たのか、そこまでは気が回らず……。

 ましてや、洋介が見ているテレビに何が映っているかなんて、全く気づいていなかった。

 ちょうどテレビでは、すぐ近くの裏山で白骨死体が発見されたというニュースが流れており、長い黒髪の女性アナウンサーがハキハキした声でその詳細を伝えていたのに。


「……警察は着衣などから、女性の遺体とみて身元を調べています。遺体が着用していたのは、白い長袖のブラウスと緑色のロングスカート。右足だけ赤いハイヒールを履き、左足には何も履いておらず……」




(「彼女が見つけたハイヒール」完)

   

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

彼女が見つけたハイヒール 烏川 ハル @haru_karasugawa

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画