第1話 カオス学園とは

 ※前作と、内容が一部変更されたりされなかったり。


 ***



 何の変哲もない日本の街。何の変哲もない日常。何の変哲もない…カオス。


 カオス学園ではレクタイマンドッジボールという名のバトルが繰り広げられていた。黃髪の少女が炎を纏ったボールを全力で投げれば、俺が凍らせてそれを止める。次の瞬間には体育館を埋め尽くすほどのボールが少女へと飛びかかっていた。


「相変わらずの人外だな。」

「ボクをいじるときにあれ使うのはやめてほしいけどね。」


 高音が人外と言うのも当然だろう。だが彼もまた人外。いや…正確には人間なのだが、彼らの身体能力は人間を遥かに凌駕するものであった。最初に伝えておこう、カオス組(以降、カオス学園の生徒)は全員人外だと思ってくれ。


 このレクタイマンドッジボールは、カオス学園恒例行事であるレクカオスドッジの1対1バージョンである。ルールは簡単。能力の仕様は自由、コートは無く、ただただボールがカオスに飛び交うだけである。それだけであるが、死ぬほど盛り上がる。それ故、カオス学園代表の俺と黃髪の少女…クチナシは毎日のようにこのレクタイマンドッジボールをするのであった。


いじる時に能力を使うのをやめてくれ、と切実に訴えているのは玲。年齢層の関係すら無くなっているカオス学園ではおそらく最年長…なのだが。完全に子供扱いを受け時々悲しい思いをしている現在高校二年生。玲をいじりまくる俺…永遠と、高音は現在高一である。尚、俺と互角の戦いを繰り広げているクチナシは中3。


 この時点でお気づきだろうが、カオス学園はただの学校ではない。そして、カオス学園の生徒は先述の通り人外と呼ぶに値する身体能力を有する。今回はカオス学園の成り立ちについて、話そうと思う。


 まず、カオス学園がどこにあるのか…という話なのだが。これは、誰も知らない。通っている俺も、他の生徒もだ。これは何故か。俺たちの登校手段は、テレポートだからである。


 そもそもカオス学園の生徒は、カオス組と呼ばれるSNSから始まったグループで構成されている。そして、姿形を持たない”何か”がカオス組をこの学園に収集した。現状わかっているのは、敵意がないこと。それ以外は全て不明である。ある日突然、テレポートを発動され、カオス組のメンバーはわけもわからず学園敷地内に集められた。そしてその日、俺たちの人生は大きく変わった。


 グラウンドに集められた俺たちは、自分たちの脳内に響く謎の声から説明を受けた。


・明日から学校に行く時間はこの学園に来てもらう

・登校したいと思えば勝手にここにテレポートする

・時間割等は自分たちでどうにかしろ

・いつか私(謎の声)を探しに来い


 まとめるとこんな感じだ。というわけで、俺たちは少し前からこのカオス学園に通い始めた。尚、生徒保護者と元の学校など、カオス組以外の全人類はその謎の声がなんとかしたらしい。ご都合主義ってやつだ。おかげで生徒全員、元の世界で何も言われる事なく過ごせている。


 元々SNSでも仲の良いメンバーだったため、リアルで会ってもすぐに打ち解ける事ができた。そうして、俺とクチナシはレクタイマンドッジボールをしているのであった。していたのだが。


 現在クチナシは体育館の壁にぶっ刺さっていた。てか…ガッツリめりこんでるな。うん。

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カオス学園 秩序すらカオスにするのがカオス組です 世羅 @towanante

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