試験を受けました

Z「九月末(註 横溝賞の〆切は九月末日)は試験だったんですよ。勉強してたんです」

A「そういやなんか言ってましたね。もっと早くから準備しておけば、公募と並行で進められたんすよ」

Z「それは本当に思います。どうせやることになるんだったら早くからやればいいのに」

A「おー、ひとごと」

Z「しかも一次で落ちた」

A「そんなの(小説の)新人賞で慣れっこじゃないですか。あ、今年は応募すらできてない賞があるから一次落ちすらできないんでしたっけ」

Z「試験が終わって一次の合否が出るまで一応、二次に向けて勉強を続けていたんですよ。落ちるなら落ちるで早く知らせてくれれば、A賞(註 十月末日が〆切)の原稿に取り組めたのに。一次の結果出るまで勉強続けてたんですよ」

A「それは一次はパスすると思ったということすね?」

Z「えぇ。試験会場出るときに“あれ、これ案外いけるんじゃね? ギリ、ギリだけど”と。それが間違いでした」

A「実際はどうだったんすか? 自分の得点と合格ラインってわかるんじゃないんですか?」

Z「調べればわかりますけどしませんでしたよ。そんなことやるよりA賞です」

A「そういう反省のないところがダメだと思うんすけどね。自己評価が高いというか甘いんすよ、小説も」

Z「確かにそうかも。恥をしのんで、嫌なやつだと思われるのも覚悟で言いますけど、試験会場で思ったんです。集合時刻の間際にドタバタ駆け込んでくる人もいるし、試験会場の隙間時間にテキスト開いている人も少ないし、これはあたし上のほうなんじゃなかろうかと」

A「仕事や家のことでギリギリに到着する人もいるでしょうし、充分に勉強しているやつは会場で悪あがきする必要がないんすよ」

Z「ただ勉強して知識も仕入れたし、頭の使い方も覚えたのはプラスですかね」

A「アタマノツカイカタ?」

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