第4話 親友の妹は万能看板娘!
「店長、先程の壊れたパソコン直りました、次の仕事ありますか?」
そんな声を出して、階段を上がってくる親友の妹…もう修理が終わったらしい。
俺は、ため息を漏らした…そして、静かに開くドア…。
そして、そこに立つメイド服を着た彼女こそ、他の店が羨ましいと思われている、万能看板娘である。
美人の中の美人であり、飛び抜けた知能、全然衰えが無い向上心!
周りの方々には申し訳ないが、俺の店を選んだ事に、喜びを隠しきれない!
俺は内心こう思う…俺の妹が、彼女を目標にしてくれたら、どんなに良くなるのか…非常に、非常に残念だ!
しかし、ノート型パソコンを直し始めて2時間も経ってないだろ!
何をしたら、そんなに速く直せる?
「店長…次の仕事ください。」
イヤイヤ…正直、これだけ仕事が有れば、少しは時間稼ぎになるだろうと思っていたが…。
俺の店は、基本給+出来高払いだ。
やった分だけ給料アップするので、頑張る訳である。
もちろん、仕事の難易度によって貰える金額も違うが…。
さっきのパソコン3台の修理内容は…パソコンのキーボード交換!
液晶画面を丸々交換が2台!
俺は絶句している...修理スピードが想像の斜め上を行ってしまった!
とりあえず、状況確認しないと…。
「修理したパソコンの確認は?」
「歪み、剥がれ、ネジの取り付けなどは確認済みです、クリーニング及び通電確認と報告書も終わってます…。」
「本当に、あのパソコン全部を2時間かからずに終わらすとは…しかも、報告書まで完了か、速いな。」
「はい。」
…もうダメだ。彼女には、少し休んでもらわないと…仕事量がモタナイ。
「どうでしょうか?」
「とりあえず、引き続き店番で…お願いします。」
「…かしこまりました。」
今、受け持っている依頼は、一日以上かかりそうな物ばかりだしなぁ…。
他の依頼の準備をしてもらうか。
「この依頼の品、保険で壊れた部分は新しい物と交換だから、調査報告書と部品の準備をお願いします。」
「でも、店長…そのご依頼の品、報告書出して返事が来てから、部分の準備をしても良いのでは…。」
「この部分は特殊で、特注になりますので、時間がかかるので、本来なら、お客様に確認してから行うのですが…。」
「その件に関しては、大丈夫だと思います。3Dプリンターで、部品は直ぐに作れますので。」
「…そ、そう、わかった。」
3Dプリンターか…ある意味、やな時代になったねぇ、古いタイプの職人には生きづらい。
彼女の知識と技術が有れば、量産されてきた物の修理は、大して難しくはない。
最悪、部品が無ければ、一から作る…それが、この店の仕事。
特殊な修理も請け負う…が、直すのは良いとして、今は人手が足りない。
以前は、じいちゃんと俺が、特殊な修理をしていたが…今は俺1人。
妹が学校から戻るまで、彼女には申し訳ないが、店番をしてもらうしかないのだ。
正直、募集をかけても、彼女目当ての輩ばかり…。
この状況が、いつまでも続くのは不味いと思っているが…適した人材が来ない。
現在、どのように人材確保をするか?そんな事ばかり考えている。
現時点で、この店は、人には感謝され、お金を儲けている…そして、経営は成り立っている、が、俺は正しい行動をしているのだろうか?
いまだに分からない。
彼女も、親が残した多額の借金を返済する為に、ここで働いている訳で、稼ぎが少なければ、当然他の所に移るのは明白だ。
たまたま、未成年でも稼げると言う事で、就職したんだっけ?
15才で、親の借金返そうと働き始めたのだから、本当に大した者だ。
我が妹よ…少しは見習ってくれ。
やれやれ…仕方がない、俺の仕事、代わりにやってもらうか。
「…たまには、俺が店に立つよ。えーと、あった!この仕事を頼む!」
「…これを!直すのですか?」
「ああ、難易度高いぞ!報酬も高い…が、出来ないなら諦める勇気も必要だ!」
「かしこまりました、やらせていただきます。」
「いゃ、時間はある、よく考えろよ。」
「ぜひ、やらせていただきます!」
…おーい、もう少し考えてからでも良いと思うが?
返事が早いから、逆に不安だ…。
「本当に大丈夫か?」
「…はい!」
「もし、出来ないかもしれないと思ったら、直ぐに教えてくれよ!これが絶対条件だから、忘れないように!」
「かしこまりました。」
やれやれ、また心配事が増えた…が、これも必要な事か。
部下の育成…か。
はぁ、なんだかんだ言って、俺もじいちゃんに修理の方法を色々と教えてもらったしなぁ…やらなきゃ覚えないし。
人数不足だが、今回の仕事で技術力がアップしてくれたら少しはマシになるかな?…いや、そんなに甘くないだろうね。
おっと、お客様が増えてきたな…余計な事は考えても仕方がないか…。
修理工房 復元、それがこの店の名前だ。
今日も、思いが詰まったこの店で、思いが詰まった壊れた物の復元に、汗を流し、悩み続ける俺がいた…。
答えは何時も闇の中…いや、これも1つの答えなのか。
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