第2話:12月1日

〇教室・(夕)


女(17)は男(17)の前の椅子に逆向きに座り、ちょっかいをかける。


ビ「もうそろそろクリスマス~♪ 世の男女が一番イチャイチャする季節~」


陰「これだから浮かれビッチは。だいたいクリスマスっていうのは……」


ビ「キモ~陰キャが何か言ってるーw あ、大丈夫でーす、そーゆうの間に合ってるんで」


陰「このメス~~……っ!」


ビ「いやーん、オタクの嫉妬自己中でキモ―い。下心見え見えの目で孕まされるーw」


陰「目だけで孕むかぁ……っ!! だいたい見られるだけで孕んだら、お前もう何人か子ども産まれてるんだろ」


ビ「え、キモ……冗談で言っただけなのに……。真面目に想像するとかホントむり、あー限界オタクきっつ」


陰「自分から言い出したんだろ……!? 男女差別!女尊男卑だ!!」


ビ「なによ、性差なんてあって当然でしょ! 体つき違うんだから。だいたいそーゆうことを言うなら、胸見ないでもらえますー? 1秒に1回は見てるでしょ、このエロガキ」


陰「そんな何回も見れるわけないだろ! だいたいそんな高速で首動かないから……っ!」


ビ「そーやってすぐムキになるのも無理~、冷めるー。だいたい男子ってホント子どもすぎるのよ、年上しか勝たん。あーあ、その辺の遊んでる大学生適当にひっかけて、今年こそクリスマス優勝しよーっと」


陰「誰かーこの人、不純異性交遊しようとしてまーす。それも大学生相手とか、児童福祉法違反でーす」


ビ「ちょっと……! 勝手なことしないでよっ!」


陰「だいたい、そっちが吹っかけてきたんだろ。こっちは真面目に勉強してたのに」


ビ「それは……」


陰「はいはい、どーせまたからかうんだろ。もう飽きたってそういうの。暇つぶしなら、他でやってくれ」


ビ「違う、し……そーゆんじゃなくて、ほら。時間……なかったから」


陰「もう出ないと、次のバス出ちゃうか。それじゃ、そろそろ――」


ビ「はい~~……ッ!?」


ビ(普通、こーゆうのって男から切り出すもんでしょ~っ!? せっかくこの状況作ってあげてるってのに、どんだけ鈍いのよ、これだから陰キャ童貞は……っ!!)


ビ「あ~、そういえば……終業式の日、なんかクラス会やるって~」


陰「へえ~、自由参加なら俺はいいかな」


ビ「集まるの夕方で、解散も10時くらいになりそうだし……、雰囲気に流されてそのままお持ち帰りされちゃうかも」


陰「え……」


ビ「なにーその顔w ウケる~眉間にシワ寄ってるの初めてみたー」


陰「いや、え……ぇ……?」


ビ「わたしぃ……股のゆるーい女の子だし~ぃ? あ~あ~このままだと他のオスに『俺のだー』ってマーキングされちゃうなぁw」


陰「やめて、くれ……」


ビ「まーあ? そっちがどーしても嫌っていうなら、考えがないこともないけどー? その代わり、月末の月曜、ちょい付き合ってほしいんだよね~」


陰「どうせまた数合わせだろ、わかったよ……」


ビ「マ? はーい言質とったからね~。今グループ作ったから、マストで入って~」


グループ名を【月末月曜】に設定して、メンバーを一人招待する。

もちろん、グループ名は”仮”のものだ。


それより、コイツ……分かってんのかな。

片づけながらで空返事だったし、絶対気づいてないんだろうなぁ……。


今年の第4月曜は、クリスマス当日だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る