第23話 ヴィルのお礼


「いや、やっぱりサクラと一緒にいると楽しいな。そうだ、お礼をもってきたんだった」

「お礼って?」


 するとヴィルの従者グリムは、大きな袋を取り出した。

 袋からは、さまざまな果物や野菜が出てきた。


「これ、街で買ってきたんだ。サクラは街にまだ行ってないんだろ? 珍しいのもあるかと思って。それに、サクラの能力をつかえば、これらを植えれば栽培もできるんだろ?」

「わぁ……! これは、正直助かるよ……! ありがとう!」


 野菜や果物の種類はいくらあってもいい。

 ぜんぶ庭に植えて、さらに農園を広げようと思う。

 森の中で手に入るものには限界があるしね。

 

 さらに、果物以外にもお酒まで持ってきてくれたみたいだ。


「じゃーん、お酒だよ。いろいろ種類もあるから、飲んでみてよ」

「わーうれしい……! お酒は森の中じゃ手に入らないし」


 もしかしたらクラフトとかで手に入れられるのかもしれないけど、今のところこっちでお酒は手に入れてなかった。

 久しぶりのお酒は正直うれしい。

 もともとお酒は好きだ。

 でも、この肉体でお酒飲んでいいんだろうか。

 こっちの世界の未成年って何歳なのさ?


 すると、さっそくノルンちゃんがお酒をあけて、飲みだした。


「お酒、大好きなのですー!」

「って、わー!!!! ノルンちゃんはお酒のんじゃだめー!!!!」

「ふぇ……!? なんでですか!?」

「え、だってノルンちゃんって未成年でしょ!?」

「違いますよ……」

「え? ノルンちゃんって何歳……?」

「15です」

「じゃだめじゃん!」

「お酒は12歳からおーけーなのですよ?」

「えぇ……? そうなの?」


 どうやらこっちの世界ではそうらしい。

 まあ、異世界の風習にけちつけるわけにもいかんだろう。

 普段から飲んでるようだし、まあいっか。


「私ものもーっと」

「かんぱいなのです!」

「かんぱーい」


 さすがは貴族様の用意してくれたお酒だ。

 普通のお酒がどのくらいのものなのかわからないけど、これはきっとそこそこいいお酒だぞ。

 これで肉もあれば最高なんだけど……。


「じゃーん、お肉もありまーす!」

「わあああああ! ヴィル天才!」


 ヴィルはいろんな種類のかなり高級な肉を用意してくれていた。

 これだけで、十分なお礼だよなぁ……。

 わしは満足じゃ……。


「じゃあ、さっそくステーキにしよう!」

「え、どうやって」

「えい!」


 私はクラフトで、肉を瞬く間にステーキに変えた。

 

「すごい! さすがはサクラだ! いただきます!」

「うーん、美味しいのです!」


 ステーキはさすが高級肉だけあって、めっちゃ美味しい!

 お酒も果物もあって、いうことなしだね。

 それから、ヴィルはさらにお土産をもってきてくれているようで。


「これが、最後になるんだけど、受けとってくれるかな……?」

「なになに?」


 まさかとは思うけど、指輪とかやめてよ……?

 私はまだ結婚する気なんかない。

 もっと自由に独身を謳歌したいのだ。

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