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 深夜、だいぶ眠たくなりながらそれでもどうにか万SAI堂にたどり着いた。さすがに客の数は少ない。とりあえず買い取りにタブレットのオモチャとカードゲームのスターターデッキを出して、店内をうろうろする。


 あかりがなにやらきれいなお人形さんを凝視していた。目玉はガラスで美しい顔をした、見るからにオタクの女の子が欲しがるやつ。値札を見て「ひょえっ」と悲鳴が出た。

「だ、大丈夫。買わないから。欲しいけど、すっごい欲しいけど、スーパードルフィ―……」


「これは韓国製でねっか。LUTS DELFって書いてあるから韓国製でねっか」


「えーっ韓国製。噂には聞いてたけど美しいですね、韓国ドール」

 なんの話だか分からないが、オモチャを見るのが先決ではないのか。そういうと女ふたりはしょうがなく韓国ドールの前から離れた。


 ニチアサヒーローのオモチャのコーナーを見るものの、何年も前、秋田県が日本にあったころのヒーローのオモチャばかりだ。そのころ俺らは高校生だったので、光は当然知らない。


 どうしたものか。やはり「悪魔のオモチャ箱」を討伐するしかないのか。


 そうなのだ、「悪魔のオモチャ箱」は討伐すると新品の日本のオモチャが出る。だから根気強く討伐すればいまのニチアサのオモチャだって手に入るかもしれない。


 クソデカため息をついて、買い取ってもらった銅貨数枚を握りしめた。とりあえず帰らねば。朝になってしまう。

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