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 なにか欲しいオモチャを選ばせようにも、秋田県大館市で唯一オモチャを売っていたイオンスーパーセンター大館はとうの昔に廃墟である。どうしろというのか。かろうじて中古のゲームは手に入るものの、3歳の子供にゲームを与えるのは気が早いと思う。


 あかりは2歳くらいからゲームしていたらしいのだが、本人いわく「親がゲーマーであったからな」とのことなので、ふだんゲームしない我が家ではどうしようもない。


 3歳では将棋セットを与えてもよく分からないだろう。布に刺繡で作ることもできるが、3歳だとどうしても将棋崩しみたいな遊びをすることになり、それは布製では難しい。


「どうすべ、あかり」


「発起人がちゃんと考えてけれ。あたしはケーキの焼き方を調べるので忙しい」

 あかりは異世界でも容易に手に入る米粉でケーキを焼くつもりらしい。


 うーんどうすべ。そう思っているとあかりの父さんがやってきた。あかりの父さんは警察をリタイヤして、いまはあかりの母さんの実家である角館でマスオさんをやっている。

 ナイスタイミング。早速相談してみることにした。あかりの父さんはふむふむ、と聞いて、難しい顔をした。

「クリスマスかあ……子供の欲しがるいんたものなぁんも売ってねぇものなあ……」

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