第29話 男子校生と男子高校生2
突然だけど、スマホの音ゲーって良いよな。
色々なタイプのキャラが数十人も居れば自分好みのキャラが最低一人は見つかるよな。
ま、俺が好きなのは三人しかいねえけど、推しとなるとその内の一人の…
うん、やっぱリンちゃんだな!
リンちゃん知らねえ奴はいねえと思うけど、髪はピンクのショートカットで外ハネがポイントな。色白で目の色は赤、身長は155cm。小振りなおっぱいとお尻が…おい、貧相っていうんじゃねえ。リンちゃんも気にしてんだよ。クソが
元気いっぱいの明るい性格なんだけど、偶に病んだりするのがリンちゃんの魅力だ。
で、今はそのリンちゃんのイベント開催中なんで、俺は頑張ってポイント稼いでいるわけだ。今回のイベント限定リンちゃん、限凸すると水着イラストに変わるんだよ。
今まで夏限定ガチャですらサマードレスだったっつーのによ。
リンちゃん推しなら限凸するしかねえよな。
どうでもいいけど、毎回ライブ終わった後に流れるリンちゃんボイス、いい加減聞き飽きたんだけど、これスキップとか出来ねえの?スキップさせろよ。
――――――――――――
イベントも今日で最終日、あと数十ポイント稼げば、なんとか限凸出来るな。
学校サボってでもやっときゃもっと楽だったのにな。クソッ
とりあえず、ホーム画面に設定したイベント限定リンちゃんを眺めて癒され…んだよ、着信ってよぉぉぉ、俺のリンちゃんが見れねえじゃねえか。
クソ悟が…仕方ねえ、出るか。
「何か用か、クソが」
「いきなり酷い奴だな。いま時間あるか?」
「イベント最終日で忙しいんだよ、明日にしろよ」
「聞いてくれ、最近思うんだが、主人公が主人公じゃないんだよ」
「おい、人の話聞いてんのかよ。忙しいって言ってんだろうが、切るぞ」
「待て、俺の話を聞いてくれたら、以前お前が気にしていた子の話をしよう」
「それは…電車で会った子の事か?」
「初耳だが、多分そうだな」
「OK、わかった。話を聞こうじゃねえか親友」
「それでだな、主人公なのに主人公扱いされてないんだ。なんか幼馴染とか友人とかの話が多くてな。あと義姉妹が出落ちっぽい…」
「主人公変えろよ、幼馴染か友人を主人公にしろよ。あと義姉妹は知らねえ」
「主人公はそのままで良いんだ。俺としては、物語的にどうなんだって思うんだ。もっとこう主人公の話を広げるとかさ。なのに、なんで男子校生の話が一番多いんだ。男子校だぞ、男しか居ないんだぞ、灰色の学校生活だぞ、刑務所と変わらなんだぞ、お前もおかしいと思うだろ」
「男子校に恨みでもあんの!? 俺も男子校通ってんだけど! で、別キャラ視点で話が進むなんてよくある事じゃねえか。色んなキャラの視点で話が進む形式、俺は好きだぜ。それの何の問題があるんだよ」
「そういう話じゃあないんだ。いいか、本編を読もうと思ったらスピンオフだったみたいな内容なんだよ」
「じゃあスピンオフ読んだら本編なんじゃね?」
「スピンオフなんて存在しない」
「じゃあ、アレだよアレ。主人公とか思い付きで書いたから話の書きようがねえんだろ。薄っぺらいんだよ、主人公。それに盛り上がる必要がねえ話だっていいじゃねえか。日常回とか良いだろうがよ、ほのぼのしててよ。ありふれた日常、いいじゃねえか、何の不満があるんだよ。もう死ねばいいんじゃね、転生しろよ」
「主人公を悪く言うなっ。思い付きで書いたからって、後から厚みを持たせる事ぐらい出来るだろう?違うか?違わないよな」
「そんなの知らねえよ、作者に文句言えよ。大体、主人公じゃ話が続かねえから書きやすい幼馴染とか友人の話を書いてんだろが。で、書いてるうちに楽しくなっちゃってそのまま幼馴染とか友人の話が続いてるんじゃねえの。書いてる奴が書きたいように書けば良いだろ。なんで一読者のお前に忖度しなくちゃならねえんだよ」
「くっ…俺はともかく、俺の大好きな義姉妹たちはどうするんだ」
「だからよぉ、思い付きで書いちゃったけど、よくよく考えたら話の内容にこいつら要らなくね?って冷静になったんだろ。そんなに文句言うなら読むのやめろよ」
「お前、他人事だと思って随分と言いたい放題だな」
「いや、お前も他人事だろ。なんでお前の話になってんだよ。ああ、もうこんな時間じゃねえか、イベント最終日なんだよ。俺のリンちゃん限凸出来なかったら恨むかんな。クソが」
通話を切って、ゲームを再開した。
限凸?そりゃあ当然したに決まってんだろ。
推しの水着イラストは最高だぜ、スクショして待受けにしたぜ。
良いだろ。やらねえよ。
あ、悟に電車で見た奴の事聞くの忘れた…ま、いいか。リンちゃん可愛いから。
それにしてもあいつ何の話がしたかったんだろうな。
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