3.平穏の中で

 王都の日々は再び平穏を取り戻し、学院の生活も以前のように穏やかな日常を迎えていました。しかし、私の心の中には、未解決の疑問が静かに残っていました。


「ドーラのこと、まだ気になるわ・・・」と私はリザに打ち明けました。

 リザは深くうなずき、「彼女のことは誰にも分からないのよね。でも、きっと彼女なりの理由があったはずよ」と慰めてくれました。


 メアリーも加わり、「私たちにできるのは、ドーラのために祈ることだけね」と言いました。私たちは、彼女がどこかで平和に暮らしていることを心から願っていました。


 夕暮れ時、私はしばしば学院の庭を散歩し、ドーラと過ごした時間を思い出していました。私たちが一緒に笑い、語り合った日々は、今では遠い記憶のように感じられました。


「ドーラ、あなたは今どこにいるの?」と私は空に問いかけました。

 しかし、返事はなく、静かな風だけが私の声を運んでいきました。


 学院の日々は続き、私たちは各々の道を歩み始めました。新しい友情が芽生え、学びの中で成長していきました。しかし、ドーラに関する疑問は、私たちの心の中に永遠に残り続けました。


 私は時折、ドーラが見ていた夢と、その後に起こった不思議な出来事について考えました。彼女の夢と現実の間にあった繋がり、そして教会の地下で封印された吸血鬼の存在。これらの出来事は、私たちの心に深い印象を残しました。


 平穏な日々の中で、私たちは過去を振り返りつつも、未来へと前進しました。ドーラの不在は私たちに大きな謎を残しましたが、私たちは彼女を思い出しながら、新たな日々を歩んでいきました。王都の平穏は戻りましたが、私たちの心には、いつまでも解けない疑問が残り続けていたのです。

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アリスの悪夢とドーラ 森野正 @morinoma

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