3章:辺境伯領の夏

1.夏休みの始まり

 夏休みが始まり、王都の貴族学院はその門を閉じました。友人たちとの別れを惜しむ中、私はドーラに気づきました。彼女は一人、学院の門の外でためらっているように見えました。


「ドーラ、夏休みはどうするの?」と私が尋ねると、彼女は少し寂しげに「私は王都に残るわ。家族もここにはいないし・・・」と答えました。


 その言葉を聞いて、私は直感的に彼女を自分の家へ招く決心をしました。

「私の家、辺境伯領に来ない?きっと気に入ってくれるわよ」と提案すると、ドーラの顔が明るくなり、「本当に?ありがとう、アリス!」と喜びを隠せない様子でした。


 私の実家、辺境伯領への馬車の中、ドーラは窓からの風景に目を輝かせていました。彼女は自然の美しさに心を奪われ、しきりに感嘆の声をあげていました。

「ここはとても美しいわね」と彼女が言うと、「ええ、私のお気に入りの場所よ」と私は答えました。


 私たちは領の広大な敷地を通り、豊かな緑に囲まれた私の実家、辺境伯の屋敷に到着しました。私の家族たちはドーラを暖かく迎え入れ、彼女もすぐに打ち解けました。


 屋敷の中を案内すると、彼女は特に庭園が気に入ったようでした。

「こんなに美しい庭を見たのは初めて」と彼女が言うと、私は嬉しくなりました。

「夏の間、ここは私たちの秘密基地にしよう」と提案すると、ドーラは「素敵なアイデアね」と笑いました。


 その夜、私たちは庭園の星空の下で話をしました。ドーラは彼女の家族や故郷の話をしてくれて、私はドーラの素朴で温かい性格に改めて惹かれていきました。しかし、彼女の瞳には時折、寂しさの影がちらつき、私はドーラに辺境伯領での楽しい思い出をたくさん作ってもらおうと思いました。


 夏休みの始まりと共に、ドーラとの絆は新たなステージに入りました。私たちは領内の自然の美しさを楽しみながら、互いに心を開いていきました。それは忘れられない夏の始まりでした。

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