アリスの悪夢とドーラ

4.ステファニーの死

　ある朝、学院への道すがら、リザからの悲しい知らせが届きました。

「ステファニーが・・・亡くなったわ・・・」という彼女の震える声が、私の心を凍りつかせました。一瞬、信じられないという思いが頭をよぎりました。ただ数週間前まで、私たちは一緒に笑っていたのに。

　学院に着いた時、ニュースはすでに広まっていました。教室は沈黙に包まれ、いつもの活気が消え失せていました。友人たちは涙を流し、教師たちは言葉を失っていました。みんなが感じていたのは、ただただ深い悲しみでした。

　その日の授業中、私の頭の中はステファニーのことでいっぱいでした。

「彼女が見ていた夢が原因だったの？」という問いが心を占めていました。彼女の夢に現れた黒い霧が、彼女を死に至らしめたのだろうか。

　放課後、私たちはステファニーの家に向かい、彼女の両親に哀悼の意を表しました。彼女の家は以前の訪問時とは異なり、喪に服した静けさが漂っていました。リビングルームに入ると、彼女の両親は涙にくれながら、私たちを迎え入れました。

「ステファニーはいつも皆さんのことを楽しそうに話していました」とステファニーの母親が言い、その言葉は私たちの心をさらに痛めつけました。

　私たちはステファニーの明るい笑顔や、一緒に過ごした日々を思い出し、彼女がもういない現実に直面するのは苦痛でした。

　帰り道、私たちは静かに歩き、互いに支え合いました。メアリーが「なんでこんなことになっちゃったの？」と呟きました。私たちにできることは何もなく、ただ悲しみを共有するだけでした。

　ステファニーの葬儀の日、学院の多くの生徒が彼女を見送るために教会に集まりました。式は厳粛に進み、私たちは彼女のために祈りを捧げました。葬儀が終わると、私たちは静かに墓地を後にし、王都の街に戻りました。

　その夜、私はベッドに横たわりながら、ステファニーの死と彼女が見た夢の関連について考え続けました。彼女が苦しんだ黒い霧の正体とは一体何だったのだろう。そして、それがどうして彼女の命を奪うほどの力を持っていたのか。彼女の死は私たちに深い疑問と恐怖を残しました。