第12話-朝の景色

昨晩は疲れていたのか、ベッドに入った瞬間に寝てしまっていた。

イングリスに来て、二日目の朝だ。


「さむっ!」

まだ薄暗い中ベッドから起き上がると、外気の冷たさで眠気が吹き飛ぶ。

僕は自らカーテンを開きにベッドを離れる。シャッとカーテンを左右に分けると東の空が夜のベールの裾を焼くように朝の空を彩り始めていた。


城は丘の上にあり、窓から望む景色は運河を挟んで大きな街が拡がっている。少し先を見れば広大な海だ。

海は東に面しているので朝、天気が良ければ日の出が見れる。そう思って早起きしたのだ。


ゆっくりと水平線の奥から陽の光が登り、光のベールで朝の空を優しく包んでいく。

「……見事だな。」

一人で見るのが惜しいと思える程に美しい。


太陽を神と称える国もあると聞くが、信仰の対象にしたくなるのも頷ける。


一頻り日の出を楽しむと、ぐ――ッと背伸びをする。

「さて、早く起きてもする事が……。」


チラリと暖炉を見ると木が燃え尽きて火は消えていた。

僕は暖炉に近付き、木を焚べてマッチに火をつける。

組んだ木の下には着火用の木屑が敷いたので、そこに種火を落とせば、見る間に火が着いた。

エドワードが来るまでしばらく時間がある。

部屋が温もるまでひと寝入りしよう。

モゾモゾとベッドに潜り込み、暫くすると意識は闇に溶けていった。

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