咎姫~人罪己償~

七星北斗(化物)

1.流転

 私の子供たちは、可愛いでしょ?


 でも、どうして罪を犯すのでしょう?


 人の罪は深く、それらの罪は、全て私の罪。


「私は、何と罪深いのだろうか」


 これは、許されないことである。


 人に罪があるように、神にも罪が無いわけがない。


 子供が罪を犯せば、自ずと親に責任があるように、私も同罪なのだ。


 責任ある立場なのだから、罪の所在を明らかにしなければならない。


 だから私は、人間の理解を深めるため、人へと転生する。どうして人間が、これ程までに繰り返すのか?


 だが、転生するに当たって、タイムリミットがある。次の神託会議までの年数は廿年、人間の歳月に直すと二十年。


 人間に対して、大神が大変お怒りで。現状のままだと人は、言葉通り神ノ鉄槌を下されることになるだろう。


 子を見捨てることもできず、現状打破を目論む。


 そうと決まれば、神界と人間界を繋ぐポータルを利用して道を作る。


 小間使いの天使に今後の雑用を任せ、単身転生を開始した。


 目映い粒子に包まれて、私は分解される。


 そして意識を取り戻せば、瞼が重くて開けない。周りからは、ヤンタム言語を話す若い男女の声。


 どうやら私は、無事に転生に成功したようだ。


「女の子だ。お前に似て、可愛らしいな」


「そうかしら?私は、貴方の眉に似て、凛々しいと思うわ」


「元気に育ってくれるといいのだけど」


「確かにそれが一番の願いだけど、王族として恥の無い娘にもなってほしいものね」


「お前の娘なら、きっと大丈夫さ」


「だといいのだけど」


 いえ、私の子があなた方なのですが。


「誰だ!?」


「何ですか、今の声!頭の中に?」


 つい語りかけてしまい、驚かせてしまったようです。今後は、お告げをしないように気を付けなければなりません。


 しかし逆に子供と呼ばれるのは、何だか新鮮味があるものです。


「気のせいじゃないか?」


「そうね」


「ハッハッハ(汗)」


「ウフフ(汗)」


 両親は、無理のある笑いでなかったことにした。


「女王陛下、そろそろ休まれては?お体に障りますよ。国王陛下は、そろそろ職務にお戻り下さい」


 気遣うような仕草で、側仕えは提案をする。


「確かにそうね。休ませてもらおうかしら」


「わかった。ワシがいると、休むに休めんだろうしな」


「そうですわね」


「今なんと!」


「そうですわね?」


 聞き間違いではない。夫婦間に少しばかりの溝を感じた王様だった。


「だって貴方がいると、つい面倒をみたくなってしまいますから」


「なんと心優しい、天使か!」


 抱き合う王様と女王、こうして見ていると。普通の夫婦だなと思った。


 ついでに暑苦しい、抱きつくな。見てるこっちが恥ずかしいわ、とも思った。


 仲が良いのはわかったから。赤ん坊そっちのけで、いちゃつくの止めてもらえません?

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