エピソード① 出会い

 安心したかのように力尽きてしまった彼女を俺は回復魔法をかけて傷だらけの身体を癒す。

 脇腹の方に傷が深い部分があったので、ヒールをその部分に強く唱える。また、思ったよりも深い傷の部分が多いようだ。そのために服がビリビリに破れ綺麗な女性の肌が露出している。太ももや胸など目のやり場に困る格好になってしまっているので俺は、収納魔法から白い布を取り出して彼女の身体にかける。

 ちなみに、布かける時に彼女の身体には一切触れていないからな。

 とりあえず、ここにいては危険なので、俺の家に一旦連れて行くことにしよう。

「仕方ないよな?うん。これは仕方ないやつ。」

 うんうんと自分に言い聞かせながら、転移魔法で家に向かう。

 帰宅した俺は、ベッドに彼女を寝かせると

 部屋を後にする。しかし彼女はなぜこの森で1人だったのかが気になってくる?他に仲間がいたのならばもう手遅れかもな。怒り狂ったグリーングリズリーの様子から見て、空腹で飢えた魔物の前では戦意喪失してもおかしくはない。

 それに冒険者の格好というよりかどこかの王国のお姫様の様な感じがするのは気のせいなのだろうか?。

 あるいは、別の組織による魔物討伐による侵略

 なのか?

 それにもかかわらず、森で出現したアイコンは1人だけだった。

 それに少し気になるところがある。

 彼女が目覚めしだい聞いてみることにしよう。

 それはそうと俺は、葉物の天ぷらを食べていなかったことに気がついて、急いで揚げ直しの準備をする。

 鍋に火をつけて、油が温まるのをじっと眺める

 今度こそは、葉物の天ぷらを再度、油のプールをダイブさせる。

 じゅわあぁぁぁぁというASMRと共に衣が再びカリッと揚がっていくのを箸で確認しながらしっかりと揚げていく。

 揚がったころを見計らい俺は、今度こそは葉物天ぷらを食べる。

 ジュルリとよだれが垂れるのを袖で拭いさり

 口の中へといざ参る。


 ―お食事のところ申し訳ない。

 俺は、また葉物の天ぷらを食べられないのか、

 いや俺は今食べる。

 次にアルコール飲料でごくごくごくごくと流し込んでいく。

 ―優勝おめでとう。俺。


「ごめんなさい。楽しみのところ邪魔してしまって」

「いや、今満たされたから大丈夫」


 俺は、収納魔法から服を取りだして彼女の方に渡す。

 彼女は自分の容姿を確認すると部屋に急いで戻っていった。

 熱々のコーヒーでも入れておくか?

 俺はコップを二つ用意してコーヒーメーカーのボタンを押す。

 ゴポゴポと音たてながらコーヒーの良い香りがする。


 着替え終えた彼女は、向かいの席に着く。

 俺はコーヒーを差し出した。がうげっという顔している。

 えっ!コーヒー知らないの?






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る